農薬の毒性・健康被害にもどる
t20206#キルパー(カーバム)の漏洩事故で農水省が指導#08-06
【参考サイト】キルパー:日本曹達とMSDS、北興化学、サンケイ化学
記事t20007aで、キルパー漏洩による、清掃作業者の被害事例を取り上げました。同剤の日本での登録申請者は、バックマンラボラトリーズで、販売元はサンケイ化学、日本曹達、北興化学です。キルパー協議会の事務局は三菱商事にあります。
農水省に尋ねた結果を以下に紹介します。キルパーに限らず、毒劇指定のない農薬に
ついても、輸送中の事故や漏洩で、人身被害が起こる恐れがあり、その時の対応マニュアルはしっかりしてもらいたいものです。
【質問1】キルパー輸送・事故経緯は?
【回答】事故発生後の関係者からの聞き取りによると、キルパーをJRコンテナで福岡倉
庫に輸送した際、コンテナ内で1缶のキャップがはずれたことにより、コンテナ内
に農薬が漏えいし、清掃にあたったJR貨物の作業員3名が目やのどに刺激を訴え、
救急車で病院に運ばれたとのことです。作業員の症状は軽く、2時間後には回復し
たため、翌日以降は通常どおり出勤したと聞いています。
【質問2】キルパーの荷主はどこか。
【回答】今回事故のあった剤の荷主は、国内でキルパーを小分け販売しているA社です。
【質問3】荷主は農薬の漏洩や車両事故の場合の対策マニュアルをJR貨物や搬送車の運転
手に伝えていたか。
【回答】荷主はコンテナ内の汚染についてはJR側に連絡したものの、対応マニュアル等
は渡していないと聞いています。
【質問4】この事故に関連して、貴省は関係者や農薬業界に何か指導をしたか。
【回答】今回の事案については、関連企業で構成しているキルパー協議会において事故調
査が行われ、その結果について4月25日に農薬対策室に報告がありました。
調査の結果、今回の事故原因は、国内での小分け作業の際のキャップはめ込み作業
の不備(外蓋と内蓋を重ねて同時にはめ込んでいた)のため、内蓋がうまく閉まっ
ていないことを確認できず、輸送中の振動によりキャップが外れたためと判明した
とのことです。
今回の事案を踏まえ、国内小分けメーカーにおいては、@同製品の保有在庫全てに
ついて、キャップの状態に異常がないことを確認するとともに、A今後、キャップ
はめ込み作業を内蓋、外蓋の二段階で行うこととし、それぞれのステップで別々の
作業員による確認を行う、との対応を行うことになったと聞いています。
また、JR側に連絡した際、対応マニュアル等を渡していなかった点については、
事案発生時にではなく、常時参照できるよう、今後配布する準備をしていると聞い
ています。
農林水産省としても、キルパー協議会を通じ、傘下のメーカーに対し、今後同様の
事故が発生しないよう、適正な製造・管理を行うよう指導したところです。
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作成:2008-10-27