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t19702#農薬検査所による製造場への立入検査結果は、明らかにできないと#08-01

 農薬疑義資材についての記事t19604で、農薬検査所の製造場への立入検査にふれましたが、同所報告の44〜47号(04年〜07年発行)にある立入検査関連の報告について、07年11月29日に、農薬対策室に問い合わせを行いました。しかし、年末に来た回答は、以下に示すように、『回答内容には、ご不満と思いますが、取締や立入検査の結果については回答できません。』とのまえがきつきのものでした。

★FAMIC(旧農薬検査所)の役割
 農薬検査所は、1947年に設置され、農薬登録業務等を行ってきましたが、07年4月1日、肥飼料検査所など3独立法人の統合により、農林水産消費安全技術センター(FAMIC)の検査部となりました。
 同センターは、検査所時代から農薬取締法第十三条の二に基づき、農林水産大臣が必要と認める時『製造者、輸入者、販売者若しくは農薬使用者から検査のため必要な数量の農薬若しくはその原料を集取させ、又は必要な場所に立ち入り、農薬の製造、加工、輸入、販売若しくは使用の状況若しくは帳簿、書類その他必要な物件を検査させることができる』となっており、検査結果は、大臣に報告せねばなりません。。
 検査の概要は、毎年発行されている農薬検査所報告に記載されており、その中の農薬の集取及び立入検査の項目をみると、毎年79から91ヶ所の登録農薬製造場への立入と22から55件の登録農薬集取が実施されています。
 製造場では、登録と異なる製造はないか、法定事項が遵守されているか、事故災害防止のマニュアルや従業員の安全教育はどうなっているかなどの調査などが、集取農薬では、有効成分の種類及び含有量、物理的化学的性状、容器又は包装及びその表示事項等の検査が行われます。しかし、検査結果の詳細については不明な点が多いため、無登録農薬事件が発覚した02年より後の年度について、調査結果を尋ねましたが、質問1と2については、 回答を拒否されました。

★農薬対策室への問い合わせと回答
【質問1】無登録農薬について
 1、44号(H16年7月発行)に、『販売者から集取した「強力グリホサート」、「ファイ
   ンセルコート」、「水溶性防菌・防カビ活性液テクノウォーター」、「グリホエー
   ス」、「アグリクール」、「碧露」については、農耕地使用、雑草・害虫防除等の
   表示があり、無登録農薬の疑いのあるものとして、農林水産大臣に報告した。』と
   あるが、調査結果を教えてほしい。
 2、45号(H17年8月発行)に『無登録農薬を取り扱った製造者・販売者1事業者につい
   て、樹木害虫防虫・忌避を目的とした無登録の資材(トリーバンド)を販売していた
   ので、仕入・販売先や経緯を聴取した。
   また、農林水産省消費・安全局農産安全管理課農薬対策室の依頼により、販売され
   ていた資材の防虫剤の含有成分を分析し、成分がナフタレンであることを報告し
   た。』とあるが、調査結果を教えてほしい。
 3、46号(H18年10月発行)に、『農薬類似品の分析:マメ科の薬用植物であるクララ
   の抽出物が主成分とみられるクララ剤(0.3%苦参水剤)について、同剤の適用作物
   及び適用害虫から分析対象農薬を推定、ネオニコチノイド系農薬・合成ピレスロイ
   ド系農薬・有機リン系農薬ら3つを選定し、農薬成分の有無及びその含有量の分析
   を行った。
   植物保護剤のアバメクチンの分析:植物保護剤4種類、4検体についてアバメクチ
   ン及びその含有量についてLC/MS及びHPLCを用いて分析し、国へ報告し
   た。』とあるが、調査結果を教えてほしい。
 4、47号(H19年8月発行)に、『農薬類似品の分析:国から要請のあった農業用資材3
   件について、農薬成分の有無及びその含有量の分析を行い、その結果を国に報告し
   た。』とあるが、調査結果を教えてほしい。
【回答】農薬取締法に基づく取締に関する内容であり、今後の取締の適正な遂行に支障を
 およぼすおそれがあることから、農薬検査所報告に記載のある内容以上のことについて
 お答えすることはできません。

