残留農薬・食品汚染にもどる

t27001#ネオニコチノイド系農薬「クロチアニジン」の残留基準大幅引き上げに抗議 その1 パブコメ1000件、市民団体の交渉で精査終わるまで凍結確約#14-02

【参考サイト】厚労省:クロチアニジンの残留基準設定についての意見募集(2013年)と参考資料当グループの意見
               全パブコメ意見(グリーンピース・ジャパンのHPにリンク、情報公開請求により開示)
            同じく2009年の意見募集参考資料当グループの意見厚労省の見解
       食品安全委員会のクロチアニジン農薬評価書(第五版)とFAMICにある農薬抄録
       グリーンピース・ジャパン:Top Page反対署名(12770筆達成)
                    ネオニコに反対する署名とメッセージを厚労省に提出しました(2/18)と要請書
                    ネオニコ系農薬の規制緩和、パブコメの99%が反対と判明〜署名も農水省に提出(3/07)と要請書
                    立ち上がった生産者たち―ネオニコ系農薬の使用禁止を訴え
                    (3月3日の秋田県要請行動と秋田集会動画あり)
                    ネオニコ残留基準の反対署名を農水省にも提出
                    パブコメ結果は99.94%が基準緩和反対?みんなの声で止め続けよう


 記事t26601記事t26801でお知らせしましたが、ネオニコチノイド系農薬クロチアニジンの残留基準がとんでもなく引き上げられようとしています。既に昨年10月パブコメは終わっていますが、厚労省によると1000件以上という意見が集まっているとのことです。また、国際環境NGO グリーンピース・ジャパンがホームページで呼びかけた反対署名は12770筆に達しました。
 こうした中で、グリーンピースが呼びかけ、2月3日に関心ある6市民団体と厚労省との話し合いがもたれました。事前に質問していた住友化学の発達神経毒性に関する未発表資料も提出されました。
 話し合いの中で、現在、厚労省のクロチアニジン残留基準緩和の手続きは凍結されていること、パブコメで指摘された新たな発達神経毒性の論文を精査し、食品安全委員会に評価を依頼するかどうか検討中などがわかりました。以下、2回に分けて、主な点をおしらせします。
 なお、発言者の略称は以下の通りです。
   反農薬東京グループ(反農薬)、ネオニコチノイド系農薬中止を求めるネットワーク(ネオニコ)、
   日本有機農業研究会(日有研)、ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議(国民会議)、
   国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(GPJ)
   厚労省:食品安全部医薬食品局基準審査課技術総括補佐(厚労1)、同課残留農薬補佐(厚労2)
  厚労省への要請書と質問

★申請の中身は農水省で聞いてくれ
【厚労1】まず、クロチアニジンの残留基準引き上げと適用拡大の理由と目的は何かということですが、厚労省としては、食品に残留する農薬が国民に悪影響を及ぼすことがないよう、食品衛生法に基づき、公衆衛生の見地から必要な規格、基準を定めています。クロチアニジンについては、農薬取締法に基づき、農水省に適用拡大の申請をされたことから今般の改正において、これまで輸入食品を想定して、設定されていた基準値を国内の適用拡大に当たり、我が国としての事情が考慮されて、申請されたと承知していますが、その詳細については農水省に聞いていただきたい。
【GPJ】その特異な事情というのを厚労省は把握しているのか。
【厚労1】日本特有の環境とかは想定されているところはあるが、個別には聞いていない。
【反農薬】残留基準値を決めたのは厚労省だ。農水省からそのようなものが廻ってきたとしても、最終的に基準値を決めたのは厚労省ですよね。農水省に聞けとかいう話ではなく、私たちは残留基準について疑義がある。なぜ、ホウレンソウ、カブについて40ppmに決めたのか、そこをお聞きしたい。
【GPJ】理由のところにも書いてあるが、何故、そういう数字にしたのかお聞きしたい。
【国民会議】これは、子どもの脳に非常に危ない残留基準だ。それをあえて何故決めたのか。
【日有研】ホウレンソウは鉄分の補給のために子どもがよく食べるということを知っているはずだ。最近相次いで脳に影響を与えるという論文が発表されている。そういう危険な農薬の残留基準を高めていいのか。
【厚労2】農林水産省から提出というか、元はメーカーからですが、作物残留試験が実施されまして、その結果がこちらに提出されております。その結果に基づいて、統計学的に一定の許容幅において、残留基準を設定するというのはネオニコチノイドに限らず、すべての農薬について、国際的にも同様な方法で実施されています。今回、残留試験データから通常の方法に従いまして、残留基準を設定した。で、その残留基準に他の食品を含めてADIの占有率を確認したところ、ADIの80%以内に収まることを確認しておりますので、今回の基準を決めました。

