行政・業界の動きにもどる
t21003#東京都と区市の50議会への農薬削減など陳情結果〜採択7、継続審議6議会、同時多数陳情だけでは効果少ない#09-02
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記事t20405で、東京都と区市の議会へ樹木への農薬散布削減と公共施設室内での殺虫剤散布に関する二つの陳情をしたことをお知らせしました。その結果が大体出揃ったので報告します。
陳情は@「公共施設樹木等への農薬使用削減に関する陳情」(以下「樹木」)とA「公共施設内での殺虫剤の使用に関する陳情」(以下「室内」)です。詳しい内容は記事t20405をご覧下さい。昨年7月29日付けで23特別区と26市、東京都の50の各議会へ出しました。
09年2月になっても、こちらから問い合わせるまで音沙汰のなかったのは、あきる野市、青梅市、昭島市、葛飾区、中野区の5区市でした。どのような扱いになったのかくらいは提出者に知らせるべきだと思います。自治体の中には、丁寧に何度も文書で知らせてくれるところもありました。また、審議はしないけれども要望として行政の担当課に渡し、そこから回答のあったところもありました。
★採択(趣旨採択も含む)は7議会
陳情が2件あり、それぞれに薬剤の使用状況調査と薬剤を出来るだけ使用しないマニュアルの策定という二つの事項を入れましたので、複雑な結果になっています。
実際に審議して一部分だけでも陳情が採択されたのは以下の7区市でした。
北区=両陳情とも採択
清瀬市=両陳情とも採択
立川市=両陳情とも採択
板橋区(両陳情とも調査のみ採択、マニュアル策定は不採択)
台東区(樹木 趣旨採択、室内 不採択)
西東京市(両陳情とも趣旨採択)
東村山市(樹木 採択、室内 不採択)
趣旨採択について、練馬区議会では、「請願(陳情)の願意については十分に理解できるが、財政事情等から当分の間は願意を実現することが困難な場合などに、便宜的に「趣旨には賛成である」という意味の議決をすることがあります。この場合の決定方法のことをいいます。」とあります。また、稲城市議会は「請願(陳情)によって要望した内容が、趣旨なり、目的はよいとしても、時期、場所、構造または金額などが願意に沿い難い場合には「趣旨採択」として、議会の意思を執行機関に伝えます。」とあります。要するに、言うことはわかるけれど、何もやる気はないので、せめて意見を行政に伝えるというくらいのものでしょう。
★継続審議は6議会
新宿区、足立区、江戸川区、江東区、杉並区、豊島区は継続審議となりました。しかし、次の議会で必ず審議するとは限らず、付託された委員会の長がどうするか判断するということでした。そのままお蔵入りになる可能性もあります。
★その他
千代田区は、独自の送付陳情制度があり、担当委員会へ送付され、審査されますが、両陳情は、参考送付され、環境・文教委員会で審査されました(後述参照)。
★不採択 1議会は東京都
東京都は陳情は持参しないと受け付けないというので、都庁までもっていきましたが、結果は不採択でした。
都議会のホームページには、以下のような経過と結論があるだけで、審議内容や理由は知らされませんからわかりません。本会議では委員会の結論が他の陳情案件などと合わせて、その内容の朗読もなく、委員会報告通りとして、起立により、一括採決されただけでした。ちなみに、両陳情とも不採択は東京都だけでした。
○20第39号 「室内」の陳情
厚生委員会 不採択
受理年月日 平成20年 8月20日
付託年月日 平成20年 9月26日
審査年月日 平成20年11月28日
議決年月日 平成20年12月17日
○20第40号 「樹木」の陳情
環境・建設委員会 不採択
以下の年月日は同上
★審議すらしない議会が多い
たとえ、趣旨採択であろうと不採択であろうと審議をしたところはまだいいです。大部分の自治体は審議すらしませんでした。理由は、一番多いのが郵送で来たからだということでした。実際に郵送でどのくらいくるのか不明ですが、請願や陳情を審議するのは議員の仕事じゃありませんか。
○議長がみるだけ 10議会
議長がみるだけでそのままというところが10自治体ありました。練馬区、昭島市、
小平市、多摩市、日野市、福生市、武蔵野市、大田区、東久留米市、狛江市です。
最初から審議するつもりはないようです。
○議員に参考配布 25議会
議員も全議員配布と会派代表に配布、委員会に配布と違いがありました。全議員に
配布すると中には関心を持ってくれる議員もでてきて、市議の何人かから問い合わ
せがありました(たとえば、八王子市議会では、陣内やすこ市議が質問されました)。
荒川区、葛飾区、中央区、品川区、渋谷区、墨田区、世田谷区、中野区、文京区、
港区、目黒区、あきる野市、稲城市、青梅市、国立市、小金井市、国分寺市、
調布市、八王子市、羽村市、東村山市、東大和市、府中市、三鷹市、町田市
★HPでの陳情公表はどうなっているか
