環境汚染にもどる
t26401#環境化学討論会で報告されたネオニコチノイドの河川水・蜂蜜調査#13-08
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【参考サイト】日本環境化学会:Top Page
第22回環境化学討論会プログラム(於東京農工大学府中キャンパス):口頭発表とポスター発表
鞄吉:Tpp Page 愛媛大学:農学部環境計測学室 広島大学:環境安全センター
埼玉県:環境科学国際センター 大阪府:公衆衛生研究所
7月31日から8月2日に開催された第22回環境化学討論会で、発表された農薬の河川水汚染についての研究結果を紹介します。ネオニコチノイド系農薬を対象とした調査が増えつつあるようです。特に、斑点米カメムシ対策用として、無人ヘリ空中散布面積が一番多いジノテフラン(スタークル)が、各地で検出されています。
1)水道水質管理目標設定農薬類の検査法を開発している鞄吉の川嵜さんほかは、琵琶湖流入河川の白鳥川と流出河川の瀬田川の各表層水の分析結果を発表しました。その中から、殺虫剤の検出値を下表に示しました。
瀬田川(採水12年4月-11月:検体数24) 白鳥川(採水12年5月-9月、検体数34)
農薬名 検出数 検出率 最大濃度ng/L 検出数 検出率 最大濃度ng/L
ジノテフラン 2 8% 10 33 97% 1168
イミダクロプリド 0 0 ― 1 3 64
クロチアニジン 6 25 20 13 38 71
エチプロール 0 0 ― 10 29 157
2)愛媛大学の山崎さんほかの研究は、2012年の測定結果ですが、河川水のほか、蜂蜜の残留値も報告されています。
ジノテフランの蜜蜂経口半数致死量は、農薬抄録によると14ng/頭です。この量は、最高汚染濃度16000ng/Lの水を0.9mL飲んだ場合の摂取量に匹敵します。
農薬名 河川水ng/L 蜂蜜ng/L
ジノテフラン ND-16000 ND
ニテンピラム ND-6200 ND-57
アセタミプリド ND-5100 34-5900
フロニカミド ND-750
イミダクロプリド ND-1400 ND
クロチアニジン ND
チアクロプリド ND-16000
チアメトキサム ND-2400
3)広島大の大野さんほかの新潟県能代川(のうだいがわ)の農薬濃度の季節変化調査では、ジノテフランがカメムシ駆除に空中散布された8月7日に、最大約9800ng/L検出されました。
4)埼玉県環境科学国際センターの大塚さんほかの研究では、東京湾に流入する荒川、江戸川、隅田川、多摩川、養老川、鶴見川の6河川9個所の水(12年10-11月採取)について、7種のネオニコチノイドを分析した結果は表のようです。
東京湾流入河川のネオニコチノイド検出地点(赤印)
農薬名 検出数 検出率 検出値ng/L
ジノテフラン 9 100% 4.7-14
ニテンピラム 0 0 ND
チアメトキサム 7 78 ND-5.1
クロチアニジン 9 100 1.8-88
イミダクロプリド9 100 0.9-14
アセタミプリド 7 78 ND-3.3
チアクロプリド 1 11 ND-0.5
5)大阪府公衆衛生研究所の吉田さんほかの河川水中の農薬調査では、殺虫剤のクロチアニジンが淀川水系試料(13年2月採取)から 1.2-7.4ng/L、猪名川水系試料から 1.0-14ng/L、および石川水系試料から 1.0-1.2 ng/L の範囲で検出されました。
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作成:2013-07-28