【質問2】農薬製造場の立入検査について
 1、44号(H16年7月発行)にある平成15年4月〜平成16年3月の製造場における立入検査
   で『29県下の延べ79製造場において立入検査を実施するとともに、検査のため55点
   の農薬を集取した。6製造場において、登録と異なる製造処方で製造されてい
   た。』とあるが、どのような農薬でどのような登録と異なる製造処方がされていた
   か詳細を教えてほしい。また、55点の農薬製剤で、有効成分や含有量、その他につ
   いて製剤ごとの検査結果を示されたい。
 2、45号(H17年8月発行)にある平成16年4月〜平成17年3月の製造場に対する立入検査
   で、『22県下の延べ80製造場において立入検査を実施するとともに、検査のため22
   点の農薬を集取した。2製造場において、登録と異なる製造処方で製造されていた
   ので、登録どおり製造するように助言した。』
   とあるが、どのような農薬でどのような登録と異なる製造処方がされていたか詳細
   を教えてほしい。また、22点の農薬製剤で、有効成分や含有量、その他について製
   剤ごとの検査結果を示されたい。
 3、46号(H18年10月発行)にある平成17年4月〜平成18年3月の製造場に対する立入検
   査で、『26都道府県下の延べ91製造場において立入検査を実施するとともに、検査
   のため26点の農薬を集取した。4製造場において、登録と異なる小分製造場、包装
   容器や製造処方で製造されていた。』とあるが、どのような農薬でどのような登録
   と異なる製造処方がされていたか詳細を教えてほしい。また、26点の農薬製剤で、
   有効成分や含有量、その他について製剤ごとの検査結果を示されたい。
 4、47号(H19年8月発行)にある平成18年4月〜平成19年3月の製造場に対する立入検査
   で、『32都道府県下の延べ87製造場において立入検査を実施するとともに、検査の
   ため23点の農薬を集取した。
   15製造場において、登録と異なる小分製造場、包装容器や製造処方で製造されてい
   た。』とあるが、どのような農薬でどのような登録と異なる製造処方がされていた
   か詳細を教えてほしい。また、23点の農薬製剤で、有効成分や含有量、その他につ
   いて製剤ごとの検査結果を示されたい。
【回答】無登録農薬に関する質問1への回答と同文

【質問3】農薬検査所報告の終刊について −省略

【質問4】三好商事が製造したアグリクールについて
 1、アグリクールのメーカーである三好商事は、ホームページ上で、マシス鰍ノよる分
   析結果証明書(平成19年2月13日)を挙げていた。これによれば、アバメクチンを含
   む447成分について、すべて検出されず(0.005ppm未満)となっているが、貴室はど
   う評価するか。
 2、アグリクールは多年草であるクララの抽出物とされているが、原材料はどこで製造
   されたもので、どのような工程で生産されていたか。
 3、アグリクールにアバメクチンが含有されていた理由について、どのような調査がな
   されているか。アバメクチンが故意に混入されたか。どのような製造過程でアバメ
   クチン汚染が発生したか。調査結果を明らかにされたい。
 4、アグリクールについて、アバメクチン以外、どのような農薬成分を分析対象とした
   か。農薬名と検出値など分析結果を教えてほしい。
 5、アグリクールの使用を認めていた有機JAS認定機関があれば、機関名を教えてほし
   い。
 6、アグリクールを使用して栽培された農作物や使用された圃場で栽培された農作物は
   有機JAS規格からはずれると思われるが、当該農業者の補償についてはどう考える
   か。
【回答】11月22日及び12月14日にそれぞれプレスリリースを行っているところであり、そ
 れ以上の内容については取締に関する内容であり、お答えすることはできません。

【参考資料】三好商事株式会社が製造・販売した「アグリクール」から農薬の有効成分(アバメクチン)が
     検出されたことに伴う立入検査の実施等について(11/22)

     無登録農薬と判断された資材への対応について報告命令

          有機JAS認定ほ場におけるアグリクールの使用状況調査結果等について(12/14)

     三好商事株式会社が製造・販売した「アグリクール」から農薬の有効成分(アバメクチン)が
     検出されたことに伴う同社の販売・回収状況について (12/14)
★アグリクールについての調査結果
 農水省のプレスリリースによれば、アバメクチン含有の無登録農薬アグリクールの販売量は05-07年の3年間、全国38都道府県で27.66klあり、53.6%はメーカー三好商事の地元の三重県でした。1klを超えた県は、千葉県、静岡県、京都府、奈良県、福井県で、回収量は全国で8.35klで、約11klは使用が確認されました。また、有機JAS認定圃場の調査では、07年にアグリクールを使用した圃場が茶3ヶ所、キュウリとタマネギそれぞれ1ヶ所ありました。アバメクチン混入の原因は未だ不明です。

★検査結果を明らかにして、再発防止を
 せっかくいろいろな検査をしているのに、調査結果を公表せず、行政だけが知り、あとは個別に指導していけばよいとするお上意識では、再発防止につながらず、有機合成農薬成分を混入した有機農業資材の製造販売は、後を絶ちません。
 疑義資材について、農薬目安箱で、国民から情報を得るだけでは、江戸時代と変りません。調査結果は、きちんと公表するという姿勢を示してもらいたいものです。

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作成:2008-06-28