環境汚染にもどる

t23505#未承認遺伝子組換えパパイヤが見つかったから農薬取締法省令を変える?#11-03
【関連記事】記事t16006
【参考サイト】カルタヘナ法
    農水省:カルタヘナ法関連情報の頁遺伝子組換え体混入の可能性のあるパパイヤについての頁
     農薬取締法に基づく農薬の使用の禁止に関する規定の適用を受けない場合を定める省令の
       一部改正案についての意見・情報の募集について改正概要
            当グループ意見意見の募集結果について(お知らせ)2通8件パブコメ意見への見解
     パパイヤ種子等検査結果
     試験研究の目的で農薬を製造等する場合の留意事項について

 環境省と農林水産省は、2011年3月1日から7日まで、未承認遺伝子組換えパパイヤ*を処分するために「農薬取締法に基づく農薬の使用の禁止に関する規定の適用を受けない場合を定める省令」の改定案を公表し、パブリックコメントを実施しました。
*(国内で、安全性や環境への影響が評価されておらず、未承認の遺伝子組換え操作により作られたウイルス耐性パパイヤ。)
 厚労省は昨年12月、沖縄県内の生果実や種子から、未承認の遺伝子組換えパパイヤの疑いがあるものを見つけたと農水省に情報提供しました。今後の調査の結果、実際にこのパパイヤが栽培されていることが明らかになった場合、農水省はカルタヘナ法(遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律)により、このパパイヤを淘汰する必要があるとして、上記のパブコメを実施したものです。
 内容は、@沖縄で承認されていない遺伝子組換えパパイヤの種子が見つかった。A生物多様性を定めたカルタヘナ法に基づいて早急に駆除しなければならない。B駆除するためには農薬(除草剤)使用が手っ取り早い。Cしかし、パパイヤを枯らすための除草剤などは登録されていないから、使用できるよう農薬取締法の省令を改定するというものです。
 そして、緊急性があるからという理由で、行政手続法によれば、意見提出期間は30日以上でなければならないという規定に反して、パブコメ実施期間をわずか7日間にしました。緊急性とは、4月になるとパパイヤの花粉が成熟し、風で飛んだり、媒介昆虫により運ばれ、交雑する可能性があるというのです。花粉の飛散防止に、何も除草剤で枯殺する必要があるとは思えません。今年、どうしても花粉が心配なら、花が咲く前に枝を切ってしまえばいいのです。
 第一、農水省と環境省のこの問題に関する「共同見解」には、@日本には存在せず、交雑可能な在来野生種もない。A仮に栽培したり、道ばたに生えているパパイヤが遺伝子組換え体であったとしても、日本の自然環境下では拡大していくことはないと考えられる。とし、でもまあ、「さらに知見が必要」とも述べています。

★ハワイのパパイヤは承認済み
 日本はアメリカの遺伝子組換えパパイヤ(以下、GMパパイヤ)を輸入しようとしています。遺伝子組換えの生果実の輸入は初めてのことでしたが、ほとんど一般に知られることなく、輸入が決まっています。
 今回、検出された未承認遺伝子は、アメリカのGMパパイヤの遺伝子と似ているが、別物であると農水省は言っています。アメリカのGMパパイヤは環境に影響を与えないとして承認されており、未承認遺伝子組換えパパイヤも、いずれ承認されることになるかもしれません。
 となると、緊急性がないのにあわてて農薬使用の拡大をはかる農水省は何をねらっているのでしょう。
私たちは、(1)未承認遺伝子組換えパパイヤの栽培状況が不明なまま、拙速に省令改定する必要はない。(2)4月以降の花粉の飛散に対して、伐採等で淘汰すれば済むことであるなどの理由を挙げ、@省令改定に反対である。A意見募集期間が1週間で短すぎる。再度、延長して募集すべきであるなどの意見を述べました。

【その後の経過】農水省:「台農5号」種子に未承認遺伝子組換え検査で陽性(4/21)
       熱帯資源植物研究所:お詫びとお知らせ

★4月26日官報告示:「農薬取締法に基づく農薬の使用の禁止に関する規定の適用を受けない場合を定める省令の一部を改正する省令の公布・施行」
 農林水産省環境省令第一号
 農薬取締法(昭和二十三年法律第八十二号)第十一条ただし書の規定に基づき、
 農薬取締法に基づく農薬の使用の禁止に関する規定の適用を受けない場合を定
 める省令の一部を改正する省令を次のように定める。
  平成二十三年四月二十六日
   農林水産大臣 鹿野道彦
     環境大臣 松本 龍

 農薬取締法に基づく農薬の使用の禁止に関する規定の適用を受けない場合を定める省
令の一部を改正する省令農薬取締法に基づく農薬の使用の禁止に関する規定の適用を受
けない場合を定める省令(平成十五年農林水産省環境省令第一号)の一部を次のように
改正する。
本則に次の一号を加える。
四 遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(平成
十五年法律第九十七号)第十条第一項の必要な措置を執るために農薬を使用する場合

附則この省令は、公布の日から施行する
   (注:未承認遺伝子組換え植物への除草剤使用を認められることになる)


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作成:2011-05-28