農薬の毒性・健康被害にもどる

t22905#食安委、除草剤ATAなどのADI緩和はかる#10-09

 食品安全委員会は、7月にATA(アミトロール)とペンディメタリンの2農薬についての健康影響評価案を提示しました。

★ATA(アミトロール)
 この除草剤は、ポジティブリスト制度下では、発がん性などが問題となり、「ADIが設定できない」とされ、「すべての食品中に検出されてはならない」18農薬等のうちのひとつでした。日本での登録は1975/03/31に失効しています。しかし、海外では、小麦や大麦などに使用されており、農薬メーカーのニューファム社から新たな資料がだされたため、食品安全委員会で審議されました。
 その結果、ラットの発がん性試験で、雌雄で甲状腺ろ胞細胞腺腫の発生頻度増加が認められましたが、非遺伝毒性メカニズムとされ、閾値を設け、甲状腺ろ胞上皮細胞過形成を指標にして、無毒性量が0.12mg/kg/日とされました。安全係数100分の1を乗じてADI0.0012mg/kg体重/日とされたのです。
 私たちは、提出された毒性データのいくつかが、同一群で途中から投与量変更するという不適切な試験がなされたものがあること、また、遺伝毒性試験で陽性の報告もあり非遺伝毒性メカニズムとは言いがたい、として、提案されたADIを再考するとともに、現行の残留分析の検出限界0.025ppmは高すぎるため、0.001ppm以下でも検出できる精度の高い公定分析法を開発するよう求めました。

【参考サイト】食品安全委員会:
     ATAパブリックコメント意見募集当グループ意見

★ペンディメタリン
 ペンディメタリンは、除草剤で、1981年に登録、畑作物や果樹に適用され、年間出荷量のピークは2000年の231.3トンですが、08年は175.9トンでした。
 ラットの発がん性試験で、甲状腺腫瘍の増加が認められましたが、非遺伝毒性メカニズムとされ、閾値を設けて、ADIが従来の約3倍にあたる0.12mg/kg体重/日と設定されました。イヌを用いた2年間慢性毒性試験で、肝慢性炎を指標とした12.5 mg/kg体重/日が最小無毒性量とされたのが根拠です。
 ラットにおける24ヶ月慢性毒性・発癌性試験で得られた無作用量はオス4.3、メス5.4mg/kg/日との評価もあります。また、遺伝毒性試験で陽性の事例もある上、この農薬には発がん性物質ニトロソアミン化合物の含有が指摘されているため、再考するようもとめました。また、最近のアメリカの農薬使用者の疫学調査では、ペンディメタリンは、すい臓がんの危険因子とされていることも気懸かりです。

【参考サイト】食品安全委員会:
     ペンディメタリンパブリックコメント意見募集当グループ意見


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作成:2010-12-25