農薬環境汚染にもどる
t17906#農薬の不法投棄事件をなくすには〜長野県の例をみる#06-07
 てんとう虫情報記事t17705に、長野県で4月から5月にかけて発覚した一連の農薬不法投棄について、その概要を述べましたが、同県から詳しい情報を入手しましたので、まず、その内容を紹介します。

★4月22日の伊那市の投棄事件
 伊那市の用水路に投棄された農薬等は、アセノキシル水和剤(1本)、クロルフェナピル水和剤(3本)、ミルベメクチン乳剤(2本)、イミダクロプリド水和剤(1本)、ジフルメトリム乳剤(1本)、テトラコナゾール液剤(1本)、葉面散布剤(1本)、不明(1本)の 11本でした。
★5月8日の茅野市の投棄事件
 茅野市金沢の工業団地の空き地に投棄されていた農薬は、カルボスルファン粒剤(1袋)、リン化亜鉛剤(1袋)、チウラム・ベノミル水和剤(2袋)、チオファネートメチル水和剤(9袋)、プロシミドン水和剤(1袋)、イミノクダジン酢酸塩・ポリオキシン水和剤(1袋)、トリアジン水和剤(8袋)、炭酸水素カリウム水溶剤(15袋)、ホセチル水和剤(1袋)、クレソキシムメチル水和剤(1本)、ヘキサコナゾール水和剤(2本)、スピノサド水和剤(1本)、不明(1本)でした。

★2000年以後の不法投棄は7件
 過去の事例として表に示す7件が報告されています。いずれも、農薬による被害はなく、また、原因者は特定されていないということです。毒物のパラコートやダイオキシンを含むPCPが捨てられたものの、被害がなかったのは幸いです。
   表、農薬不法投棄事件

    年月  場所   投棄農薬  

    2000/5  南箕輪村  MEP空缶
    2001/8  小諸市    パラコート液剤等
    2002/8  富士見町  PCP、EDDP粉剤、CAT粒剤
    2002/9  須坂市   PCP、パラコート、ダイアジノン、アセフェート、イプロジオン
    2003/4  駒ヶ根市 MEP乳剤
    2003/6  伊那市    ベンスルフロンメチル・ベンチカーブ・フェナセット粒剤、塩基性硫酸銅
    2005/1  東御市    ジクワット乳剤、ブラストサイジンS、展着剤、カスガマイシン、有機砒素液剤
★長野県の廃農薬回収
長野県では、農協が主体となり廃農薬の回収を年1回程度実施しており、その経費は、農家の負担だそうです。2000年度以降の回収量は、以下の通りです。
   2000年度 71.331 2003年度 109.989トン
   2001 77.077 2004 76.648
   2002 312.540 2005 52.978

★農薬取締法で回収システムの確立が必要
 長野県の事例をみると、廃農薬の回収が実施されていても、不法投棄がなかなか、なくならないことがわかります。これについての県の見解を聞いて見ましたが、家庭菜園や兼業農家等の零細農家による農薬使用もあり、農協以外のホームセンター等の農薬販売者を含めた回収事業が必要だとの答えが返ってきました。
 また、不法投棄者が摘発された例がないにも拘わらず、県独自の条例や要綱で取締りを強化する考えがないこともわかりました。
 一方、長野県は『他県で実施している農薬の回収システムの優良事例があれば紹介して頂くよう国に照会をしています。』『今後は農薬メーカーも含む農薬適正処理システムの検討も必要と考え、機会を捉らえて、現状を伝えていきたいと思います。』とも答えています。
 不法投棄をなくすには、農薬取締法による回収の義務付けなどの法改定を国に求め、きちんとした廃農薬回収制度の確立をめざす必要があるでしょう。
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作成:2006-10-26