環境汚染にもどる
t18002#国営公園での農薬散布状況〜通知「住宅地等における農薬使用について」の遵守を#06-08

   【関連資料】公園緑地管理財団のHP 国土交通省:日本の国営公園

★国営公園をご存じですか
 国営公園というのは、国土交通省が作り、管理している公園です。都市公園法で定められている都市公園のうち、@「一の都府県の区域を超えるような広域の見地から設置する都市計画施設である公園又は緑地、A国家的な記念事業として、又は我が国固有の優れた文化的資産の保存及び活用を図るため閣議の決定を経て設置する都市計画施設である公園又は緑地」で、国が設置するものです。現在、全国に16箇所の国営公園があります。環境省が管轄する自然環境を保護するための国立公園とは違い、新たに開発するもので国土交通省の管轄になっています。
 この国定公園のひとつで、四国の讃岐まんのう公園に入園した当グループの会員が農薬散布に遭遇し、抗議したけれども取り合ってもらえなかったと相談がありました。まんのう公園に事実確認をしたところ、確かにその日に農薬散布していたことがわかりました。そこで、まんのう公園ではどのくらい農薬散布をしているのか、また、通知「住宅地等における農薬使用について」をどのように遵守しているのか質問をしました。
 2004年度、2005年度の農薬散布状況を聞くと、スミチオン(MEP)、ディプテレックス(DEP)、オルトラン(アセフェート)など有機リン系殺虫剤に加えてベンレート(ベノミル)、ダコニール(TPN)、マンゼブ(ジマンダイセン)、サンヨール(DBDEC)、ポリベリン(イミノクダジン)などの殺菌剤、抗生物質などが樹木や花卉に使用されていました。 また、入園者への周知は特に行っていないとのことですが、定期的散布は行わず、公園の休園日や閉園後に限って散布しているけれども、たまたま、会員が遭遇したときは、やむを得ない状況だったとして、申し訳なかったと言ってました。

★通知は伝えてあると国交省
 そこで、7月28日に、全国16箇所の国営公園でどのような農薬散布がなされているのか、国交省の公園緑地課に問い合わせをしました。公園緑地課は、通知は各公園事務所に知らせているということでしたが、実際に入園者の目の前で農薬散布をした例があるのだから守られているとは限らないので、昨年度の農薬散布の実態、今年度の予定、通知の遵守方法、除草剤使用の有無などについて調査をお願いしました。
 8月8日に公園緑地課に結果を聞きました。公園緑地課は、「公園ごとの農薬散布状況はほとんどの公園の管理を委託している財団法人公園緑地管理財団から回答する。全般的な質問についてこちらで回答する」として、以下のようなことを伝えてきました。
  @通知の遵守については、基本的に予防散布はしないようにしている。万一やるとして
   も休園日とか閉園後にしている。
  A農薬散布に代わる方法としては、ほとんどの公園で捕殺をしている。誘蛾灯とか木酢
   液を使っているところもある。
  B周辺住民や入園者へのドリフト対策は、そもそも住宅地が周辺にないところが多いが、
   住宅地が近いところでは風が強いときにはやらないとか、ノズルの方向を注意してい
   るなど。入園者に対しては、開園時間に撒かないというのが16のうち12公園だっ
   た。奈良の飛鳥公園では散布の一週間前から農薬使用の目的、散布日時、使用農薬の
   種類、希釈倍率などを散布周辺に設置しており、地区の代表者にお知らせしている。
  C除草剤は駐車場で使用しているところが2件あった。ここはインターロッキング(煉
   瓦を敷き詰めたようなもの)になっていて隙間に生えた草をなくすには、どうしても
   必要だと言っている。
 以上のような内容でした。  入園者がいなければ撒いてもいいというものではなく、農薬は散布後揮発して周辺の空気を汚染するため、前日に散布された農薬を翌日入園者が吸うことがある。その日だけではすまされない。少なくとも入園者にいつ撒くのか、いつ撒いたのかを知らせる必要がある。国営公園は有料なので入り口に看板を出すとか、ホームページで知らせるとか、対応を考えてほしいと伝えました。担当者は、散布当日以外にも農薬が空気中にあるということは初めて聞いたので、公園管理の財団と相談するとのことでした。掲示についても考慮すると回答しました。

★公園での農薬使用状況
 その後、財団法人公園緑地管理財団から各公園の農薬散布状況を知らせてもらいました。
    表 国営公園での農薬使用状況(2005年度)−省略−
 まんのう公園同様有機リン系農薬の使用が目立ちました。これで、ほんとうに必要最小限の農薬使用なのか疑問を持ちました。もっと減らせるのではないでしょうか。
 もちろん、立地条件や栽培植物によって違ってくると思われますが、おおむね、3月から10月にかけて、有機リン系のMEP、DEP、アセフェートなどの殺虫剤、ベノミル、マンネブ、TPNなどの殺菌剤、松にはアセタミプリド、酒石酸モランテルなどが多く使われていました。
 特にバラに対しての散布が多く、越後丘陵公園ではイソキサチオン、DDVP、エマメクチン、アセフェート、フルフェノクスロン、テトラコナゾール、DMTP、MEP、プロチオホス、トリフルミゾール、ベノミルなどこれでもかというくらい、使用されていました。まさに、「きれいなバラには毒がある」です。
 コスモスも結構農薬散布されています。コスモスを何百万本も密植すれば病気が出るのも当たり前と言えます。このような栽培方法も考えるべきです。

★改善の余地はある
 しかし、中にはアルプスあづみの公園や飛鳥歴史公園のように、一回しか使用していない公園もありました。やはり、栽培者や管理者の姿勢が反映されているのではないでしょうか。国営公園のように国が管理する公園では、無農薬栽培の技術を開発し、普及するのも使命の1つではないでしょうか。
 また、きれいな花を見せるだけでなく、植物や虫の生態などを市民に知らせていくのも重要な仕事と思われます。それよりなにより、まず、第一に安全な公園であってほしいものです。

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作成:2007-01-27