ダイオキシンにもどる
電子版「脱農薬てんとう資料集」No.8<ダイオキシン含有農薬とPOPs系農薬>
No.8の参考リンク集 環境省のダイオキシン類対策のページ
t26905#埋設POPs系農薬と2,4,5−Tのその後と都内のダイオキシン汚染#14-01
1971年に林野庁が埋設指示した2,4,5−T系農薬及び、農水省の指示で土中埋設されたPOPs系禁止農薬(難分解性、高蓄積性、長距離移動性、有害性を持つ物質を意味し、BHC、DDT、ドリン剤等をいう)について、両省庁からの報告を本誌254号、257号で紹介しましたが、その後の状況を報告するとともに、東京都内でのダイオキシン汚染を取り上げます。
★2,4,5−T:屋久島ではダイオキシン検出
【関連記事】記事t25403
【参考サイト】鹿児島県:H24年度ダイオキシン類対策特別措置法に基づく常時監視結果について」
林野庁へは、2,4,5−Tの埋設状況について問い合わせました。全国50個所の埋設個所と直近の点検年月日を次頁の表に示します。
2012年に、その埋設が問題となっていた鹿児島県屋久島町にある「憩いの森公園」の埋設個所(2,4,5−T粒剤3825kgを埋設)では、住民の要求で、町による土壌の環境調査が実施されました。鹿児島県は、屋久島町憩いの森(埋設地) 4.0 、同憩いの森 2.4 pgTEQ/gのダイオキシン類を検出したと報告していますが、分析調査の詳細は不明です。ダイオキシンの土壌環境基準は1000pgTEQ/g以下であるためか、埋設2,4,5−Tの無害化処理についての話は聞こえてきません。
表 2,4,5−T剤埋設処理箇所における直近の点検年月日等(林野庁資料より)
森林 森林 埋設箇所 点検 森林 森林 埋設箇所 点検
管理局 管理署等* 所在地 年月日 管理局 管理署等* 所在地 年月日
北海道 空知 北海道夕張市 12/11/9 四国 四万十 高知県四万十市 13/2/4
〃 網走西部 〃 遠軽町 12/12/6 〃 〃 〃 四万十町 13/2/18
〃 十勝西部 〃 広尾町 12/9/27 〃 嶺北 〃 いの町 12/11/30
〃 〃 〃 音更町 12/9/26 〃 〃 〃 大豊町 12/11/30
〃 〃 〃 清水町 12/9/26 〃 安芸 〃 安芸市 12/12/18
〃 根釧西部 〃 標茶町 12/11/13 〃 四万十 〃 土佐清水市 13/2/1
〃 十勝東部 〃 本別町 12/11/27 九州 佐賀 佐賀県吉野ヶ里町 13/3/15
東北 〈金木〉 青森県中泊町 12/10/12 〃 熊本 熊本県熊本市 12/10/9
〃 〈久慈〉 岩手県久慈市 12/10/23 〃 〃 〃 宇土市 12/10/24
〃 〃 〃 野田村 12/10/23 〃 熊本南部 〃 芦北町 12/10/31
〃 盛岡 〃 雫石町 12/10/18 〃 大分西部 大分県別府市 12/10/26
〃 三陸北部 〃 岩泉町 12/10/16 〃 宮崎北部 宮崎県日之影町 12/10/4
〃 〃 〃 宮古市 12/10/16 〃 西都児湯 〃 西都市 12/10/23
〃 岩手南部 〃 西和賀町 12/10/18 〃 宮崎 〃 宮崎市 12/10/4
関東 会津 福島県会津坂下町12/11/28 〃 〃 〃 〃 12/11/5
〃 吾妻 群馬県東吾妻町 13/3/5 〃 〃 〃 小林市 12/10/23
〃 利根沼田 〃 昭和村 12/11/5 〃 〃 〃 〃 12/10/30
中部 (愛知) 愛知県設楽町 12/12/5 〃 〈都城〉 〃 都城市 12/10/1
〃 岐阜 岐阜県下呂市 12/10/15 〃 宮崎南部 〃 串間市 12/11/27
〃 〃 〃 〃 12/11/2 〃 大隅 鹿児島県肝付町 12/10/19
近畿中国 広島北部 広島県庄原市 13/3/7 〃 鹿児島 〃 湧水町 12/9/26
