環境汚染にもどる

t21409#宇都宮化成の工場敷地や神奈川農政事務所跡地でBHC汚染みつかる#09-06
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5月9日、「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」(POPs条約)の締約国会議で、同条約にBHCなど9物質を追加することが決まりました(Q&AP参照)。これと相前後して、栃木県と神奈川県でBHC汚染が発覚しました。

★宇都宮化成の工場跡地の汚染
 4月24日、三井化学グループ傘下の農薬メーカー宇都宮化成工業株式会社は、栃木県宇都宮市にある工場内の土壌と地下水の環境調査結果を発表しました。

 分析対象は土壌汚染対策法の25種の特定有害物質とダイオキシン類及び3種のPOPs類(BHC、DDT、クロルデン)で、そのうち、基準値や指針値を超えて検出された物質を表に示します。
 表 宇都宮工場の汚染状況 (*は土壌溶出量)

分析対象 指針超え数/調査数 検出範囲
土壌
6価クロム    1/385    ND〜0.28mg/L*
水銀       1/385     ND〜120mg/kg
鉛       30/385   ND〜3200mg/kg
砒素       1/385   ND〜240mg/kg
ダイオキシン類 10/385 0.0003〜5000pgTEQ/g
BHC     51/385   ND〜2.5mg/L*
井戸水
ベンゼン     1/27   ND〜0.015mg/L
ダイオキシン類  3/28  0.073〜78pgTEQ/g
BHC      1/27    ND〜0.059mg/L
 宇都宮工場では、1962〜94年に、BHC,DDT,PCP,PCNB、クロルデ ン、有機砒素、砒酸鉛、有機水銀を含む農薬製剤ほかを生産しており、水銀剤や有機塩素系のブラスチン(PCBA)らの廃農薬を埋設処理していたこともわかっています。これらが汚染の原因になっていることは間違いありません。
 同社は、地元住民に説明を行い、汚染土壌や地下水の処理(土壌は舗装被覆、高濃度汚染のものは掘削・除去。地下水は活性炭処理設備で浄化)を行うとしています。

★神奈川農政事務所跡地の汚染
 5月14日、農水省関東農政局は、神奈川県平塚市で1973年から04年まで業務を行っていた神奈川事務所の旧庁舎跡地の土壌からBHC0.0013〜0.030mg/Lとシアン0.1mg/L(いずれも土壌溶出量)を、地下水からBHC0.019〜0.280mg/Lを検出したこと、今後、約400m3の土壌の入れ替えと380m3の地下水の汲み上げによる同地の浄化計画を公表しました。  跡地は、07年2月市道の工事中にBHCの空袋が発見された場所(記事t18802参照)に近く、神奈川県と平塚市の指導により、環境調査を実施したとのことです。
 農政局は業務期間中、旧庁舎ではBHCやシアン化合物を使用していないとのことで、この地に、かって存在した農薬メーカー共同化学工業がBHC製剤などを製造していたこととの関連が濃厚です。
 私たちは先の農薬危害防止運動についての要望でも、旧農薬工場跡地等の調査と、その監視及び掘削・無害化処理を求めましたが、この要望の早急な実現が望まれます。
【参考サイト】農水省関東農政局:神奈川農政事務所旧平塚庁舎における汚染土壌の除去等について

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作成:2009-11-27