私たちの行った陳情が、議会内だけに留まって、住民が知らないのでは、その意義が半減してしまいます。
陳情は、どのくらい、住民に公表されているかを調べるため、公共施設室内/公共施設樹木等/陳情のキーワードで、yahoo検索してみました。ヒットしたものをまとめると以下のようです。このほか、各議会の議事録、議会だよりの広報などに掲載されている例があるかもしれません。
○陳情の本文が掲載されているケース
足立区と新宿区の議会HPに、本文が載っていました。
そのほか、杉並区・堀部やすし区議、青梅市木下かつとし市議、
西東京市・森てるお市議の個人HPにも掲載されていました。
○陳情表題や審議結果のみ公表のケース
陳情の内容に触れず、その表題、採択か不採択か、継続審議かなどの
審議結果が記載されていたのは、以下の議会です。
板橋区、江戸川区、大田区、北区、台東区、千代田区、豊島区、中野区、清瀬市、
立川市、西東京市、東久留米市、町田市、東京都。
ほかに江東区・中村まさ子区議と豊島区辻かおる区議、東村山市・薄井政美市議が、
個人HP上で、両陳情の表題を挙げていました。
★多くの議会への一斉陳情は効果が少ない
自分の居住する自治体の議会に陳情をする場合は、ある程度効果があると思いますが、今回、私たちが行ったような、同時に多数の議会に陳情するのは効果は少ないと思われます。結局、郵送せざるを得ない議会が多く、郵送の陳情は最初から審議しないと決めているところが大多数のためです。(中には事務所のある西東京市のように、持参でも郵送でも同じ扱いですというところもありましたが。皮肉なことに東京都議会以外では唯一、持参したところです)
議会がこのような対応でいいのか疑問は残りますが、せっかく、1万字を超える参考資料をつけ、陳情しても、議員に理解してもらい、採択に至るのが困難であることを実感しました。
★陳情事項を行政が実行するのが目標
議会が陳情を採択したところには、行政サイドに陳情事項を実施するよう、住民による更なるプッシュが必要であることも忘れてはなりません。
いままでのところ、世田谷区は議会で審議せず、議員と区長に渡すということでしたが、後日、公園緑地課長から世田谷区の農薬散布状況を知らせてきました。
千代田区は、8月28日に環境文教委員会に参考送付したという文書が届いた後、10月30日に「本陳情については、各委員に陳情書の写しを配布し、区における農薬の使用状況等を把握することとし、引き続き調査を行うこととしました」と議長からの文書が届きました。
さらに、12月26日に取り扱い結果が送られてきました。内容は@質疑の冒頭に執行機関から農薬使用状況の調査結果の説明があった。A質疑の結果、区立施設全体を包括した指針・マニュアル等を策定する部署がない、住民・子どもの被害事例はないことが明らかになった。B委員会としては今回の調査結果を公表するとともに、今後も区政で有効に活用されることを執行機関に求め、審査を終了した。というものでした。薬剤使用状況の調査結果は区議会のHPの環境文教委員会の資料というわかりにくいところにあります。
読みにくいと言うと、印刷したものを送ってくれました。全国で、はじめて、歩きタバコ禁止条例をつくった議会だけのことがあります。農薬・殺虫剤散布規制条例もお願いします。
すべての区市議会がこのくらいやっていただければと思いました。
立法機関である議会へは、陳情のほかに、議員を介した請願という形がありますが(本誌204号Q&A参照)、ロビー活動として議員への働きかけをする一方で、行政サイドの自治体の長や担当部署などに、直接、要望を出したり、パブリックコメントで意見主張をすることも重要です。
【ホームページでの掲載状況】
1、陳情の本文が掲載されているもの
○足立区議会 公共施設樹木等への農薬使用削減に関する陳情
公共施設室内での殺虫剤の使用に関する陳情
○新宿区議会 樹木の陳情、室内の陳情
○杉並区議会 堀部やすし 議員個人HPにある室内の陳情と樹木の陳情
○西東京市 森てるお議員のHPにある樹木の陳情と室内の陳情
○青梅市 木下かつとし議員個人HPにある議会運営委員会配布資料(8月28日)
【2、陳情の表題や審議結果の記載のあるもの】
江戸川区議会、大田区議会 北区議会
千代田区議会 陳情書の取扱いと結果 環境文教委員会(12月5日)の審査議事録 発言2-13と
提出資料(区有施設での農薬・殺虫剤の使用状況)(全ファイル統合転載)
豊島区議会 中野区議会 清瀬市議会 立川市議会 西東京市議会
東久留米市議会 東村山市・建設環境委員会議事録 町田市議会 東京都議会
八王子市議会 平成20年_第3回定例会(第2日目)(陣内康子議員の質疑)
江東区・中村まさ子議員のHPにある区議会レポートNO.52
豊島区・辻かおる議員の個人HP(区民厚生委員会9月30日) 東村山市・薄井政美議員のブログ
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作成:2009-07-27