農薬の毒性・健康被害にもどる

t26305#熊撃退スプレーを教室で使用〜36人の生徒が目や喉の痛み#03-07
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【参考サイト】岐阜県富加町富加小学校
       リング社: 催涙スプレー メース(mase)ベアーペッパースプレー噴射動画

 前号で、6月7日、岐阜県富加町立富加小学校で、教室内で熊撃退スプレーを使用したため、児童36名が健康被害を受け、病院に搬送されるという事例を紹介しましたが、その経緯と再発防止策などを当該小学校と教育委員会に質問しました。

 校長と教育委員会の連名の回答によれば5時間目の授業が始まってまもなく、2年1組教室へスズメバチ1匹が入ってきた。窓から出るのを待っていたが、出て行かなかったため、担任が職員室へ行って殺虫剤を2本同時に事務職員から借りた。初めにフマキラーAダブルジェットを使用したが、ほとんど出なかったため2本目の薬剤を噴射したところ、熊撃退用のスプレー(商品名:ベア ペッパー メース)だった。
 担任は教室中央天井にいる蜂に向かって、そのスプレーを噴射したところ、強烈な刺激臭が教室中に広がり、それを吸った児童達が目やのどに異常を訴え、パニック状態になった。
 異常を察知した養護教諭はすぐに119に通報した。担任は児童を教室から離れた風通しのよい空き教室へ移動させたが、結局、隣の教室も含めて喉の目の痛み等で健康被害を受けた児童は36名になったということです。
熊撃退剤の成分は「カプサイシン(トウガラシの辛みの成分)」で、学校では今まで使用したことはないが、事務職員の後の棚に保管していました。(不審者からの護身用としても使用できるため、事務職員の後に置いていました。)ということでした。

★再発防止は
 再発防止策については以下のような回答でした。
  @薬品の認識=「わかりやすい表示・ 職員の共通認識」
   ※購入の際にはその成分や使用方法について、十分に確認をする。
   購入後にはわかりやすく表示をし、使用方法を全職員で共通理解する。
  A使用方法=「子どものいるところでは  薬品類は使用しない。」
  B保管方法=「子どもの手に触れない場所に保管。」
     ※劇薬に指定されている薬品は鍵のかかる専用の保管庫に入れ、使用する際
    には,使用簿に使用時期、使用者、使用量などを記載する。
★樹木などへは農薬は使用しない
 1匹のスズメバチなら、あわてず、騒がず、静かに出て行くの待つか、防除業者のように掃除機で吸い取ることも出来たと思うのですが、過剰対応が招いた事故でした。
 学校の植栽などに農薬を使用しているかとの質問には、使用していないとのことでした。安易に農薬や殺虫剤に頼るのは望ましくないので、各地域や産業の実態に応じて、農薬などに頼らない植栽管理や害虫管理をすべきとの回答でした。 今後、このような事故がおきないよう細心の注意を払っていただきたいものです。


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作成:2013-07-28