農薬の毒性・健康被害にもどる
★★農薬事件・事故★★
このところ、農薬による事件・事故が相次いで起こっています。発生状況は違いますが、いずれも、毒劇法による指定のない成分である点が共通しており、農薬危害防止運動にでターゲットにするのは、毒劇指定農薬だけではないことの証です。
t20007c#除草剤の茶飲料への混入事件#08-04
3月31日、東京都練馬区で、花王製の茶飲料「ヘルシア緑茶」を飲んだ男性が下痢症状を訴え、製品が店頭から撤去されたことが、4月5日に明らかになりました。また、4月6日には、兵庫県加東市で、日本コカ・コーラ製の茶飲料「爽健美茶」を飲んだ女性が吐き気などをもよおし、入院しました。
両事件とも、除草剤成分であるグリホサートが検出されたとのことで、製造工程での混入ではなく、流通・販売過程での意図的混入が疑われています。メタミドホス混入事件を契機に、設置された食品危害情報総括官会議が急遽開催されていますが、混入されていたグリホサートの素性や検出濃度も明らかになっていません。
【参考サイト】 厚労省:清涼飲料水の異物混入事例について
花王:お知らせ
t20007b#石灰硫黄合剤製造工場で2名死亡#08-04
4月4日、山梨県甲州市にある殺菌剤・石灰硫黄合剤の製造メーカー鰍ィぎはら塩山農薬工業所で、貯蔵タンク内の沈殿物除去作業をしていた人と救助しようとした人の2名が有毒ガスを吸入して亡くなりました。
この工場は、石灰と硫黄を原料に石灰硫黄合剤を製造しており、タンクからは、高濃度の硫化水素が検出されたということです。
硫化水素は、空気より重い気体で、硫黄分の多い温泉地で発生しています。また硫黄分を含む汚泥などの生分解により発生することもあり、汚泥処理施設やマンホールの清掃をする時は要注意です。東京都杉並区のプラスチック廃棄物の中間処理施設でも発生して、周辺住民に健康被害を与えました。気中濃度0.1-0.2ppmで卵腐敗臭を感じ、3-5ppmで不快臭、100ppm以上で鼻・眼・咽喉の刺激、200ppm以上で臭気麻痺・頭痛・めまい・歩行起立困難・呼吸障害、700ppm以上では意識を失い、死に至ります。
石灰硫黄合剤は酸性物質と反応して、硫化水素を発生します。農業現場でもリン酸第一石灰やリン第一カリなどの肥料と混じたため、中毒を起こした例がしばしばあり、「酸性物質との混用、混入は絶対にしない」との注意がなされています。
最近では、硫黄系入浴剤と酸性洗浄剤の混合により硫化水素を発生させる自殺事件が多発しています。救助しようとした人も中毒になるので、極めて危険です。
【参考サイト】警察庁:硫化水素ガスの製造を誘引する情報の取扱いについて
t20007a#輸送コンテナでカーバム漏れ、作業者3名被害#08-04
4月9日、福岡市の箱崎埠頭で、貨物輸送用コンテナの清掃をしていた作業者3人が吐き気や眼の痛みを訴え、救急搬送されました。コンテナは土壌用殺虫・除草剤キルパー(チオカーバメート系のカーバムナトリウム塩)を輸送したもので、同剤が漏れ出て、床を
汚していたということです。作業者は汚染物質のことを何も知らされず、通常のコンテナ内の清掃と同様に防備もなく仕事をはじめて被害にあったとのことです。
【関連記事】記事t20206
【参考サイト】キルパー:日本曹達とMSDS、北興化学、サンケイ化学
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作成:2008-07-26