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t20301#グリーン購入法における「植栽管理」「害虫防除」について〜IPM推進は国、公共団体、事業者、国民の責務#08-07

 環境省所管の「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律」(以下略称「グリーン購入法」という)は、2000年5月31日に公布された法律で、その目的は「国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人による環境物品等の調達の推進、環境物品等に関する情報の提供その他の環境物品等への需要の転換を促進するために必要な事項を定めることにより、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築を図り、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与すること」となっています。

【参考サイト】環境省のグリーン購入法ネット

 グリーン購入法でいう「環境物品等」には、物品だけでなく「環境への負荷の低減に資する製品を用いて提供される等環境への負荷の低減に資する役務」も含まれ、国が「環境物品等の調達の推進に関する基本方針」を定めています。
 本年2月4日の基本方針改定では15品目が追加されましたが、その中に「植栽管理」と「害虫防除」として以下のような2つの役務があります。
■植栽管理 
【判断の基準】
 @植栽管理において使用する物品が特定調達品目*に該当する場合は、判断の基準を満
    たしている物品が使用されていること。
 A病害虫予防として、適切な剪定や刈込みを行って通風をよくし、日照等を確保すると
    ともに、適切な防除手段を用いて、害虫や雑草の密度を低いレベルに維持する総合的
  病害虫・雑草管理を行う体  制が確保されていること。
 B農薬の使用の回数及び量の削減に努めているとともに、農薬取締法に基づいて登録さ
   れた適正な農薬を、ラベルに記載されている使用方法(使用回数、使用量、使用濃度
  等)及び使用上の注意事項を守って、適正かつ効果的に使用されるものであること。
【配慮事項】
 @灌水の雨水利用に配慮されていること。
 A剪定・除草において発生した、小枝・落葉等の処分について、堆肥化等の環境負荷低
  減が図られていること。
 B施肥に当たっては、植栽管理において発生した落葉等からできた堆肥(土壌改良材)
  が使用されていること。
 C植替え等が生じた場合、既存の植栽を考慮し、病害虫の発生しにくい樹種の選定等に
  ついて、施設管理者への提案が行われること。
 D植栽管理に当たり、使用する機材・器具等については、可能な限り環境負荷低減策が
  講じられていること。

(備考)
 ・本項の判断の基準の対象とする「植栽管理」とは、庁舎周辺等の植栽地及び屋上緑化
  等の管理とする。
 ・植栽管理に係る判断の基準Aの「総合的病害虫・雑草管理を行う体制」とは、発生状
  況等の調査、被害の早期発見、剪定や捕殺などの物理的防除も含めた防除方法の選択
  等、経済性を考慮しつつ健康と環境への負荷の軽減を総合的に講じる体制をいう。
 ・植栽管理に係る判断の基準A及びBについては、農薬の使用に係る施設管理者や周辺
  地域への情報提供、農薬の飛散防止、適正使用の記録の保持等、「住宅地等における
  農薬使用について」に準拠したものであること。

  *:現在、農薬や殺虫剤で、特定調達品目はないとのことです。

■害虫防除
【判断の基準】
 @害虫防除において使用する物品が特定調達品目*に該当する場合は、判断の基準を満
  たしている物品 が使用されていること。
 A殺そ剤及び殺虫剤の乱用を避け、生息状況等の調査を重視した総合的な防除措置が講
  じられていること。
 B害虫等の発生・侵入を防止するための措置が講じられていること。
 C防除作業にあたり、事前計画や目標が設定されていること。また、防除作業後に、効
  果判定(確認 調査、防除の有効性評価等)が行われていること。
 D殺そ剤又は殺虫剤の使用に当たっては、薬事法上の製造販売の承認を得た医薬品又は
  医薬部外品を 使用し、使用回数・使用量・使用濃度等、適正かつ効果的に行われて
  いること。
【配慮事項】
 ○生息状況等に応じた適切な害虫防除方法等を提案するよう努めていること。

(備考)
 ・本項の判断の基準と対象とする「害虫防除」は、建築物における衛生的環境の確保に
  関する法律を基本に、庁舎等のねずみ・昆虫、外来生物等その他人の健康を損なう事
  態を生じさせるおそれのある動物等の防除とする。 
■グリーン購入法による脱農薬を!
 グリーン購入法には国や地方自治体等、事業者、国民の責務として以下の条文があります。
 第三条(国及び独立行政法人等の責務)   国及び独立行政法人等は、物品及び役務
 (以下「物品等」という。)の調達に当たっては、環境物品等への需要の転換を促進す
 るため、予算の適正な使用に留意しつつ、環境物品等を選択するよう努めなければなら
 ない。 
 2  国は、教育活動、広報活動等を通じて、環境物品等への需要の転換を促進する意
 義に関する事業者及び国民の理解を深めるとともに、国、地方公共団体、事業者及び国
 民が相互に連携して環境物品等への需要の転換を図る活動を促進するため必要な措置を
 講ずるよう努めなければならない。 

 第四条 (地方公共団体及び地方独立行政法人の責務) 地方公共団体は、その区域の
 自然的社会的条件に応じて、環境物品等への需要の転換を図るための措置を講ずるよう
 努めるものとする。 
 2  地方独立行政法人は、当該地方独立行政法人の事務及び事業に関し、環境物品等
 への需要の転換を図るための措置を講ずるよう努めるものとする。 

 第五条(事業者及び国民の責務)  事業者及び国民は、物品を購入し、若しくは借り
 受け、又は役務の提供を受ける場合には、できる限り環境物品等を選択するよう努める
 ものとする。 
 いずれも努力規定ですが、国やグリーン調達方針を策定している地方公共団体に対しては、「植栽管理」「害虫防除」について、私たちが、農薬や殺虫剤に頼らない脱農薬やIPM(総合病害虫管理)手法の実施を求める際の、法的根拠になります。また、まだ、方針を策定していないところには、グリーン購入の推進を求めることが必要です。さらに、調達内容については、毎年、意見募集が行なわれ、改定が加えられます。新たな役務を追加したり、判断基準をより具体的なものにしていくことが肝要です。
 ちなみに、地方公共団体のグリーン購入の実施状況について、環境省はアンケート調査を実施していますが、07年については、1874自治体のうち、1408から回答がありました。そのうち、調達方針の策定の有無についての問いに対する回答を表に示します。既に策定しているところが410、現時点では未策定だが今後策定予定が22、具体的な策定予定はないが今後策定したい323、策定予定なし627(44.5%)でした。
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作成:2008-07-26