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t22206#販売禁止農薬の追加についてのパブリックコメント〜ケルセンは、5年前の私たちの要望を拒否し、ようやく販売禁止に#10-02
【参考サイト】農水省:第12回農業資材審議会農薬分科会 配布資料と議事録
農薬の販売の禁止を定める省令の一部改正案に関する意見・情報の募集について
省令改正概要と当グループの意見
提案通りで、2010年4月1日から施行
03年3月の農薬取締法改定の際、「農薬の販売の禁止を定める省令]が発令され、21の農薬成分が禁止対象となりました。
農水省は、1月29日、この省令の改定案を出し、パブリックコメントを募集しました。販売禁止農薬として新規に指定されたのは、α-BHC、β-BHC、クロルデコン、ケルセン、ペンタクロロベンゼン、名称変更はリンデン→γ-BHCです。
★POPs条約の見直し結果で禁止農薬に
【関連記事】記事t21410
BHC系の農薬には異性体があり、その中で殺虫効果が高いのはγ体です。化学合成した粗BHC中のγ体は10数%でどまりで、残りはα体やβ体などの異性体です。これを精製し、γ体を99%程度の高純度にした製剤がリンデンです。日本で多く使用されたのは、精製されない粗BHCで、α体やβ体が大量に含まれていました。今回、これら異性体が個々に販売禁止にされました。
クロルデコンは日本での登録はありませんが、商品名キーポンの名で知られており、アメリカで、製造工場労働者の乏精液症や魚介類汚染が発覚し、禁止になっていました。
ペンタクロロベンゼンは、それ自身の農薬登録はありませんが、販売禁止になったPCPやPCNBの不純物や代謝物のひとつです。
上記は、いずれも、昨年のPOPs条約第4回締約国会議で製造・使用禁止が決まった物質です。
★ケルセンは一旦指定を拒否された
【関連記事】記事t16206、記事t16408
ケルセン(ジコホール)は、登録農薬でしたが、04年3月にメーカーが突然、製造廃止届をだし、回収をはじめました。これは化審法の試験で難分解性かつ高濃縮性と判定されたことを踏まえたもので、05年4月からは、同法の「第一種特定化学物質」指定を受け、製造・使用が禁止されました。私たちは、この直前の2月にケルセンを販売禁止農薬に指定するよう農水省に求めましたが、当時の回答は『農薬は一般の化学物質とは異なり、登録に際して各種毒性評価を行った上でADI、残留基準、使用基準等が定められ、リスク管理のための各種規制が行われています。―中略―このため、化審法で一特指定がなされたとしても農薬について特段の措置が必要になるとは考えていません。』でした。
遅れること5年、農水省はやっと重い腰をあげたようです。
★販売禁止農薬候補ベンゾエピン
【関連記事】アメリカでの農薬規制の動き〜ベンゾエピン、エチルチオメトンの製造中止など
次の販売禁止農薬の候補は、ドリン剤やクロルデンと似た化学構造を有する有機塩素系のベンゾエピン(エンドスルファン)です。アメリカでは、メーカーのバイエル社が、環境保護団体の使用反対の主張を受け入れ、本年末までに、製造・販売を中止することを決めています。日本でのベンゾエピン原体輸入量は06年13.5トン、07年27.0トン、08年不明となっています。このまま、こっそり消えていくのでしょうか。
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作成:2010-05-27