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t20901#農水省に改めて要望−米の検査から着色粒の項目を削除し、生産者消費者の利益になる検査を#09-01

 昨年、汚染輸入米が食用に出回って大きな問題になりました。農水省の責任が重大であるため、私たちは9月と10月に農水省追究緊急集会を参議院議員会館で開きました(記事t20607記事t20705参照)。  その中で、国産米の価格差を不必要に作り出す農産物検査法による規格規定(カメムシによる吸汁の痕が残った斑点米が0.1%だと一等米、0.2%だと二等米になり価格が60キロで1000円も違う)を問題として指摘しました。
 このような検査があるために、農家は不必要な農薬散布を強いられており、カメムシ防除の農薬が水田で使用する殺虫剤のトップです。
 この問題に関して、昨年10月29日の「汚染米から米流通を考えるシンポジウム」の集会で農水省消費流通課は「そういうご意見が多いので検討している。消費者の意見も聞く」と回答し、そのヒアリングが12月24日に行われることになりました。
 そこで、生き物共生農業を進める会、食政策センター・ビジョン21、反農薬東京グループ、日本消費者連盟、主婦連合会の5団体が農水省を訪れ、話し合いをしました。
 2007年に出した要望は「@農産物規格規程における米の着色粒の項を削除し、着色粒があったとしても格下げをしない。A斑点米カメムシ類の発生を物理的、耕種的手段などで抑え、農薬に頼らない稲作技術の開発・普及をはかる」でした(記事t18604参照)。
 これに、汚染米事件を踏まえて以下のような要望を追加しました。
 「B農産物規格規定の品位に関する項目を全面的に見直し、生産者、消費者の利益となる内容に変更すること。」
 これは、現在の見栄え重視の検査を改め、等級を簡略化し(外国産米は合格、不合格しかない)、農薬使用回数、残留農薬、遺伝子組み換えなどの検査に重点を置くためです。  これに対しては、農水省は承ったとだけ答え、内容に踏み込んでの議論はありませんでした。

★農水省がやったこと
 昨年2月に開催された米規格検討会に関して、私たちが公開質問状をだした結果、当時の会長が「今後、意見を聞くようにする」と会議で述べましたが、それ以後、何をやったのか農水省に糺しました。農水省は関係者による検討チームを立ち上げたとのことです。  これは、消費流通課課長をトップにした事務レベルのもので、植物防疫課、生産安全管理課、生産流通振興課、農業環境対策課、技術会議研究開発課などが参加し、まずは現状がどうなっているか、どうすることができるのかなど話し合ったとのことでした。農産物検査規定をどうするかという内容の話はしていないとのことで、何のための検討会か疑問です。
 その後、米の流通業者以外の消費者団体や食品流通業者などヒアリングする予定でしたが、汚染米事件が起こったので、中断しているが、再開する予定であるとのことでした。

★昨年15万トンがカメムシで等級落ち
 検査については、19年度は米の総検査数量は480万トン、うち15万トンがカメムシによる斑点米が原因で等級が落ちている。2等になったのは12万トン、3等が2万トン、規格外が6千トン。このくらいがカメムシでの落等の数量だという説明がありました。
 斑点米が少ないということは、それだけ農薬が散布された可能性があるわけで、安心はできません。
 米の検査は外国米と国産米では規格が違います。着色粒は国産米だと0.1%以下が一等米ですが、外国の玄米だと1%以下となります。また、外国産玄米は合格か不合格だけで、等級はありません。着色粒の定義も違います。
 農産物検査法は時代に合わない、根本的に改定すべきだという私たちの指摘に対して消費流通課の課長補佐は「根本的な見直しはできない。ただし、規格自体の見直しは可能だ」と回答しました。着色粒の項目を少し変えたりするのは可能だとのことでした。
 なお、米規格検討会は今年度中に開催したいとのことでしたので、新委員には消費者団体から2名以上入れるようにと要望しました。
 今後、国会議員にも働きかけを強め、不合理で理不尽な米検査規定と農産物検査法の根本的な見直しを実現させたいと思っています。

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作成:2009-01-25