残留農薬・食品汚染にもどる
t26803#国産食品の残留違反〜山口産ホウレンソウにアセフェートが15ppm、代謝物メタミドホスには頬被り#13-12
★山口:ホウレンソウのアセフェート残留
【関連記事】記事t20904(2008年10月のチンゲンサイ事例)
アセフェート:記事t22401、記事t22502
メタミドホス:記事t19903(残留基準改定)
【参考サイト】JA南すおう:Top Page
反農薬東京グループ:山口県とJA南すおうへの質問、厚労省への質問と回答
宮城県産のコマツナにイソキサチオンが12.35ppm検出された事例を記事t26605で紹介しましたが、10月には、山口県で、これより高い15ppmものアセフェートがホウレンソウに残留していることがわかりました。JA南すおうが出荷したものでした。
同県では、2008年10月、JA周南から出荷されたチンゲンサイにアセフェート10.9ppm(残留基準5ppm)とその代謝物メタミドホス2.7ppm(残留基準0.5ppm)が検出された際に、県から『喫食された場合、健康に影響を及ぼす可能性があるので、喫食しないよう』と、購入者に注意喚起がなされました(記事t20904参照)。
また、当時、JA周南は、販売店に回収を促すポスターを掲示するとともに、『短時間(24時間以内)にそのまま洗わないで55.5g以上(事務局注:メタミドホスの急性参照用量を0.003mg/kg/日とした場合に対応)食された場合、健康に影響を及ぼす可能性があり、症状としては、倦怠感、違和感、めまい、軽度の運動失調が現れる場合がありますが、加熱調理された場合は身体への影響はほとんど無いと考えられます。万一身体の変調を感じられた場合は医師の診断を受けて下さい。』と残留が危険レベルであることを発信しています。
私たちは、今回、ホウレンソウに15ppmのアセフェートが残留した原因と、代謝物のメタミドホスが残留している恐れについて、山口県と当該JAに問い合わせをだしました。JAからは返事がなく、県からの回答の要旨は、以下のようでした。
『山口県では、食の安心・安全推進条例を制定しており、同条例の規定により、県の区域内に事業所等がある生産者、販売者等は、生産、販売等を行った食品が食品衛生法の規定に違反して生産、販売等が行われたり、そのおそれがあることにより当該食品の回収に着手したときは、速やかに、その旨を知事に報告しなければならないこと、と なっています。
今回の食品自主回収情報の公表は、同条例の規定に基づき、10月12日、販売者からあ った報告について、健康被害の未然防止と早期回収の促進を図るため、行ったもので す。なお、これまでに健康被害を訴えた方についての情報はありません。』
『生産者から栽培管理手法を聞き取ったところ、今回の基準値超過の原因は、同一ほ場内で使用したアセフェート剤がほうれんそうに飛散またはほうれんそうがアセフェート剤を吸収したことによると考えられます。』
メタミドホスについては全くふれていないため、私たちは厚労省の担当部署に、県やJAに代謝物の分析を実施するよう指導を求めましたが、同省は、『山口県においては、適切に監視指導を行うとともに、条例の規定に基づき、自主回収に関する情報を公表することにより、食品衛生上の危害の発生を防止するよう努めているものと理解しています。』としか答えませんでした。
★石川県:チンゲンサイにナメクジ駆除剤メタアルデヒドとNAC
【参考サイト】JA小松市と直売所JAあぐり
10月下旬、石川県のJA小松市の直売所「JAあぐり」で適用外農薬を使ったチンゲンサイが販売されていたことが判明しました。使用されたのは、ナメクジ駆除剤「グリーンベイト」(メタアルデヒド・NAC粒剤)で、誤って散布されたとのことです。残留分析結果の数値は示されず(メタアルデヒドとNAC=カルバリルの残留基準値はそれぞれ、0.01ppm、10ppm)、HPに出されたお詫びとお知らせには、『当チンゲン菜を体重50sの人が毎日20袋(190g入り)食べても健康に影響はないことから、通常の食べ方では健康への影響は考えられない』との記載がみられ、回収が実施されました。
★福島県:シュンギクから基準超えの農薬ベンチオカーブ
【参考サイト】JAそうま
反農薬東京グループ:福島県への質問と回答
福島県は、11月21日に、南相馬市原町区の農家1戸が生産したシュンギクから食品の基準値を超える農薬が検出されたと発表しました。
相双保健所の収去検査で除草剤チオベンカルブ(ベンチオカーブ)0.023ppm(一律基準0.01ppm)の残留が判明したもので、販売元のJAそうまに対し、出荷自粛と回収が求められました(南相馬市や郡山市、福島市のほか、川崎市、札幌市の青果卸業者に出荷)。
生産者には、当該農薬の使用・購入が確認されず、汚染原因は、周辺の小麦生産圃場からのドリフトが原因と考えられました。
★神奈川:プラムにマラソン適用外使用
【参考サイト】JAさがみ
反農薬東京グループ:神奈川県への質問と回答
今年の5月に、神奈川県茅ヶ崎市のプラム生産者が適用外のマラソン乳剤を使用したいたことが、11月になって、神奈川新聞の報道で明らかになりました。当該プラムは、6月中旬、約30kg販売されましたが、違反が分かったのは、6月28日で、農薬使用履歴で確認されました。
神奈川県は、この事実を直ちに公表しなかったことについて、残留が不明な上、『販売1ヶ月前の1回のみの使用であることや使用量も少なかったことから、安全性に関して問題がないと判断し、公表しませんでした。また、販売後、かなりの期間が経過していることから、回収は行われていません。』としています。
★玉川学園:アセタミプリド残留ハチミツその後
【関連記事】記事t26605
【参考サイト】学校法人玉川学園:Top Page、玉川大学ミツバチ科学研究センター
反農薬東京グループ:玉川学園購買部への問い合わせ
蜂蜜については、愛媛大学の調査で、ネオニコチノイド系のアセタミプリド、チアクロプリド、チアメトキサム、ニテンピラムなどが、最大0.016ppm検出されており、蜜源等の汚染が疑われていました(記事t26401参照)。
東京都町田市の学校法人玉川学園購買部販売の「たまがわはちみつ有田市ミカン蜜」に、アセタミプリドが0.05ppm(一律基準0.01ppm)検出され、回収されていることについて、汚染原因と対策を尋ねました(記事t26605参照)。
同購買部は、上述の愛媛大学の報告が新聞報道されたのを契機に、販売している蜂蜜製品を外部検査機関で分析したところ残留基準違反が判明したとのことでした。
当該蜂蜜は、和歌山県有田市の温州ミカン果樹園で採蜜されたもので、ミカンの花期にアセタミプリド(多くはモスピラン)が散布されていました。同剤は、ミツバチに対する急性毒性は弱いとされていますので、ハチそのものへの影響はなかったのでしょうか。
玉川大学ミツバチ科学研究センターが、原因解明のため同地域の20検体以上の残留農薬の検査を実施し、蜂蜜の残留レベルや、果樹園と蜂場との距離による影響について検証を進めているとの回答がありました。
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作成:2014-03-01