行政・業界の動きにもどる

t22601#本年度の農薬危害防止運動はじまる〜4月23日発出の通知を5月28日に公表とは#10-06
【関連記事】記事t21402(09年度の運動)
【参考サイト】農水省:農薬事故・被害状況
  H22年度農薬危害防止運動実施について実施要綱ポスター
       岐阜県:リーフレット


★なぜ一ヶ月もHP公表を遅らすのか
 毎年、農薬使用が多くなる6月から8月にかけて農薬危害防止運動が実施されます。農水省消費・安全局長と厚労省医薬食品局長が連名で「農薬危害防止運動の実施について」という通知を出しています。当グループも毎年、農薬事故や重点項目を示して要望と質問を出しています(記事t22404)。
 危害防止の通知は、いつも5月末ギリギリに発表されるので、早く通知を出すよう、私たちは3月に要望を出しました。その後、質問への回答は来ましたが通知については何も言及されていませんでしたので、まだ発出されていないのかと思っておりました(記事t22503)。
 ところが5月に「いつ通知を出すのか」と問い合わせると「もう出した。都道府県と関係団体には送った」との回答。なぜ、ホームページなどで公表しないのか、こちらにも送ってほしいというと、すぐメールで送ってきましたが、日付は4月23日となっています。 結局、両省がホームページに掲載し、一般に知らせたのは5月28日でした。
 なぜ、一般に知らせるのを遅らせたのか、厚労省の担当課に理由を聞くと「特にありません」と平気な様子。せっかく一ヶ月も前に作成しておきながら、反省してもらいたいと厳重に伝えました。

★通知内容は、どうかわったか
 農水省と厚労省の通知内容は、昨年と比べて、殆どかわりがありません。強いて言えば、住宅地通知については、少し、文章に手が加えられ、『ほ場のみならず学校、病院、保健所その他公共施設内及び住宅地に近接する場所において農薬を散布する場合、農薬の飛散が周辺住民や子ども等に健康被害を及ぼすことがないよう、周辺住民への周知を徹底する。』となったことぐらいでしょうか。
 『事前通知等の実施』という文言が、より具体的に『事前に農薬を散布する日時、使用農薬の種類等を記した書面や看板等により周知を行う等』となりました。
 また『学校、病院等の公共施設内』に『保健所』が追加されました。これは、昨年、大阪府における調査で、指導する立場にある保健所での農薬使用がずさんだったことが判明したことの反省でしょうか。
 さらに、昨年のゴルフ場での無人ヘリコプターによるゴルファーの被曝事故を踏まえてか、無人ヘリコプターについての指導の項では、『公園、森林等』に『ゴルフ場』が追加されました。そのせいか、私たちが要望を送った社団法人日本ゴルフ場事業協会のHPには、農水省や厚労省よりも早く、5月7日に、『平成22年4月23日付け22消安第358号をもって農林水産省消費・安全局長から別紙のとおり農薬危害防止運動実施要綱を策定し「平成22年度農薬危害防止運動(平成22年6月1日〜8月31日)」を実施するので、ゴルフ場関係各位にあっては同運動の主旨をご理解され、その推進に特段のご理解とご協力を願いたい旨の通知がきております。』として、実施要綱がアップされました(行政庁からのお知らせ)。

★通知公表前の事故例2件
 ところで、防止運動のポスターには、<土壌くん蒸後は、しっかり被覆 周囲への拡散を防ごう>として、畑にフィルムを被覆している様子が描かれていますが、東京都清瀬市と東村山市の境界近くで、くん蒸剤クロルピクリン(以下、クロピク)による事故が起こりました。
5月16日の夜のことで、さつまいも畑の近くの居酒屋の客や住民10人が眼の痛みを訴えました−幸い症状は軽かったとのことです。クロピクの使用方法に則り、ポスターにあるように、機械でマルチ被覆し、安全使用基準を遵守していたにも拘わらず、漏洩被害が起こったわけで、クロピクの住宅地近くでの使用は禁ずるべきです。

 ポスターには<近隣の方に事前に農薬の使用を知らせよう>とのスローガンも描かれています。5月21日の午前、熊本市の住宅地で異臭事件がおこり、消防署が出動する騒ぎとなりました。調べると、近くのビルの植木に散布していた殺虫剤マラチオン乳剤が原因であることがわかりました。この事例では、事前周知はされていませんでした。散布後、異臭がするほど、農薬が周辺大気を汚染していたことの証拠ですから、とんでもないことです。

 危害防止運動の通知について、東村山市に聞くと、東京都から受け取ったのは、6月4日とのことです。東京都から市町村への通知の発信が遅れたというわけでしょう。
行政はこの運動をまじめにやる気があるのでしょうか!

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作成:2010-06-27