残留農薬・食品汚染にもどる

t27102#ネオニコチノイド系農薬「クロチアニジン」の残留基準大幅引き上げに抗議
      その2 消費者にどういう影響があるのか調べるシステムがない#14-03

【関連記事】記事t27001記事t27103
【参考サイト】厚労省:クロチアニジンの残留基準設定についての意見募集(2013年)と参考資料当グループの意見
               全パブコメ意見(グリーンピース・ジャパンのHPにリンク、情報公開請求により開示)
               3/18食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会資料より
               クロチアニジンパブコメ概要
            同じく2009年の意見募集参考資料当グループの意見厚労省の見解
       食品安全委員会のクロチアニジン農薬評価書(第五版)とFAMICにある農薬抄録
       グリーンピース・ジャパン:Top Page反対署名(12771筆達成)
       みんなの声が残留基準の緩和をとめています--クロチアニジンの残留基準の緩和が再審議になりました!(3/20)

 記事t27001に引き続き、クロチアニジン残留基準引き上げに関して、2月3日に行われた厚労省との話し合いの内容をお知らせします。
   厚労省への要請書と質問
 発言者略称
   反農薬東京グループ(反農薬)、ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議(国民会議)、
   国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(GPJ)
   厚労省:食品安全部医薬食品局基準審査課技術総括補佐(厚労1)、同課残留農薬補佐(厚労2)
★消費者にメリットがない
【反農薬】厚労省は残留基準を決めるときに、消費者にどういう影響を与えるかということは考慮しているんですか。
 たとえば、今回のクロチアニジンの改定案だとTMDI(全食品が残留基準値であったと仮定した際の最大一日摂取量)はいままでの2倍になりますよね。消費者にとって全然メリットないわけです。消費者の健康を守るために残留基準を決めているんであれば、何のためにそんなにあげるのか。メーカーが申請してくれば、数値が合っていればそれでいいと、すいすいと通ってしまって、結局、割食うのは消費者です。今までの倍のクロチアニジンを食べなきゃいけないということになる。数値がきたから数字合わせみたいに当てはめていって、とんでもない数値をだしてきたというふうにしか思えない。
【厚労2】確かに、数字を当てはめているだけに見えるかもしれませんけれども、私どもは中立でないといけないのです。当然、消費者の健康保護が第一ですが、ただ、健康が害されるという科学的根拠を、ちゃんと申請者側、農薬メーカーとか、農薬を使用したいと考えていらっしゃる方にちゃんとした説明ができないと。でてきた残留データを、これでは高いです、これでは駄目ですというための理由の部分が示せなければ、やはり、でてきたデータを元に基準を設定することになります。
【反農薬】そもそも、この残留基準を決める仕組みの中に欠陥があると思っています。消費者にとってどういうメリットがあるか、それを検討するところが一切ない。消費者庁も厚労省に言われた通りに、はいはい、意見はありませんと回答しているわけでしょう。そうすると農水省はメーカーから来たのを全部受け付ける、それを厚労省が数字を決める。そういう過程の中で、こんなにあげていいのかとか、消費者にどういう影響を与えるのか、ということは、チェックするところがない。
【国民会議2】厚労省は中立の立場じゃないですよ。
 そもそも、消費の安全を守る立場なんですよ。業者の立場じゃないですよ。今回もこういうふうにしなければ、ものすごく作物に被害があるとかいうんだったら、もう少しわかるんですが。その被害があるのかどうかの調査もせずに、単に数式に当てはめてやっていけるというだけで、そういうことを慣行にしてしまうと業者は既得権みたいにして、どんどんやっていくじゃないですか。だから、防波堤を作るには、厚労省の中で、安全を守るための基準は何かということをもう少し、予防原則に従って抜本的に見直す必要があるんじゃないかと思うんです。
 今回の問題も、農水省から来たから理由は農水省に聞いてくださいなんて言わないで、やるべき改定なのかどうか、確実に安全が守れるのかどうか、という観点から慎重に検討していただきたい。
【国民会議1】一つ言い忘れたのは、今の安全基準というのは大人の安全基準だ。胎児、幼児の安全基準じゃない。
日本の子どもはこれから非常に危険にさらされるというような残留基準を作らないで、子どものことを考えて、予防原則を考えていただきたい。
【国民会議2】この間、農水省の方とお話ししたときに、農薬の残留基準は安全のための基準じゃない、っていうんです。
 それは、農薬使用量の適正化のための基準だと言うわけです。私はびっくりしたんですが、それでいいんですか。
【厚労1】農水省的に見ればそういうこともあります。われわれは安全のレベルで基準値をつくっていっているつもりです。

