環境汚染にもどる
t18205#POPs系埋設農薬処理と農薬の不法投棄#06-10
35年以上前に農水省の指示によって埋設されたPOPs系農薬の漏洩や農薬の不法投棄がまたも明らかになりました。前者については、処理が始まっていますが、埋設個所での掘削、運搬、保管やその処理については、関係住民による充分な監視のもとに実施される必要があります。
★秋田県の埋設農薬処理
秋田県では、05年、有機塩素系農薬の埋設個所(男鹿市8トン、秋田市103トン)での、環境調査で、漏洩が確認され、その対策が問題になっていました(記事t17204参照)。県は、8月に、埋設農薬の処理計画について発表しましたので、その詳細を問合せ、回答を得ましたが、掘削や処理方法については、環境省のマニュアル通り実施するとして、具体的方法は明示されませんでした。
【質問1】05年12月以降、埋設個所及び周辺の環境調査をされましたか。されておれば、
秋田市と男鹿市の各埋設個所についてその結果を教えてください。
【回答】秋田市では2地点で農薬環境管理指針値を超過、男鹿市については2地点で環
境基準値を超過しております。
【コメント】05年11月の調査では、秋田市の埋設個所では、地下水中にBHCが最高17mg/
L、男鹿市では、0.038mg/L検出されていました。今回、数値による回答は示さ
れませんでした。
【質問2】両埋設個所での農薬の掘削・運搬・処理計画の内容と実施スケジュールにつ
いて教えてください。また、周辺住民への説明はどのようになさっています
か。
【回答】環境省のマニュアルに基づいて、今年度中に最終処理まで行う予定です。
周辺集落へは全戸を対象に資料を配付し、埋設農薬の漏洩確認時(H17.12)及
び工事着手前(H18.7)に住民説明会を計3回開催しました。
【質問3】掘削や運搬に際して、農薬汚染が拡大しないよう。どのような方法をとられ
ますか。
【質問4】掘削された農薬の処理は、どこで、どのような方法で処理されますか。
【3、4への回答】環境省のマニュアル基づき、また廃掃法に準じて適正に行います。
【質問5】埋設個所には、POPs系農薬以外にも有機リン系や水銀系、ヒ素系農薬が混在
していると思われますが、各々の混在数量はどの程度ですか。また、その掘
削対策、処理方法はどうなりますか。
【回答】回収前ですので不明です。環境省のマニュアルに基づき、また廃掃法に準じて
適正に行います。
【コメント】05年11月の調査では、埋設個所の地下水や土壌に、ヒ素や水銀が検出され
ているので、質問したのですが、まだ、掘削していないので、埋設の有無は不
明ということでしょうか。
【質問6】農薬で汚染された容器やコンクリート槽の処理はどのようにされますか。
【質問7】埋設個所周辺の汚染土壌や汚染水に処理はどのようになさいますか。
【6、7への回答】環境省のマニュアルに基づき適正処理します。
【質問8】昨年12月男鹿市の埋設個所では、周辺における井戸水の使用自粛が求められ
ていますが、その規模や実施状況はどうなっていますか
【回答】上水道が整備されており、飲料水としての利用はありません。なお、住民の井
戸水からのPOPs農薬の検出はありません。
【質問9】処理経費には、どの程度の予算を組んでおられますか。その際、貴県の分担
費用だけでなく、国の補助金や関係団体の分担金はどの程度ですか。
【回答】税源移譲を財源に県単独で実施しています。当初予算額は、農薬安全指導等特
別対策事業(3億2097万3千円の内)となっております。
【質問10】当初、埋設個所は、いたずらや悪意を持って掘り出される危険があるとのこ
とで、明かにされませんでしたが処理に際してはどのような監視体制をとら
れますか
【回答】現地は3mの仮囲いを行い、休業時(夜間含む)は施錠します。特に夜間は施
工業者や警備会社によるパトロールをこないます。なお、県警本部にもパトロ
ールをお願いしています。
★千葉県では、埋設BHCが漏洩
千葉県は、9月8日、香取市のJA佐原市敷地内の有機塩素系農薬の埋設個所を掘削調査したところ、コンクリート製枡周辺の土が変色して、農薬が浸み出ている状況をが確認されたことを発表しました。同所には、72年に農水省の指示で農薬約6トンが、土中埋設されていました。県に問合せた結果、以下のことが判明しました。
【質問1】埋設された農薬の種類別数量を教えてください。リン系、水銀系、ヒ素系な
ど有機塩素系農薬以外のものについても、その有無と数量をお願いします。
【回答】有機塩素系農薬を入れたということ以外、種類・量とも不明です。
【質問2】埋設個所及び周辺の土壌や井戸水の農薬等の環境分析について、調査結果を
教えてください。
【回答】別添プレスリリース参照。
【コメント】9月6日と12日に埋設箇所周辺の井戸水と土壌が採取され、BHC、D
DT、アルドリン、エンドリン、ディルドリン、クロルデン、ヘプタクロ
ルの7農薬の分析が実施されました。その結果、17個所の井戸水で、す
べての農薬が0.00005mg/L未満、14個所の土壌で、6検体から溶出濃度
0.00014〜0.80mg/L(うち、環境省の管理指針値0.00025mg/L超えは2個
所)のBHCが検出されました。最も濃度の高かったのは、深さ150cmの
黒変した土壌でした。
【質問3】埋設個所周辺で、井戸水の飲料制限が行われていますが、その規模及び期間
はどの程度ですか。
【回答】漏洩箇所から半径200m内外の17戸です。9/7〜9/12の期間です。
なお、9/21まで、市による飲料水の配布は継続しました。
【質問4】埋設農薬及び周辺土壌の掘削、保管、運搬及び処理計画(いつ、どこで、
どのような方法で実施するか)について、教えてください。
【回答】年度内のなるべく早い時期に、コンクリート、土壌とも撤去し、無害化処理を
実施予定しています。処理方法は、環境省指導の分解方法によります。
【質問5】周辺住民への説明や埋設個所の監視体制はどうなっていますか。
【回答】住民説明会は、JA、市、県の合同で実施しました。また、そのつど戸別に訪
問連絡も実施しました。コンクリート枡については、漏洩防止工事を実施し、
柵で囲い、注意喚起の看板を設置しました。
農協の管理地内(集出荷場内)にあるため、農協職員が在駐しています。また、
県(農林振興センター)職員による見回りを行っています。
★長野県で80kgの農薬不法投棄
9月21日、長野県箕輪町で不法投棄された農薬(表省略)を、町から委託を受けている不法投棄監視員が発見しました。翌日に、県警、町、JA、保健所が現地調査を行い、段ボールに入った農薬を確認し、全て回収され、周辺住民に健康被害を及ぼすことはないとのことです。
なお、4月13日の長野市の犬及び野鳥の農薬中毒死及び、4月19日の長野市、4月22日の伊那市、4月25日の諏訪郡原村、5月8日の茅野市で判明した農薬不法投棄についても、原因者は特定されおらず、今回の事件も合わせて、警察が捜査中です(記事t17906参照)。
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作成:2007-03-24