環境汚染にもどる
t19203#埋設2,4,5-系除草剤の行方〜林野庁への問い合わせ#07-08

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 林野庁の指示で、1971-72年に、山中に埋設された2,4,5-T系除草剤について、岩手県の調査報告を記事t18103で紹介しました。1984年の同庁の調査では、全国54個所に27.3トンの製剤が埋設されていることが判明していましたが、その後、営林署の統廃合や市町村の合併などで、埋設個所の管理がどのようになっているかを知るため、林野庁と関係市町村に問い合わせを行いました。今号では、林野庁からの回答(含む再質問への回答)をまとめてみました。

【質問1】1984年の調査後、各森林管理署等に備え付けた点検記録簿で管理をしていると聞いていますが、現在、それぞれの場所を管理しているのはどこの部署か、教えてください。埋設個所の都道府県・市町村・地名/埋設数量/管理部署名を一覧でお願いします。
【回答】埋設個所等の一覧は別紙1(表1参照)のとおりです。なお、 具体的な箇所については、公にすることにより、犯罪の予防等の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあることから、明らかにすることができないことについてご理解願います。
【再質問への回答】回答した森林管理局と森林管理署等は、現在、埋設個所の点検を実施し、記録簿をおいている部署と理解していただいて結構です。なお、愛知県豊田市、長崎県五島市、大分県玖珠町は土地所有権移転等が行なわれた関係で、現在、点検の対象としておりません。

【質問2】埋設個所ごとに、直近の現況について、目視点検調査の結果等を教えてください。
 ・目視点検のチェック項目はなんですか。
 ・埋設個所の都道府県・市町村・地名/点検年月日/点検部署/点検結果/地元自治体
  との連携、でお願いします。
 ・異常があった場合は、その内容を記載してください。
 ・地元自治体と共同点検した個所は自治体名を記載してください。
 ・貴庁のみの点検の場合は、結果を自治体に連絡しているかどうかを記載してください。
【回答】  原則として年2回、現地の状況等の点検を実施しており、現地に異常があった場合には、森林管理局署等において、地元自治体に速やかに連絡することとしております。平成18年度の点検では、異常のあった個所はありませんでした。
 平成18年度に地元自治体と共同で点検した個所は、岩手県内各箇所及び熊本県宇土市です。
【再質問への回答】直近の目視調査の実施年月日は、別紙(表の最右欄)通りです。
 立入禁止の標識、囲い(損傷がないか)、覆土の状況(土壌のかく乱がないか)を確認しております。

【質問3】埋設個所ごとに、2,4,5-T及びダイオキシン類の環境汚染調査結果があれば、直近のデータを教えてください。埋設個所の都道府県・市町村・地名/検体の種類/採取年月日/分析結果の一覧でお願いします。
【回答】林野庁による直近の調査は、平成11年度に、四万十森林管理署(旧窪川署)管内で実施しており、23検体のうち2,4,5-Tが3個所で検出され(1個所で2ppb、他の2個所で1ppb、検出限界1ppb)、2,3,7,8-TCDD(四塩化ダイオキシン)については、1個所で0.004ppb検出(検出限界0.0001ppb)されました。
【再質問への回答】
 ・旧窪川署埋設箇所では、平成11年度の調査結果をもとに、専門家による検討の結果
  −省略−、平成16年度については、調査を実施しておりません。
 ・屋久島については、平成元年度(89年)に調査した結果、9検体のすべてで2,3,7,8-
  TCDDは検出されず、専門家による検討の結果−省略−、平成元年度を最後に調査を行
  なっておりません。
   表 2,4,5-T埋設個所別の管理部署と所在、数量、直近の目視調査年月日−省略

★84年度調査との違い
 今回の回答と、84年の調査結果に違いがあった個所について再質問しましたが、それぞれについて、以下のような回答でした。
 岩手県西和賀町の個所は、その後新たに埋設が判明した。
 高知県の東津野村、北川村、宿毛市の個所は、その後の調査により、埋設の事実そのものがなかった。
 宮崎県えびの市については、88年に防衛施設庁に所管換したため、現在の埋設箇所一覧に含めていないが、熊本防衛施設支局において、適切に管理されていると聞いている。
 以上のことから、表に示したように合計埋設数量も、84年調査結果より、若干減っています。

★今後については、99年の見解のまま
 今後の埋設個所の処理計画について、尋ねましたが、林野庁は、99年の同庁検討委員会の考えを踏襲し、引き続きいままで通りに適切に保全していくと回答しています。
2,4,5-T剤埋設処理箇所の土壌及び水質調査結果に関する検討委員会の見解(1999年11月)

 昭和59年移行、今回の調査を含む16年間に及ぶ調査結果及びこれまでに蓄積された種々
の知見から見て、2,4,5-T剤を土壌中に埋設した箇所において、2,4,5-T及びダイオキシン
は部分的に極微量局在しているものの、これらは、@土壌に吸着され、ほぼその位置に固
定されており周囲への移動はみとめられないこと、Aこれまで、埋設箇所の近隣の沢等で
行った水質調査の結果、2,4,5-T及びダイオキシンは検出されていないこと、B埋設箇所
が居住地から離れた森林内であること等から、埋設除草剤に含まれているダイオキシンが
地域住民生活へ及ぼす影響はないことがあらためて確認された。
 今後、林野庁においては、関係省庁のダイオキシン対策への取組状況等について注視す
る一方、2,4,5-T剤埋設処分箇所と立入及び土壌かく乱行為の禁止措置等、いままでの検
討結果に基づいて講じられた諸措置について、引き続き実施し適切に保全していくことと
されたい。

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作成:2008-01-27