行政・業界の動きにもどる

t21702#農産物検査法の廃止を! 斑点米の項目削除から法律そのものへ問題点広がる
【参考サイト】農産物検査法
        JAS法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)
        斑点米・米規格に関する政党アンケート:質問回答

★最初の要望は2007年
 2007年から農産物検査法による斑点米(着色粒)の項目削除を求めて運動してきました。私たちが運動を始めたのは、斑点米の原因とされるカメムシ防除のための農薬散布が水田での殺虫剤散布面積の一位を占め、不必要な農薬散布を助長しているからです。農産物検査では、斑点米が1000粒に1粒なら一等米、二粒、三粒だと二等米になり、玄米60キロ当たり1000円程度の価格差がでます(記事t18401参照)。
 このような理不尽な規格は削除すべきと、最初に農水省に申し入れをしたのは、07年2月15日で、68団体、145個人で「農産物検査からコメ着色粒の項目削除を求める要望」を出しました。この時、担当の消費流通課は「この法律は流通のためにある」、「関係団体は米流通業者であり、消費者は関係ない」と回答しました(記事t18604)。
 この問題を広く知らせようと、同年6月14日に「農産物検査とカメムシ防除の『奇妙な関係』に終止符を!」と題して、29団体が実行委員会を作り、シンポジウムを開きました。その間、衆参両院の農水委員会の議員を中心に、ロビー活動を行いました(記事t19105参照)。
 08年2月には、農水省が開催する「農産物検査規格検討会議」に公開質問状をだし、複数の県議会や市町村議会、政党、消費者団体、市民団体、農業者団体からの意見書や要望を無視するのはどういう理由かなどを聞きました。会議では最後に、もっと消費者などの意見を聞く事を確認しました(記事t19905参照)。

★汚染米事件と同じ根っこ
 08年9月に汚染米事件が発覚し、米検査担当の消費流通課が係わっていたため、9月24に「汚染米農水省追究緊急集会」を開き、農水省を追究すると同時に、米の検査の問題を取り上げました。10月29日には「汚染米から米流通を考えるシンポジウム」と題して第2回集会を開きました(記事t20607記事t20705参照)。
 消費者の意見を聞くと約束した農水省に対して早く実施するよう要望した結果、08年12月にようやくヒアリングという形で、農水省と話し合いを持ちました。この時、汚染米事件を踏まえて「農産物規格規定の品位に関する項目を全面的に見直し、生産者、消費者の利益となる内容に変更すること」という新たな要望を付け加えました(記事t20901参照)。
 09年4月に、民主党の筒井信隆議員のセッティングで、農水省との意見交換会がもたれました。農水省との話し合いはこれで三回目となりました(記事t21203参照)。
 話し合いを進める中で、農水省は斑点米を消費者が嫌がるから検査をするのだと、意見を変えてきましたので、本当に消費者が嫌がっているのか、そもそもこうした制度を消費者が知っているのか、生産者はどう考えているのかアンケート調査をすることにしました。

★斑点米に関するアンケート
 09年4月に「米の検査規格の見直しを求める会」を16団体で結成し、「斑点米アンケート」を実施し、消費者3837、生産者229件の回答を得ました。斑点米の規格を不要としたのは消費者84%、生産者80%でした。特に消費者からは、「このような検査があるとはしらなかった」という意見が多く寄せられました。
 斑点米が入っているとご飯の味に変化があるのかどうかと、6月15日に「斑点米を食べてみる会」を企画し、30数名が実際に一等米、二等米、三等米を炊いて食べました。その結果、ほとんどの人が、二等米も三等米も味に変化はないことを確認しました。このイベントはNHKラジオで放送され、視聴者からの反応も私たちのアンケートと同じような内容でした。
 翌日、農水省の食糧部長とあい、さらに話を詰めました。部長は「二等米以下の米のコストが本当に1000円もあるのか、もう一度調査する」と約束しましたが、その後、部長は替わり、調査結果はまだできていないとのことです。
 また、衆議院選挙にあわせて、政党に斑点米の項目が必要かどうかのアンケートを行いました。7党から回答を得ましたが「現状でいい」というのは1党もありませんでした(記事t21501参照)。

★農産物検査法そのものの廃止を
 これまでの運動の経緯から、単に斑点米の規格の削除だけでなく、農産物検査法そのものを廃止すべきではないかという意見が多くなりました。農産物検査法は1951年に、食糧管理法(食管法、1995年に廃止)を補完するものとして制定されたまま、部分的改定だけで現在に至っています。つまり、時代遅れということです。
 いくつか、農産物検査法の問題点をあげます。

★登録検査機関の問題点
 農産物検査法で「農産物」というのは、米と麦、それに大豆など政令で定めたものだけです。キャベツやリンゴなども検査があるのではないかと思う人もいるようですが、野菜や果物などに国が定めた検査はありません。あるとすれば残留農薬の検査ですが、農産物検査法では残留農薬の検査は一切しません。
 検査は2006年からすべて民間の「登録検査機関」が行っています。これは農水大臣に申請して登録を受けた法人で、ほとんどが農協です。登録検査機関が検査する区域が決まっていて、生産者は決まった登録検査機関以外で検査を受けることができません。06年度で検査機関は1404、検査員は13312人です。
 農水省は毎年登録検査機関に監査巡回の結果を公表していますが、昨年度の結果はまだ出ていません。07年度の結果を見ると「従たる事務所の事務員が農産物検査員の指示を得ないで検査認印、等級証印を押した」「異品種であったにもかかわらず、銘柄証明した」「包装に印刷された登録検査機関名と検査を実施した機関名が違っていた」など、さまざまな違反が報告されています。しかし、報告は7県のみで、他の県は違反がなかったのかどうかわかりません。
 検査費用は60キロで50円です。これは生産者が払います。生産者は他に施設利用料とかで60キロ当たり51円払わなければならないとのことです。生産者は検査を受けるだけで60キロ101円支払うわけです。

★JAS法の三点セット表示の根拠は不合理
 農水省消費流通課は、この検査は「受けることができる」であり、検査をするもしないも生産者の自由といいますが、JAS法()で、この検査を受けないと三点セット(産地、産年、銘柄)が表示できないことになっていますから、スーパーなどで売ろうとしたら検査を受けざるを得ません。検査数は生産量の約6割、480万トンくらいと農水省は言っています。
 しかし、コメの検査は玄米を対象にしています。玄米の袋に検査年月日、検査機関名・検査員印、等級印のスタンプが捺されるだけです。袋から出し、異物や着色粒などを取り除いた白米は、元の品位とは異なり、等級は消えます。そのため、米屋さんやスーパーに並んでいるコメは等級の表示はありません。
 しかも、検査は全て目視による外見検査です(水分だけは別)。産年・産地・銘柄も検査を受ける人の言い分をそのまま認めているだけです。目で見ただけの検査など必要でしょうか。

★成分検査は実施しない
 法律で、コメの検査は@成分検査、A品位検査となっています。しかし、実際に検 査するのは斑点米の数を調べる品位検査だけで、成分検査は行っていません。成分検査と言っても蛋白質とアミロースだけですが、これすら検査できる備品を持っていない登録検査機関がほとんどということです。そのためか、日本食品分析センターが成分検査をするとインターネットで広告しています。それによると、米穀の蛋白質は1検体当たり4000円、アミロースは5100円です。これに経費、旅費、手数料がプラスされます。分析の依頼者は、自分でできない登録検査機関です。
 こんないいかげんな法律はいらないのではないでしょうか。先日の消費者アンケートでわかったことですが、消費者は安全性の検査を求めています。新しい法律が必要でしょう。

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作成:2009-09-27