四国 愛媛 愛媛県西条市 12/9/5 〃 北薩 〃 伊佐市 12/10/18
〃 〃 〃 久万高原町12/9/13 〃 〃 〃 〃 12/10/16
〃 〃 〃 宇和島市 12/8/29 〃 鹿児島 〃 南九州市 12/11/6
〃 〃 〃 松野町 12/8/30 〃 屋久島 〃 屋久島町 12/10/12
*:管理署名の〈 〉は支署、( )は管理事務所を表す。
★POPs系農薬:追加処理は18.3トン
【関連記事】記事t25706
【参考サイト】農水省:埋設農薬の管理状況の頁と埋設農薬の管理及び処理の状況
農水省公表の資料では、総埋設数量(全国24道県、168カ所の約4,400t)のうち、12年12月までに約4000tが無害化処理され、残りは、新潟県で68個所205トン、鳥取県で18個所143トン、合計約356ton となっていました。13年には、処理があまり進まず、新潟県で18.3トンが処理されただけで、無処理量は両県合わせて約338トンとなりました。農薬別の内訳は、BHC約161t、DDT13.7t、3種のドリン剤5.1t、その他158tです。これらは、関係県等が、土壌調査、水質調査等の実施により、周辺環境が汚染されないよう適切に管理しているとのことです。
★東京都荒川区のダイオキシン汚染地域
【関連記事】記事t16705、記事t18504(東京都豊島5丁目団地のダイオキシン汚染)
【参考サイト】東京都:環境局の荒川区東尾久ダイオキシン類対策の頁
12/12/22、13/02/05、13/04/05、13/09/11
下水道局の13/09/11、荒川区の13/04/04
約1年前の12年12月、東京都荒川区にある下水道局東尾久浄化センター内の工事区域の表層土壌からダイオキシン類が環境基準を超えて検出されました(検体数113のうち、ダイオキシン類は4検体から1100〜2300pg-TEQ/g)。周辺には、首都大学の荒川キャンパスや都立尾久の原公園、東尾久運動場、多目的広場、区立住宅や都営住宅もあり、一部立入禁止として。詳細な環境調査が実施されました。
13年2月の環境局らの調査では、土壌:370-6200pgTEQ/g(157検体中基準超え11検体)、大気:0.034-0.051pgTEQ/m3(5検体、大気基準0.6pgTEQ/m3以下)、水質(1検体4.6pgTEQ/L、基準1.0pgTEQ/L以下)、底質(1検体120pgTEQ/g、基準150pgTEQ/g以下)でした。
さらに6月の環境局の土壌の深度方向調査では、都立尾久の原公園と東尾久運動場(多目的広場)の土壌77検体中76検体に0.1-44万pg-TEQ/g検出、18検体が基準を超え、最高濃度は地下6m地点でした(下水道局調査では、最大110万pg-TEQ/g検出)。
同地では、1918年から79年まで、旭電化工業が電解法苛性ソーダの製造などを行っており、1983-84年には、水銀や鉛の土壌汚染が見つかっています。85年に工場跡地として、東京都に売却されていますが、操業当時の電気分解工程で、タールピッチ系黒鉛電極由来の炭素化合物と電解塩素化合物からダイオキシン類が生成していたと考えられます。
下水道局は、基準超過が確認された範囲について、引き続き、飛散防止対策を継続するとともに、その効果を確認するためダイオキシン類大気調査についても実施するとしており、2005年に発覚した東京都北区の豊島5丁目団地のダイオキシン汚染(日産化学王子工場跡地)のように、土壌浄化でなく、覆土処理で済まされるかも知れません(記事t16705、記事t17006、記事t17105d、記事t17504、記事t18404、記事t18504参照)。
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作成:2014-03-28