農薬の毒性・健康被害にもどる

t22503#農薬危害防止月間に関する質問への回答〜「使用基準違反の罰則は法遵守が目的」なら「住宅地通知」にも早急に罰則#10-05
【参考サイト】農水省:農薬危害防止運動のページ農薬事故・被害状況
              質問と回答
   4月23日に発出された通知:H22年度農薬危害防止運動の実施について
           実施要綱ポスター


 今年度の農薬危害防止月間に関する要望と質問を農水省と厚労省に提出したことを報告しました(記事t22404)。要望は聞き置くということでしたが、農水省と厚労省から質問に対する回答がきました。以下に主な質問と回答の要旨を報告します。

【質問2】
 残留基準違反の事例で農薬使用者に罰則が適用されたことはないが、その理由は何か。また、罰則を適用する基準があるのか。
【回答】農薬取締法における罰則は、法律を遵守させることを目的としている。残留基準違反があった場合は、都道府県が生産者への立入検査を行い、可能な限り原因究明を行う。これまでの事例を見る限り、生産者へ使用基準の遵守を徹底することが、再発防止の面から重要であると判断し、いきなり罰則を適用するのではなく、農薬の適正使用についての指導を行ってきている。
 無登録農薬の使用や度重なる使用基準違反等に対しては、罰則の適用を検討するこ ともあり得ると考えるが、適用に当たっての明確な基準は設けていない。
【コメント】農薬取締法の罰則は、法律を遵守させることが目的だというのなら、通知「住宅地等における農薬使用について」にも、直ちに罰則をつけてもらいたい。その方が指導しやすいのではないか。また、罰則の適用に当たって明確な基準を設けていないというが、それだと恣意的な適用もあり得るのではないか。

【質問3】
 農薬と同じ成分であるグリホサートを含む非植栽用除草剤を農薬と同等に扱うよう求めたが、対策が示されていない。現状のままでよいと考えているのか。また、07年度以降の都道府県別出荷量の調査は、農水省が担当すべきと思うが、どうか。
【回答】農薬の場合は、農業生産に使用するという観点からの有用性や、食料供給と環境への影響とのバランス等といった多様な視点から、規制を行う必要がある。非農耕地用除草剤もこれらの観点を考慮する必要があると考えている。
 なお、農薬登録を受けない非農耕地用除草剤は、農作物の防除以外の目的で使用されるため、登録農薬と同様に取り扱う必要性は低いと考えている。
 また、平成18年度の環境省の調査は、環境中に拡散するおそれの高い方法で使用される殺虫剤等に関して行われたものであり、当省としてはこのような統計調査よりも、非農耕地用除草剤が農薬として使用されることのないよう指導を充実していく方が重要と考えている。
【コメント】農薬は、有用性と環境への影響等のバランスで規制を行うとしているが、有用性に重点が置かれている。生産活動に必要だから規制は厳しくできないというが、非農耕地用除草剤は、生産活動に直接関係ない。より厳しい規制があってしかるべきではないか。
 環境省が実施した非農耕地用農薬の都道府県別の出荷量の調査はしないとのことだが、転用防止を強化するためにも、実態を把握し、「指導を充実していく」必要があるのではないか。また、登録農薬については農薬取締法に基づいて農水省が調査しているので、非農耕地用も調査できるのではないか。

【質問4】
 除草剤販売者については、農水省が法令違反のないよう調査されているものと思うが、07-09年度の都道府県別調査件数と内容別違反件数をどれくらいか。
【回答】農薬に該当しない除草剤の販売状況を、平成19年度は1,531箇所、平成20年度は1,390箇所で点検した。その結果、@容器又は包装に農薬として使用することができない旨の表示がないものは確認できなかった。A農薬に該当しない除草剤を陳列している棚にその旨を表示していないものが、平成19年度は364箇所、平成20年度は393箇所あったので表示を行うよう指導した。

【質問7】
 昨年の要望で、硫化水素による自殺に使用される石灰硫黄合剤の劇物指定を求めたが、どのような検討がなされたか。同剤を用いた自殺は、昨年度何件あったか。また、自殺に使用されないようにどのような対応策がとられたか。
【厚労省回答】石灰硫黄合剤に関しては文献情報や企業が有する毒性試験データを入手し、平成21年度第1回及び第2回毒物劇物調査会で劇物への指定の可否について議論した結果、同剤は劇物には該当しないとの結論となった。 また、本剤と自殺を結びつけた形での統計は厚生労働省では取得していない。厚生労働省と農林水産省では、本剤製造各社に対し不適正使用目的の購入防止対策について指導を行い、製造各社ではインターネット販売等の自粛要請を含む販売業者への注意喚起を実施し、さらに小容量包装品について農薬登録を抹消することとている。

【質問8】
 昨年の要望で、毒物に指定されたメソミル製剤の含有濃度規制を求めたが、どのような対応策がとられたか。メソミル45%含有製剤の出荷量の最近5年間の推移は?
【回答】毒物及び劇物に指定されている農薬については、「毒物及び劇物取締法」を遵守するよう指導しており、昨年、毒物の指定を受けたメソミル45%を成分とする農薬についても、同様に指導する。当該農薬の出荷は、平成20年は240キロリットルであり、過去5年間は200キロリットル台で推移している。
【厚労省回答】毒物及び劇物取締法上は「メトミル及びこれを含有する製剤(但しメトミル45%以下を含有するものを除く。)」は、平成21年4月8日付で、毒物に指定。毒劇法における含有濃度規制はデータ等に基づき適正に行われているものと考えている。
【コメント】メソミルはランネートという商品名で販売されているが、急性毒性が強く、小動物の殺害などに不法に使われている。毒物に指定したというが、含有率45%以下を除外しているので、実際上は何の規制にもなっていない。メソミルそのものを毒物にすべきである。回答はピントはずれである。

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作成:2010-10-25