環境汚染にもどる

t21904#アメリカでの農薬規制の動き〜ベンゾエピン、エチルチオメトンの製造中止など#09-11

★バイエルがベンゾエピンの製造・販売中止を発表
 ベンゾエピン(別名エンドスルファン)は、商品名マリックスとして知られている有機塩素系殺虫剤です。日本では、1960年に登録、毒物及び水質汚濁性農薬に指定され、各地で魚毒事件の原因となっています。
 欧米では、PAN(国際農薬監視行動網)ほかの環境保護団体は、同剤は急性毒性が強いだけでなく、自閉症・先天異常・男性生殖系異常などの疑いのある超残留性物質であることを理由に、その製造・使用禁止を求めて、キャンペーン運動を展開していましたが、今年の7月、メーカーのバイエル社は、2010年末までに、すべての国でのベンゾエピンの製造・販売を止めると発表しました。日本での出荷量は、図のように減少傾向にあり、07年は、14.4トンでしたが、今後、登録の行方が注目されます。(2010/09/29、登録失効しました)
【参考サイト】Beyond Pesticides:8/10ニュース
      販売禁止農薬についての当グループ意見(2010/02/17、農水省へ提出)

★有機リン剤メタミドホス、エチルチオメトンも
 欧米では、有機リン剤の規制が進んでいますが、アメリカのEPA(環境保護庁)は、 9月に、メタミドホスとエチルチオメトンのメーカーによる製造の自主的中止を認め、 前者は本年末にすべての製品が、後者は殆どの製品の製造が取り消されることになりました。現在ある製品は、2010年末まで販売可能ということです(エチルチオメトンの2製品は2011年6月まで可)。
 メタミドホスは、日本での農薬登録はありませんが、昨年、中国製冷凍ギョウザに混入された事件でよく知られています。
 エチルチオメトン(別名ジスルホトン)は、商品名ダイシストンとして知られている毒物指定のある殺虫剤で、単粒剤や複合粒剤が登録されています。最近の出荷量は減少傾向にありますが、それでも、07年は220トンありました。
【参考サイト】アメリカEPA:10/02ニュース
   
★除草剤アトラジンは再評価へ
 10月に、EPAは、除草剤アトラジンについて、ヒトでの発ガン性、先天異常、低体重・未熟児出産などについて再評価することを発表しました。
 アトラジンは、その使用による水系汚染の結果、カエルの性分化やオスの生殖系の異常、雌雄同体の出現が報告され、内分泌系や免疫系に影響をあたえる環境ホルモンであることが疑われています。同剤は、ヨーロッパでは、04年に使用規制されていますが、日本では、依然として登録されており、ゲザノンという商品名の水和剤があります。出荷量は、この数年は年間50トン前後になっています。
 さらに、EPAは環境ホルモン系の67農薬について、遅れていた、第一段階のふるい分け試験をメーカーに命じています。
【参考サイト】アメリカEPA:10/07ニュース10/16ニュース
       
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作成:2010-02-27