★残留試験2例から、古い計算方法で決めた −省略−

★EUの情報は持っていると
【国民会議】最近の情報で、昨年12月になってヨーロッパのEFSA(欧州食品安全機関、以下、エフサ)が、子どもに危ないと最新データで言っているんですよね。古い計算で、大丈夫ですなんて。最新データを入れてやるのが当然じゃないんですか。
【厚労2】エフサの方も、今のところ、そういうコメントはだされていますけれども、
【国民会議】でも、答申したんですよ。EUで危ないからって
【厚労2】それも少し、話に誤解があると思います。全面的な禁止ではなく、蜂への影響を考慮して、まず、人への健康の話ではなく、
【国民会議】昨年12月、エフサは、人の、子どもの脳に危ないからって
【反農薬】ADIもARfDも下げろって言っているでしょ。
【厚労2】そうです。
【反農薬】そういう情報はもっていらっしゃるわけね
【厚労2】もちろんです。じっさい、ADIをアセタミプリドについて下げるという案ですけれども、下げても今のところ、日本の基準で見ますと、アセタミプリドについては、ADIの80%に入るということは確実です。
【国民会議】今回、対象になっているのはアセタミプリドとイミダクロプリドですが、クロチアニジンについても、同じような疑いがあります。とりわけ小児の神経発達毒性。クロチアニジンもあるのではないかという懸念もあるかと思いますが、その点は、どのような調査をされたんでしょうか。その上で決定されているかどうかをお聞きしたいのです。
【厚労2】クロチアニジンにつきましても、他の農薬と同じように食品安全委員会の方で毒性等について評価いただきまして、ADIが決まりますので、基準値案を作成して、それの元にADIの80%以内に収まることを確認してます。(注:食品安全委員会は1月20日の第500回会合で、ホウレンソウの残留値を27.8ppmとして、摂取量を推定した農薬評価書をだしている)

★パブコメ1000件確認に時間がかかる
【厚労2】クロチアニジンにつきましては、1000件を超えるパブコメが寄せられています。私共はその内容を一つずつ確認しております。その中に、科学的知見、そのう、私ども行政の規制方法を変更しなければいけないと思われるような科学的な知見があればですね、当然、それに対して対応していきたいと考えています。ただ、非常にその量が多いですので、確認作業が時間を要しています。
【国民会議】パブコメ全部を確認する必要はなくてね、今日、お手元にお配りした黒田さんの論文(注:黒田洋一郎さん:「欧州食品安全機関,ネオニコチノイド系農薬がヒト脳に発達神経毒性の可能性ありと公表─EUではミツバチ大量死の原因として使用禁止始まる」 岩波書店:「科学」2014年2月号234頁)が科学的なんです。まずは、その論文は世界が注目しているんですよ。それを読んで、
【厚労2】はい、私どももこちらの文献については読ませていただいています。確かに、こういう知見があるのは確かで、それを黒田先生の論文を元に、エフサの方ももう一度評価というか、パネルに意見を求めて、その意見書が今回公表されています。その中で、黒田先生達の論文から得られているというのはインビトロ(注:試験管内での意味。細胞や組織を用いた試験)で、脳神経系統とか、人の生体というのは非常に複雑ですので、インビトロの試験結果をもって、それをもってすぐに行政の規制に応用することはできないと、エフサの検証の中で書かれているんですね。やはりインビトロの試験系ではわからないところがあるので、インビボ、生体内での動物実験がどうなのかというところを詳しくなおされたのが、今回のエフサの意見書だと認識しています。

★田中論文は精査する
【反農薬】ですけれども、動物実験で言えば、日本の田中さんの論文がありますでしょ、その論文は発達神経毒性の論文で、それについては検討したんですか。(注:記事t24902にある東京都健康安全研究センターの田中豊人さんのマウスの仔世代の行動への影響に関する研究)
【厚労2】その論文というのは非常に有用であると思います。実際の論文を取り寄せまして、その論文の内容は実際に食品安全委員会の評価に出すのに、適切な内容かどうかを確認しようとしています。この文献だけでなく、他にもいろいろ資料がございますので、今、この場で、この論文でもう一度評価を依頼しますと、そこまでは言えないんですが、有用な一つの情報として私どもで注意しているのは事実です。

★残留基準告示手続きは凍結している
【日有研】その検討している間くらい、引き上げは凍結するのは当然じゃないですか。
【厚労2】当然です。あの、今手続き止まっております。
【反農薬】凍結しているというのは、もうちょっと具体的に言うとどういうことですか。
【厚労2】パブコメの内容をひとつづつ、科学的知見を検討しています。ですので、当然、その次の、官報告示するための事務手続きはしていません。
【反農薬】今パブコメの内容を見ているということですが、田中先生の論文だとか、他にいくつかある論文を、食品安全委員会に出して評価し直してもらうかどうかを検討中ということですね。
【厚労2】そうです。
【反農薬】それはどのくらいかかるのですか。
【厚労2】その辺は、いつ頃というのは申し上げられないのですが。
【反農薬】食品安全委員会にはかけるでしょ。
【厚労2】それがまだ食品安全委員会にかけるかどうかもわからないですけども、

★住友化学の未公表の試験データを出す −省略−

★ARfD(急性中毒参照用量)は決めてない  −省略−

★ホウレンソウ40グラムで急性中毒? −省略−
                   (次号につづく)

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作成:2014-03-01、更新:2014-03-09