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t25603#くん蒸剤「ヨウ化メチル」はアメリカでは禁止となるが、日本では?#12-12
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【参考サイト】農業・食品産業技術総合研究機構中央農業総合研究センター:Top Page
        臭化メチルにたよらない作物の安定生産に向けて
           - 臭化メチル剤から完全脱却した栽培マニュアルの開発
       アメリカEPA:Top Page12/11/20ニュースリリース
       アリスタライフサイエンス:Top Pageヨーカヒューム適用MSDS
                    12/03/20ニュースリリース

★アメリカ 本年末で販売・使用禁止へ
 オゾン層破壊物質である臭化メチルは、検疫くん蒸用を除き、2012年末で使用全廃となりますが、アメリカで、その代替品であるヨウ化メチルの販売・使用を本年末で中止することが決まろうとしています。EPA(環境保護庁)とメーカーのアリスタ・ライフサイエンス・北米の合意事項では、市場に出回っている製品の使用も禁止することになっています。
 同国では、土壌くん蒸用ヨウ化メチル製剤「MIDAS」が、2007年に、イチゴ、トマトやピーマン、苗床、果樹園、ぶどう園などでの土壌処理用に認可されました。
 当初から、農民、消費者団体、科学者らは、ヨウ化メチルの毒性(発がん性や神経毒性、後期流産、甲状腺への影響)や水系汚染の拡大が懸念されることを理由に、使用に反対の声を上げていました。2011年には、特に、イチゴ栽培面積の大きなカリフォルニア州で、環境保護団体が、同州の適用認可を覆すべく訴訟をおこしました。
 2012年3月、反対運動に押されたアリスタ・ライフサイエンス社が、「MIDAS」のアメリカ国内での販売を、経済的メリットがなくなったとして、一時停止することを発表していました。この措置を踏まえ、今般、EPAとの間で、ヨウ化メチル剤の全面市場撤収が決められたわけです。

★日本での登録は継続
 アリスタ・ライフサイエンスは横文字社名ですが、この会社はれっきとした日本の会社で、東京に本社があります。ニチメンとトーメンが2001年に設立しましたが、2007年# 、欧州系の投資会社ペルミラの傘下にはいり、農薬メーカーシンジェンタ出身者が経営者として送り込まれています。

 ヨウ化メチルは、1965年1月29日〜74年1月29日まで、クロルピクリンとの混合剤が登録されていましたが、現在は、04年11月2日にアリスタ・ライフサイエンス社が登録申請した「検疫専用ヨウ化メチル」(木材の倉庫、天幕、本船くん蒸用)のほか、メロン トマト しょうが、葉しょうが、みょうが、きく、カーネーションの露地及び施設栽培の土壌くん蒸用「ヨーカヒューム」やクリの収穫後に適用する専用製剤など5製剤が登録されています。

★劇物指定があるが
 ヨウ化メチルは劇物指定されており、メーカーは、ヨウ化メチル剤推進協議会を設置し、安全使用講習会を開き、受講者には確認試験の修了を求めています。
 食品安全委員会は、人の健康への影響評価で、ラット及びマウスの発がん性試験で、甲状腺ろ胞細胞腺腫の増加を認めましたが、非遺伝毒性メカニズムと考え、ADIを0.005mg/kg体重/日と設定しました。
 農薬要覧には、2011年に、ヨウ化メチルの原体輸入が19トンとあるだけで、輸出や国内出荷量は不明です。アメリカでの使用禁止情報は、アリスタ・ライフサイエンスのホームーページでは、広報されていません。またしても、こっそり消えていくのでしょうか。
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作成:2013-02-26
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