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t22006#東大農場、水銀剤使用など農薬管理で農場長など5名懲戒処分#09-12

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【参考サイト】東京大学:東大付属農場多摩農場をめぐる問題について
       懲戒処分について

 昨年10月、西東京市にある東大大学院農学生命科学研究科付属農場(東大農場)で、使用禁止農薬の水銀剤を1997年、98年、99年に種籾の消毒に(収穫された米は周辺住民に販売)、また、2006年、07年にリンゴに使用したことが明らかになり、地域住民への説明会で、厳しく批判されました。同時に、農水省農薬対策室も農場へ立入検査を行い、水銀剤使用実態など3項目の報告命令を出しました。(本誌206号)
 その後、東大農場における農薬の杜撰な扱いは次々明らかになりました。10月16日には、有機リン系農薬で特定毒物のパラチオンが保管されていることがわかり、東京都から廃棄を指導されました。その他、東大農場にあった農薬は、ガンマBHC,DDT、エンドリン、アルドリン、水銀剤、CNP、ダイホルタン、水酸化トリシクロヘキシルスズなど、まるで使用禁止農薬のオンパレードでした(その後、廃棄処理)。
 当初、東大は「研究用だから何を使っても許される」という態度でしたが、もとよりそのような傲慢な態度は許されるはずがなく、農水省も厳重に注意したようです。
 ところが2009年4月になって、また、水銀剤やパラチオンが発見され、大騒ぎになりました。この時は、東大総長はじめ、総務担当理事、広報担当理事、研究科長など東大のトップが対策会議を開き、前年10月の調査が不徹底だったことを認め、再発防止に農場内の徹底した探索を行うことなどが決まりました。

★ようやく責任者処分
 09年11月17日、東大は記者発表し、教職員を処分したことを明らかにしました。
 ○技術職員(50歳代)=諭旨解雇。
  理由:水銀剤を使用した。廃液を農場敷地内に廃棄した。08年10月に農薬を
     すべて申告・提出する指示を受けていながらその一部を保管していた。
 ○准教授(50歳代)=停職二ヶ月。
  理由:04年から08年にかけて、農場の実験室で学生を指導して水銀剤を使用
     して種籾の消毒を行い、廃液を不適切に保管していた。また、05年か
     ら08年まで農場の農薬等の管理・処分等を所掌する委員会の委員長を
     していたが、迅速な対応を怠り、自ら水銀剤を所持し、07年にも新た
     に保有した。
 ○教授(前農場長 50歳代)=停職二ヶ月
  理由:本件の管理監督責任の他、08年9月、技術職員に、同職員が作成した作
     業日報中の「水銀剤」を「消毒剤」とするよう指示した。
 ○教授(40歳代)=減給、研究科長(50歳代)=戒告
  理由:05年から07年にかけて研究科の実験室で水銀剤の水溶液に玄米を浸す
     方法で学生を関与させた。
 ○研究科長(50歳代)=戒告
となっています。
 昨年10月の時点では紳士面していた農場長の教授は、裏では、水銀剤使用をもみ消そうと文書偽造を指示していたのですね。
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作成:2010-03-28