食品汚染・残留農薬にもどる
t25405#登録失効農薬ピリメタニルが食品添加物として復活へ#12-10
【参考サイト】薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会(8/24):
ピリメタニルの食品添加物の指定に関する部会報告書(案)、ピリメタニル食品影響評価
アゾキシストロビン部会報告書案
厚労省パブコメ募集:アゾキシストロビンの残留基準設定について、当グループの意見
記事t25104で、殺菌剤アゾキシストロビンの柑橘類でのポストハーベスト利用をアメリカが求めており、同剤の食品添加物・防黴剤の認可が画策されていることを紹介しました。
10月20日締切の残留基準改定案パブコメでは、その認可を前提として現行基準の5倍緩和が提案されました。その他の作物においても、残留データが不明の国際基準への大幅緩和が目論まれ、そのため、TMDI(理論最大一日摂取量)は、下表のように2007年値から増大しています。
表 アゾキシストロビンのTMDI
国民平均 幼小児(1〜6歳) 妊婦 高齢者(65歳以上)
2007年TMDI μg/人/日 2608.0 1473.6 2078.9 2851.8
ADI比(%) 27.2 51.8 20.8 29.2
2012年TMDI 3729.6 2125.9 3003.0 3950.4
ADI比(%) 38.9 74.8 30.0 40.5
私たちは、10月20日締切のパブコメ意見募集で、乳幼児のTMDIの対ADI比が74.8%と高いことから『アゾキシストロビンの残留基準は、現行でも全般的にたかく、柑橘類での食品添加物認可を前提にしたり、残留データ不明の国際基準を採用することにより、基準を緩和すれば、食品からの摂取の増加が懸念される。基準全体を再検討すべきである。』と主張しました。
★次にひかえるのはピリメタニル
8月24日開催の薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会では、殺菌剤ピリメタニルの食品添加物・防黴剤指定が論議されました。
この農薬の日本での登録は05年12月に失効していますが、アメリカでは、柑橘類やリンゴ、ナシなどの果実のポストハーベスト用に適用されており、事業者から食品添加物の認可が申請中です。
食品添加物としての使用基準は
・かんきつ類(みかんを除く)、りんご、西洋なし及びマルメロ以外の食品に
使用してはならない。
・かんきつ類(みかんを除く)にあってはその 1kg につき 0.010g(=10ppm)、
りんご、西洋なし及びマルメロにあってはその 1kg につき 0.014g(=14ppm)を、
それぞれ超えて残存しないように使用しなければならない。
となっています。現在の暫定残留基準では、柑橘類の多くは15ppmで、これが10ppmと引き下げられる一方、りんご 5→14、西洋なし 1→14、マルメロ 0.05→14各ppmに緩和予定されています。他の食品についても残留基準の見直し(変わらない食品22、強化食品27、緩和食品9)が検討されており、そのTMDIは、幼小児で803.4μg/人/日、うち、食品添加物由来が65%を占めます。
ピリメタニルのラットによる発がん性試験では、メスに甲状腺ろ胞細胞腺腫の発生頻度の増加が認められました。食品安全委員会の評価では、非遺伝毒性メカニズムと考えられていますが、このような化学物質を食品添加物とすることに、消費者としてノーの意向を示す必要があります。
食品添加物指定のパブコメ募集(13/04/17-5/16)
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作成:2012-10-27、更新:2013-04-18