環境汚染にもどる

t22002#農薬被曝事故は業務上過失傷害か、警察が被害届を受理(その4)経済産業省などからの回答と環境省のゴルフ場農薬水質調査結果#09-12

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【電子版資料集】第4号<無人ヘリコプター農薬散布∞現状と問題点>
【参考サイト】アコーディアゴルフのHPにある習志野カントリークラブ
       スミパイン乳剤、サンケイ化学にあるスミパイン乳剤のMSDS
       且O商ヤマハの無人ヘリコプターの頁千葉スカイテック

 前号につづいて、当グループからのゴルフ関連の行政や団体に要望を行った結果を報告します。残念ながら、文部科学省スポーツ・青少年局生涯スポーツ課、ゴルフ場事業者団体の(社)日本ゴルフ場事業者協会と(社)日本パブリックゴルフ場事業協会及びゴルフ競技者団体の(社)日本プロゴルフ協会、(社)日本女子プロゴルフ協会からは、回答がありませんでした。

★経済産業省から
 経済産業省商務情報政策局サービス産業課から、この問題を真摯に受け取る以下のような回答が来ました。ゴルフ場事業者団体を所管する省だけに、今後の周知依頼に期待したいと思います。
 【質問1】「住宅地通知」について、貴省は、いつ、どの部署から、どのような
  ゴルフ場事業関係者に、どのような連絡をしたかを教えてください。
 (答)平成19年1月31日付け「住宅地等における農薬使用について」の通知
  については、農林水産省及び環境省から発出されたものと理解しておりますが、
  本件の重要性に鑑み、ゴルフ関係事業者に対して直ちに周知したいと考えてお
  ります。

 【質問2】貴省所管のゴルフ場事業関係者に、習志野カントリークラブでの事故
  発生の事実を伝えた上、同類事故が再発しないよう、あらためて、「住宅地通
  知」の遵守を求めてください。
 (答)1.御指摘のとおり農薬の使用については、農薬取締法による規制、農薬
  を使用する者が遵守すべき基準を定める省令及びこれらの解釈基準等を示した
  通達が発出されており、農薬使用者にはこれらの基準等の遵守が求められてい
  ます。これらの基準等はゴルフ場が農薬を使用する場合にあっても、当然適用
  されるものです。
  2.経済産業省としては、御指摘の点も踏まえ先述のとおり、所管のゴルフ関係
  団体に対して、ゴルフ関係事業者への法令等の周知、遵守徹底を図ってまいり
   たいと思います。

