環境汚染にもどる

t23607#山梨県大月市の簡易水道でパラジクロロベンゼン汚染#11-04
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【参考サイト】厚労省:水道水質基準について
       環境省:水質汚濁に係る要監視項目の調査結果(人の健康の保護に係るもの)にある要監視項目及び指針値
       横浜市:パラジクロロベンゼンから殺虫剤について(横浜国立大学小林剛さんの講演)
 10年12月末から翌1月にかけて、山梨県大月市猿橋町の田中地区簡易水道が異臭のため、飲み水としての使用ができなくなりました。大月市が簡易水道の水源調査をしたところ、衣料防虫剤やトイレ用品としての使用が多いパラジクロロベンゼン(以下パラジク)が検出され、この物質が異臭原因と特定されました。水源水の分析値の推移と臭気程度を下表に示します。
 
     表 田中地区水源中のパラジク濃度の推移(単位 μg/L)

  試料名      田中水源  水源   簡水(給水)水源  水源  水源   水源   水源   水源
  採取日      10/12/30  12/31  11/01/03   同左  01/04  01/05  01/06   01/07  01/11
    採取時間     21:10    11:40   12:20     12:45  11:15  13:35  13:30   13:50   11:35  
  臭気         薬品臭  薬品臭 微薬品臭  同左   同左   同左  異常なし  同左   同左  
  検出値        16.9     7.7     1.1      1     0.8   0.5      0.4       0.3      <0.2  
        (注:他のジクロロベンゼン異性体は定量されていない)
 
 パラジクについて、水道法の水質基準はありません。唯一環境省の決めた環境基準の要監視項目指針値として、0.2mg/L=200μg/Lがあります。検査では、この数値の10分の1以下ですから、数値的には問題ないようですが、「水質基準に関する省令」には臭気に異常がないこととの基準があるので、これに抵触することになります。

★混入ルートは不明ななまま
 異臭原因はパラジクであったものの、その混入ルートについては、明らかでなかったため、大月市に、水源周辺にはジクロロベンゼン類が投棄されるような廃棄物処分場はないか/不法投棄ばなかったか/水源周辺の土地利用はどうか/住宅や畜舎、化学物質を使用する工場や施設はないか/林地や農地での農薬使用はどうか/農薬や動物用医薬品、野生動物忌避剤の使用及び廃薬剤の投棄はないか、などを尋ねましたが、回答はもらえませんでした。
 また、厚労省水道担当部署は、『水源へ当該物質が混入した経緯及び原因について調査したが不明である。』としています。

 大月市は、12月30日から1月18日まで、田中地区の36世帯(96人)に対し、使用をトイレのみと制限するとともに、給水車による給水と災害用飲料水の配布を実施しています。 大月市水道組合や地域住民、市の職員らの手により、近接する東部地域広域水道企業団から臨時給水を受けるための配管作業も行なわれ、1月19日からは、企業団から臨時給水が開始され、水道異臭事件は一応の収束をみました。

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作成:2011-06-26