食品汚染・残留農薬にもどる

t27003#台湾:日本からの輸入食品を残留基準違反で廃棄・返送〜3ヶ月で39件の違反#14-02

【関連記事】記事t22004(2009年12月)、記事t27104
【参考サイト】台湾:食品医薬品局のHP 農薬残留基準(英語版) 食品薬物消費者知識服務網の不合格食品資訊査詢

 今年にはいって、台湾で、日本から輸入されたイチゴや茶製品が同国の残留基準に違反しており、輸出差止め処分になっているとのインターネット報道がありました。
 台湾の食品薬物消費者知識服務ネットのデータベースを調べると、昨年11月から本年1月の3ヶ月間に、日本から輸出された食品に42件の違反があり、うち、39件が残留農薬基準違反でした。記事t22004(2009年12月)に、日本から輸出されたリンゴが、台湾の残留基準を超えて、輸出を止められた事例をとりあげましたが、その後も、他の食品で続いていたわけです。

★イチゴの違反が一番多い
 台湾の食品衛生管理法では、残留基準が設定されている食品については基準値以下、設定されていないものは不検出というのが原則です。違反した場合には、廃棄又は返送されることになります。日本のように国内適用のない農薬について、高い海外基準を設定しているのと違い、台湾では国内で使用されていない農薬は基準がないようです。
 いちばん違反件数が多かったのは、表1に示したイチゴで13件、銘柄が判明しているものは名称を記載しました。産地は、箱がき等にあるもので、福岡8件、熊本、鹿児島と九州が多いのは、台湾への距離が近いためでしょうか。
 農薬別ではシフルメトフェン8件(0.03〜2.57ppm)とフロニカミド6件(0.05〜0.24ppm)の検出が多くみられました。また、2農薬が同時に検出されたイチゴが2件、3農薬が1件、6農薬が1件ありました。また、シフルメトフェンの1件は、日本の残留基準2ppmを超えて、2.57ppm検出されていました。出荷JA名が記載された「さつまおとめ」という銘柄であることが台湾情報でわかります。輸出品だけが基準オーバーとは考えづらく、日本でも出回っていることが考えられます。
 もつひとつ、気になるのは、日本で販売禁止農薬となっているエンドスルファン(ベンゾエピン、台湾漢字表記では「安殺番」)が、福岡の「あまおう」に0.02ppm検出されたことです。汚染原因の調査をしてもらいたいと思います。
 ちなみに、国産イチゴには多くの農薬が検出されることは、農水省の調査でもわかります。表2のように、2011年度の報告では53農薬が分析され、20農薬が検出されました。いずれも、日本残留基準を超えたものはありませんでしたが、台湾基準の項に×印をつけたものは、同国で残留基準違反に問われることになります。

 表1、台湾で残留基準違反となった日本からの輸出イチゴ −省略−

 表2 国産イチゴに検出された農薬(2011年度農水省調査)−省略−

★その他の野菜・果実13件
 茶製品は、イチゴと同じ違反件数の13ですが、紙面の都合上、次号にまわし、本号では、その他の野菜・果実の違反13件を表3に示します。おおば(しその葉)の違反は5件で、うち、フロニカミドが4件(0.13〜1.38ppm)ありました。ゆりねの輸出量は約8.9トンあり、残留違反は、トリフルミゾールでした。日本の残留基準は高いので、いずれの事例でも、国内での販売には問題ありません。

 このような実態をみると、農産物輸出を推進する農水省は、日本での農薬使用を止めさせることよりも、輸出相手国の基準以下になるよう指導するのは当然として、ひどい場合は相手国に日本と同等の基準を設定させることすら、やりかねません。

 表3 台湾への輸出野菜・果実の残留基準違反  −省略−


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作成:2014-03-28