  【質問3】ゴルフ場での農薬使用は、環境汚染や健康被害防止のため、出来るだ
  け減らすべきであり、万一、農薬を散布する場合は、ゴルフ場従業員やプレイ
  ヤー、ギャラリー等に農薬散布について周知を徹底させるため、農薬散布予定を
   1)プレイヤー個々人に通知
   2)クラブハウスでの掲示。
   3)散布場所へも掲示し、一定の期間立入り規制を行う
   4)農薬散布予定をゴルフ場のホームページで知らせることが、重要と思い
     ます
  が、貴省のお考えをお示しください。
 (答)ゴルフ場が農薬を使用する際は、農薬取締法等法令の趣旨を鑑み、人畜や
  周辺の生活環境に影響が及ばないようにしなければならないと考えますが、ゴ
  ルフ場が講じる具体的な措置については、それぞれのゴルフ場の立地環境や農
  薬の使用方法等を踏まえて、一義的にはゴルフ場や農薬使用者が判断すべき事
  項ではありますが、一部関係者からは、効果的な周知のあり方について考えた
  いと伺っております。
   ご提案の内容については、ゴルフ場関係団体への周知依頼を行う際に参考情報
    としてお知らせしたいと考えています。
★ゴルフ競技者団体から
 文部科学省所管のゴルフ競技者団体である日本ゴルフ協会からの回答は以下のようでした。
 ・住宅地通知について
 (答)通知の伝達が不十分であるので、その主旨を速やかに各地区を通してゴルフ
  場に再度徹底する所存です。
 ・農薬散布にかかわる情報について
 (答)貴信からの情報を受け、今後各地区を通して支配人会やゴルフ場との情報伝達
  の改善図る所存です。
 ・住宅地通知の遵守
 (答)各地区とも協議を行い、住宅地通知の遵守を書面等にて徹底いたす所存です。
 ・ゴルフ場内部に於ける農薬散布の連絡
 (答)多くのゴルフ場が作業計画を提示し、直前にも内部に連絡をいたしておりま
  すが、一層の徹底を各ゴルフ場にお願いする所存です。
 現在、ゴルフ界ではゴルフ場及びその周辺の環境改善に関し、二酸化炭素排出削減
 のキャンペーンを中心に進めておりますが、大気汚染や水質汚濁防止、廃棄物処理
 など基本的な面での法令厳守も徹底させて参る所存であります。
ゴルファー緑化推進協力会(GGG)
 GGGは、環境省所管の特定公益増進法人で、ゴルフ競技者に緑化推進の寄付=緑化協力金を求めており、会員ゴルフ場が協会へ、一人一日プレイするごとに50円を収集、そのうち、40円が地方や全国の緑化事業にまわります。
 私たちの申し入れに、GGGは『今回、このような事故が起きてしまったことは、まことに残念でなりません。今後、あらゆる機会をとらえて、ゴルフ場関係者への注意を喚起して参りたいと考えております。』とし、以下のような回答(抜粋)がありました。
 ・住宅地通知について
 (答)誠に不勉強で申し訳ありませんが、この度のご連絡を頂くまで「住宅地通知」
  の存在は知りませんでした。通知の伝達が不十分であるので、その主旨を速やか
  に各地区を通してゴルフ場に再度徹底する所存です。
 ・農薬散布事故にかかわる情報について
 (答)習志野カントリークラブでの農薬散布事故については、貴グループからご
  連絡を頂いて知った次第です。
★北海道のゴルフ場で除草剤散布者が中毒〜農水省は知らなかったと
【参考サイト】厚労省の化学物質による労働災害発生事例にあるその他の化学物質による中毒等(2008年度)
 厚労省は化学物質により労災被害状況を毎年報告していますが、08年7月に、ゴルフ場で、除草剤散布作業をしていた運転手が農薬中毒となった事例が挙がっていました。この事故は、北海道虻田郡のゴルフ場でおこったものです。詳細は不明ですが、前号に掲載した農水省の中毒統計には出ていないものです。どうやら、事故報告を受けた部署が異なっていて、農水本省には情報が入らなかったようで、同省は、今後、このような事例も集めるとしています。

★環境省のゴルフ場水質調査結果
【関連記事】記事t20902(07年度調査)
【参考サイト】環境省:ゴルフ場暫定指導指針対象農薬に係る水質調査結果08年度調査

 上記GGGの返事には、『ゴルフ場水系の水質検査で指導指針値を超えるゴルフは過去5年間に1件もでていないほど、改善されております。』との文言がみられましたが、環境省が、11月16日に発表した08年度のゴルフ場農薬の水質調査結果でも、指針値超えはみられませんでした。
 08年度に検査されたゴルフ場は、前年より120個所減った634個所(全ゴルフ場の約四分の一)で、総検体数も、前年約3900件減の2万3403件でした。
 県別の調査ゴルフ場数をみると、兵庫県は87個所で、総検体数の21.2%の4971件の分析がなされています。一方で、青森、愛媛県の調査数は0、岩手、山形、群馬、山梨、石川、滋賀、鳥取、山口、徳島、高知、宮崎の11県で調査数1となっています(このうち、19都道県の21個所は環境省地方環境事務所が調査を実施)。
 ゴルフ場の排水口の水質から検出された農薬と検出範囲を表に示しました。
指針値のある45農薬のうち昨年より多い27種の農薬が検出されており、最高値はプロピザミドの0.041mg/Lで、指針値を超えたものはありませんでした。昨年につづき、除草剤テルブカルブが、98年7月9日に失効しているにも拘わらず、いまだ検出されている理由は、不明です。指針値のある農薬45種のうち5種はすでに登録失効していることも踏まえ、環境省は、分析対象農薬の見直しを検討しているといいますが、まだ、その内容は示されません。

 表 ゴルフ場排水口での農薬別分析結果 −省略−


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作成:2010-05-27