残留農薬・食品汚染にもどる

t23306#消費者庁長官との話し合い〜食品安全の今の仕組みを変えるべきだ#11-01
【関連記事】記事t23004記事t23202
【参考サイト】厚生労働省:フルジオキソニル残留基準パブリックコメント募集当グループ意見
             食品添加物パブコメ募集当グループ意見及び厚労省見解
       消費者庁:Top Page
       消費者委員会:Top Page委員会会議資料
         部会・調査会にある表示部会のページ
         第四回(2010年10月4日)にある
          ・ポストハーベスト農薬の表示に関する諮問について
          ・食品衛生法に基づく食品添加物の表示
         第七回 (2011年1月24日)にある
          ・フルジオキソニルの添加物指定に係るこれまでの経緯と今後の予定
         食品衛生法施行規則等の一部改正案に関する御意見募集当グループ意見及びパブコメ結果

 記事t23202で、フルジオキソニルが食品添加物として新たに認可されようとしている経緯について報告しました。この中で問題なのは、@厚労省の薬事・食品衛生審議会食品衛生部会が、消費者委員と目されている委員も含めて一切反対せずに、原案通り通したこと、Aそれを受けた消費者庁が厚労省からの協議の申し入れに「意見なし」と回答し、審議を表示問題に限定したこと、B消費者庁は消費者委員会の食品表示部会に、直接、フルジオキソニルの表示に関する諮問をして、親委員会である消費者委員会に伝えなかったことなどがあります。
 厚労省も問題ですが、せっかく新しく設置された消費者庁が、消費者の利益を守ろうとせず、新規食品添加物を認めてしまったことも大きな問題です。この点を問題にしている最中、福嶋消費者庁長官から「誤解があるので話し合いたい」との申し入れがあり、昨年12月17日に話し合いをしました。話し合いには食政策センタービジョン21、日本消費者連盟、ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議、反農薬東京グループから参加しました。  消費者庁長官は私たちの要望に対して、基本的には、仕組みを変えないとできないが、今の仕組みの中でもできることはやっていきたいと述べ、少しは変わりそうですが、大きな期待はできないと思います。
 以下、主な話し合いの内容です。

★「意見なし」はやめる
 【市民】食品添加物を新規指定し、残留農薬基準も驚くべき緩和をしているが、
   どこもリスク管理をしていない。消費者庁がやるべきではなかったのか。
 【長官】(今回の事例で)消費者庁がやる権限は、厚労省から協議を求められて、
   回答するということだ。ただ、この協議はどういうことかというと、厚労省
   が出している文書に「3、消費者庁協議の趣旨」として、「食品、添加物等の
   規格基準の改正に当たり、消費者庁に集約される事故情報、健康被害情報等、
   実際に発生した事案を参考とすることが重要となるものであるから、そのよ
   うな客観的な情報を活用する観点から、消費者庁協議を行うもの。」となっ
   ている。
   つまり、具体的に事故情報や被害情報が消費者庁にきていますかというふう
   に限定されている。私はこれに好意的ではない。(問題は)急性毒性ではな
   いのだから、事故情報がきていたら大変な話だ。大きな社会問題になる話だ。
   これがいいということではなくて、こういう制度に今なっているということ
   は、現状認識としてお願いしたい。
   でも、向こうから言われた範囲だけでやっているわけではなく、少しは踏み
   込んでやっているが、かといって、皆さんが言われているように、消費者の
   立場に立って農薬や添加物は減らした方がいいという意見を出していくとい
   う仕組みにもなっていない。
   そういう仕組み全体をこれでいいのかということをみんなで考えていくとい
   う必要性を感じている。それと今の仕組みの中でどこまでやれるのかという
   ことも、もう少し考えたいと思っている。
   今回、厚労省に「意見なし」という意見を出したが、私が長官でいる以上、
   こういう意見はもう出さない。表示は同時並行的にやっているわけだが、少
   なくとも、厚労省のパブリックコメントをみて、消費者からすごい疑問が出
   されていて、それに対して、合理的な説明を厚労省はしていないじゃないか
   というふうに見えるときは、そういう意見は言えるのではないか。
★仕組みをどう変えるか
 【市民】消費者が心配しているのは、食品添加物がメーカーの申請だけでどんど
   ん増えている。認可添加物の数の総量規制をどうやるのか。
 【長官】それは全体の仕組みをどうしていけばいいかというところの議論だ。今
   の仕組みを全然無視してやることはできない。その仕組みが不十分なら変え
   ていく議論が必要だ。
    消費者庁には食品安全委員会の専門的な知見の部分をひっくり返すような
   体制はないが、消費者全体の合意が取れてないじゃないかとか、消費者の不
   安を払拭してないじゃないかとかは、今の仕組みの中でももう一歩踏み込め
   ばやれる可能性はある。
 【市民】長官は消費者委員会の方が適していると考えるのか。
 【長官】仕組みとして消費者行政全体を建議できるのは、消費者委員会だから、
   それは消費者委員会にやってほしい。消費者庁も考えるし、食品安全委員会
   も考えていかなければいけないと思う。これから、残留農薬などに関して消
   費者庁はリスクコミュニケーションもやりたいと思っている。年明けにやろ
   うと思っている。総量規制なんかもそういうところでやれるのではないか。
 【市民】その場合、厚労省や食安委と同じような形で、同じような人が出てきて、
   説明するだけだったら、だめだと思う。
 【長官】消費者庁のリスコミはそうはしない。消費者庁のリスコミなんだから期
   待してほしい。
 【市民】消費者庁と消費者委員会の関係がいくら考えてもわからない。説明して
   ほしい。
 【長官】消費者委員会は監視機能を重視している。いろんな提言をしたり、建議
   をしたりする。
 【市民】諮問を受けるのが多くて、独自に提案したり、建議したりはなかなかで
   きない。
 【長官】いまから自由に変えられるなら、審議会機能は消費者庁にもってきて、
   消費者委員会は監視機能に特化した方がいいとは思うが。
 【市民】フルジオキソニルの場合、直接消費者委員会の表示部会でなく、親委員
   会にかけていればこういう問題にはならなかったのではないか。なぜ、消費
   者庁が部会に直接かけたのか問題だ。
 【長官】それは消費者庁側の積極的な判断というよりも、消費者委員会の意向だ
   と思う。
 【市民】表示の問題で、最近、店頭でほとんど果実の防腐剤使用が表示されてい
   ない。年末に消費者庁は調査すると言っていたが、その結果は出たのか。
   公表するのか。
 【長官】公表するようにしたい。
(注)消費者委員会:内閣府に設置され、消費者問題について調査審議し、建議等を行うとともに、消費者庁や関係省庁の消費者行政全般に対してチェック機能も有する独立した第三者機関とされる。

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作成:2011-06-26