農薬の毒性・健康被害にもどる

t24805#環境省が鳥類の農薬毒性についてのマニュアル提示〜5月15日までパブコメ募集中#12-04

 環境省は、「鳥類の農薬リスク評価・管理手法暫定マニュアル(案)」を示し、4月16日から5月15日まで、パブリックコメント意見の募集を実施しています。
提示されたマニュアルは、農薬メーカーが毒性評価をする際に、利用することを目的とした指針で、鳥類毒性はLD50しか評価されていません。今後、長期・低濃度曝露による繁殖毒性などの評価が必要ですが、野鳥への農薬のリスクを減らす方法を考える第一歩といえます。

当グループの意見。環境省;パブコメ結果暫定マニュアル(12/07/05公表)

★野鳥の農薬被害を考える
野鳥への農薬被害として、農薬の直接被曝による個体死があります。たとえば、1988年、石川県で起こった農薬空中散布後のツバメの異常死は鳥毒性の強いMPPが原因と考えられました。また、最近の野鳥やハトの大量死ではメソミルやEPNなどの農薬混入毒餌事例が多く見られます。
これらは、急性毒性によるものですが、1962年、アメリカのレイチェル・カーソンがその著「沈黙の春」で農薬の環境汚染、なかでも、BHCやDDTなどの有機塩素系農薬が野生生物の繁殖を阻害し、個体数の減少につながるとの警告を発したことを忘れてはなりません。
 野鳥が農薬を摂取する経路はさまざまです。農薬の大気・水(田面水などを含む)・土壌汚染(鳥には砂ぶくろがある)のほか、稲など穀類や種子、果実、昆虫、その他の餌−特に、ヒナの生育には、栄養価の高い昆虫や小動物が必要−に残留した農薬の摂取は深刻でしょうし、農薬散布で餌そのものの減少も配慮しなければなりません。
 フィールドでは、殺虫剤のほか、殺菌剤や除草剤の影響も懸念されます。野鳥は殺鼠剤入り餌を食べるだけでなく、食物連鎖の上位にある猛禽類が、殺鼠剤で死んだノネズミを食べることにも注意を要します。
自然界での野鳥の農薬被害は、生態系全体の問題としてとらえる必要があります。

★スズメが減っている
 マニュアル案では、指標となる小型鳥類としてスズメへの影響が想定されていますが、最近スズメが減少しているのではないかとの声が聞かれます。スズメプロジェクトを主宰している岩手医科大学の三上修さんは、@いくつかの地域で行われていたスズメの個体数変化の調査データ、Aスズメによる農業被害の経年推移データ、B駆除狩猟されたスズメの個体数の経年変化データなどから、1990年頃の約20%にまで減少したのではないかと推定しています。
ちなみに、Aに関して、農水省による農作物の鳥獣被害面積の推移をみると、スズメによる農作物被害(大部分は水稲)は、現在の水田作付け面積が、20年前の約90%になっているのに対し、スズメによる被害面積は20年前の約7%に激減しています。
 これが、個体数の減少によるかどうか、はたまた、農薬の影響はどの程度あるのかは、気になるところです。 ぜひ、マニュアル案を読んで、パブコメで意見を述べてください。

 環境省の本マニュアル:パブコメ意見募集(13/02/26-3/27)と当グループの意見(3/27提出)、環境省の見解本マニュアル全文(5/20)
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【参考サイト】農薬工業会鳥類リスク評価結果


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作成:2012-04-26、更新:2013-12-10