残留農薬・食品汚染にもどる
t18505#環境省「農薬残留対策に関する総合調査結果」より(最終回)土壌汚染の調査#07-01

   【参考資料】環境省:農薬残留対策に関する総合調査
   【関連記事】その1:圃場での農薬のドリフト試験その2:河川水と魚介類における農薬残留#
         その3:空中散布による汚染調査

 環境省は、農薬環境負荷解析調査を実施しています。これは、施用された農薬の作物及び土壌における動態並びに周囲へのドリフト等を総合的に調査することを目的とするとなっており、03-05年度には、散布した農薬が土壌にどの程度落下し、その動態はどうなるかが調べられました。
 しかし、同省の調査では、殺虫剤はアセタミプリド、アセフェート、イミダクロプリド、エトフェンプロックス、オキサミル、クロルピリホス、クロルフェナピル、シペルメトリン、ジメトエート、ダイアジノン、ペルメトリン、BPMC、CYAP、MEP、NAC、PAP。殺菌剤はメタラキシル、トリアジメホン。除草剤はアトラジン、アラクロール、シマジン、ジメテナミド、プロメトリン、ペンディメタリンなど限られた農薬しか対象になっておらず、土壌中の動態についての得られた情報はそう多くありませんでした。

★北海道産のカボチャからヘプタクロリド検出
 03年に、有機塩素系殺虫剤ディルドリンなどが、使用禁止になってから30年以上を経過しても、圃場土壌中に残留し、キュウリなどに吸収され、残留基準を超えているものがあることが判明して、東京都や山形県で問題となりました。ドリン剤汚染のある圃場では、吸収しやすいキュウリの栽培を止めて、転作したり、花卉栽培に変更するよう指導されています(記事t13706)。その後、04年9月には、山形県で、05年夏から秋にかけても、新潟県で残留基準を超えるディルドリン検出されていました(記事t13806a)。
 ポジティブリスト制度実施後の昨年8月下旬、新潟県長岡市で収去された、函館市亀田農業協同組合出荷のカボチャから、ヘプタクロル0.07ppm(残留基準:0.03ppm)が検出され、食品衛生法違反として、9月6日に公表されました。新制度実施前だったら、残留基準がなかったので、何ら出荷規制はとられなかったところでしたが、同農協は、カボチャの出荷を一時停止するとともに、在庫品を自主回収し、焼却処分にしました。
 ヘプタクロルは75年に登録失効しており、原因調査したところ、失効以降その使用は認められなかったため、30年以上前に使用したものが土壌に残留し、カボチャが吸収した可能性が高いものと考えられました。
 北海道は、9月8日に庁内に「北海道へプタクロル残留等対策チーム」を設置し、過去の作付状況、ヘプタクロルの使用実態等からヘプタクロルが土壌に残留しているおそれのあるほ場は、当面、カボチャなどのウリ科作物の作付けを避けることなどを指導しています。
【参考資料】北海道ヘプタクロル残留等対策について
 環境省の農薬環境負荷解析調査は、このような事例の発生防止のためのものですが、後作物残留実態調査や土壌残留に係る登録保留基準の強化(それまでの半減期1年を、180日とするよう提案されている−ヨーロッパでは3ヵ月ですが)に関する試験方法の検討が、06年度から計画されることになっており、研究の進みが遅いようです。

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作成:2007-05-26