農薬の毒性・健康被害にもどる
t25006#4月〜6月の農薬事件・事故#12-06
★「稲村の火」の町で農薬水系汚染
【参考サイト】和歌山県:広川町 室川での水質事故(川の濁り)について
4月23日の昼前、和歌山県有田郡広川町を流れる広川の支流室川で、河川水が白濁しているとの通報が、住民から町の水道事務所及び湯浅保健所に入りました。広川町は、安政南海地震の津波から村人を守った物語「稲村の火」で知られた町ですが、室川は、山あいを流れる河川で、下流には、約500人が利用する簡易水道の取水口があるため、町は一時的に取水を停止しました。
警察と町の調査で、農家が、農薬石灰硫黄合剤の希釈液約6リットルの入った容器を洗浄し、川に流出させたことがわかりました。川の濁りがみられなくなった、約4時間後には、水道の取水が再開されたとのことです。
原因者は口頭指導されましたが、広川町では、廃農薬は農協が回収ことになっており、和歌山県は、農薬管理指導士や農薬アドバイザー、病害虫防除員の研修を通じて、指導の周知徹底を図って、再発防止に努めるそうです。
ほかにも、農薬が原因かどうかは不明ですが、三重県御浜町の広田川で、5月17日、ウナギやナマズなど数百〜千匹の死んでいるのがみつかりましたが、一般的な水質調査で問題なく、魚の病気ではないことがわかったものの、農薬についての詳細調査はできていないとのことです。
また、6月7日に、神奈川県三浦市の初声川支流一番川で、魚毒死事故が起こりました。有害物質は環境基準以下で、残留塩素、14種の農薬、魚の死因と考えられる物質についても、検出されなかったたことが判明、周辺の工場や畑地地主の聞き取り調査でも、原因特定に到らなかったとのことです。
★埼玉県でドバト毒死はEPN
【参考サイト】埼玉県:ドバトの不審死について
5月7日、埼玉県鶴ヶ島市の鶴ヶ島第一小学校で、ドバト4羽が死んでいるのが見つかりました。翌日にも同じ場所で1羽が死んでいました。
県が薬物検査をしたところ、有機リン剤のEPNが検出されたとのことで、埼玉県は、周辺住民や農薬販売店に農薬の適正な保管・管理の周知を徹底するとの再発防止策を示していますが、同県では、昨年1月から2月にも、メソミルによるムクドリやヒヨドリの連続毒死事件が起こっており、原因者は特定されていないままになっていることが気がかりです(記事t23604参照)。
★神奈川県相模原市ではクロピク漏洩
【参考サイト】農水省:クロルピクリン剤等の土壌くん蒸剤の適正使用について
クロルピクリン工業会:Top Page
5月25日朝、神奈川県相模原市の農家から倉庫のシャッターを開けたところ、激しい刺激臭がしたとの通報が、警察署と消防署にありました。現場で、立ち入り禁止措置がとられ、原因を調べた結果、保管していた農薬の容器が腐食していて、内容物が漏出したことがわかりました。農薬はD−D25%とクロルピクリン50%を含むネマクロペン油剤(20L缶、2006年2月28日登録失効)で、最終有効年月は94年10月だったということです。
当該農家は、故人である父親が購入したものを、なにかを知らずに、施錠した倉庫の棚に置いたままにしており、事故後、地域の農協が全量回収し、当日午後には処理業者に引き渡されました。幸い、周辺住民などの被害はなく、県は適正管理を指導したとのことです。
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作成:2012-09-30