農薬の毒性・健康被害にもどる

t26705#神奈川県海老名市での農薬メソミルによるスズメの大量死#13-11
【関連記事】記事t25904(13年3月号:野鳥農薬死〜埼玉県では80羽以上)、記事t26805
【参考サイト】海老名市:Top Pageスズメが畑で不審死

 9月30日午後、海老名市農政課に市内農家から、同市中野地区の畑でスズメが大量に死んでいるとの通報が入りました。市と神奈川県が確認調査したところ、スズメ約110羽の死骸が見つかりました。市の報告によると、
 ・同日中に、鳥インフルエンザの簡易検査で陰性であることが判明した。
 ・10月4日に、県衛生研究所の検体検査の結果、「胃の内容物(米粒等)から
  殺虫剤メソミルが検出された。
となっていますが、コメとメソミルの摂取は別ルートの可能性もあります。
 市は、この摂取によりスズメが死亡した可能性が高いと推測していますが、県は劇物のメソミル剤がどういう経緯で使用されたか、きちんと調べようとしません。
以下は、いままでに、判明したことです。

★メソミルの入手経路は不明
 海老名市農政課の聴取によると、通報農家は畑作だけでコメは作っておらず、生産履歴と使用農薬の記録から、メソミルの使用はありませんでした。
 また、市は同剤(商品名「ランネート45DF」)を販売するJAさがみ海老名営農センターに聞き取ったところ、販売実績はひと月に10個以内で、店舗職員は購入者全員の顔を覚えており、すべて近隣農家だったことから、今回のような農産物の評判を下げるような事件は起こしにくく、市としては、引き続き販売店に注意をお願いしたとのことです。
 一方、海老名周辺市の毒物劇物取扱店への指導は、神奈川県厚木保健福祉事務所環境衛生課の業務ですが、海老名市内には毒劇物の登録販売者は10軒程度あるものの、メソミルの販売店はJA位しかなく、県は近隣のJAも含め、「不審な購入者がいなかったか」などの問い合わせや注意喚起はしていませんでした。
 また、農薬取締法に基づく届出販売店の指導は、神奈川県農政部担い手支援課の業務ですが、不審な者に売ったかどうかの確認は、「海老名市がすでに行ったので県としてはやらない(趣旨)」と答えました。
 もう一つの考えられる薬剤の入手経路は、ネット通販ですが、ランネートは購入できるものの、最近では住所確認を要する事前会員登録制が多く、入手しにくいようです。

★県の対応は不十分…
 毒劇物の入手は、毒エサが仕掛けられた地域の周辺市町の店舗がまず考えられますが、県厚木保健福祉事務所は、毒物劇物取締法に基づく登録販売店への注意喚起等の指導ができるのに、これをしていませんでした。それどころか、毒劇物の販売時に記入する「譲受証」も、購入者の住所や名前を免許証等で確認するような指導はしていないことがわかり、店舗でもレジ式のカウンターでは住所氏名を偽って購入できてしまいます。
 また、農薬取締法上の届出販売店への指導も同様です。指導権限があるにもかかわらず、今回のような放任販売では、これからも鳥獣への殺傷に農薬類が利用され続けるのではないかと心配です。(新巻 圭)

購読希望の方は、〒番号/住所/氏名/電話番号/○月発行○号からと購読希望とかいて、 注文メールをください。
年間購読会費3000円は、最初のてんとう虫情報に同封された振替用紙でお支払いください。
作成:2013-12-27