★何故、現行の基準を守れと言わないのか
【反農薬】それでしたら、既にクロチアニジンの残留基準はあるわけですよ。今回初めて登録するわけじゃない。それなのに、メーカーがもっと売りたいということで申請してきたら、今までの基準を守ってくださいとどうして言わないんですか。どうして、どんどん緩和するんですか。
【厚労1】あのう、今、われわれ、基準を決めるにあたって、ADIという指標しかない。ADIを超えていないという状況の中で、メーカーに対して人の健康が害されるから駄目という話でないと、なかなか止めることはできない。
【反農薬】でも、前の時に決めたときも科学的に決めたわけでしょう。ほうれんそうは3ppm。それがあっという間に40ppmになる。何故ですか。
【国民会議3】安全基準がこんな十何倍になるなんて考えられないですよ。
【厚労1】その時は外国の基準です。外国の使用方法を使って、その基準が外国で決められているなどで、適正に使用すればそこまでに収まるというので、そこまでその基準値を設定してほしいという話がある。
それをわれわれADIはまだ余裕があるんですけれども、彼らが3以上求めないんであれば、われわれADIに余裕があってもあげることはしません。
【反農薬】そうしたら、安全じゃなくて、メーカーの言うままじゃないですか。
【厚労1】メーカーが言ってきたときに、危ないかどうかで戦える手段はADIしかないので。
【国民会議3】ADIしかないって言われますけども、ARfD(急性中毒発症推定量)が海外で決められている。
【厚労1】なので、われわれずっと研究は進めてきた。24年度に終わってどう取り込むかということは、今検討しているところで、できるだけ早く導入したいと思っています。
【国民会議3】だけど、その導入と今回の40ppmというのは、ARfDを日本がどこに設定するかによるけれども、今あるEUの基準だったら50グラムで危ないというのに。
【厚労1】そこはちょっと検討という話になりますけれども
【国民会議3】それが本当に起こるんだったらひどすぎるって話になる。もうほうれんそうなんて食べないということになってしまう。

★ARfDは検討する   −省略−

★科学的根拠はADIのみ
【国民会議2】それはわかった。私がいっているのは業者から申請があれば、皆さん方の枠組みだと可能になっちゃう。これって、国民の健康を守るという立場で行政をやっておられる皆さん方の立場からして、危機意識はないですかと申し上げている。どうですか。
【厚労2】今のところはADIで判断するしかない。今後、ARfDとか新たなファクターを加えていく。安全性を示す物差しがもっと他にもあるのであれば。複合暴露も国際的に評価の仕方が定まっていない状況ですから。
【国民会議2】でもEUは神経系だけでも始めています。
【厚労2】はい。そういうのも当然私ども情報収集しています。ですので、そういうものを取り入れないといけないということは、非常に感じてはおりますが、それが具体的にすぐに導入できるものではございませんで、おっしゃられるようにご懸念されているということもよくわかりますので、また、科学的となってしまうんですけれども、そうやって毒性、安全性をはかる物差しを増やしていきたいとおもっています。
【GPJ】発達神経毒性の論文が業者が出したひとつだけというのは、ADIの信憑性としても問題があるのではないですか。新しいものを足していくことと、ARfDが設定されるまでは、基準を変えないということで、これをきっかけにしてやっていただきたい。
 パブコメには科学的な意見もある中で、そうじゃない意見もあるかもしれない。それも無視しないでほしいです。それ一人一人が食べる人であり、リスクを負う人たちなんです。科学的なとずっとおっしゃっていますけれども、それ以外の意見も絶対無視しないでほしいです。
【厚労1】われわれ読みますし、そういう気持ちもわかりますが、基準値設定を止めるということは、やはり科学的根拠がないと止められないところがあるので、そこはどうしても、
【GPJ】その科学的根拠に非常に大きなクエッションがついているということも、認識してください。
【厚労1】言っていることは理解はするんですけれども、われわれ、なかなか、たとえば感情的な意見とかですね、それを基準値の方にもっていく術がないということもあるので。
【GPJ】もっと農薬を撒きたいというのが本当に合理的なのか、科学的なのか、虫の防除がそんなに必要なのかということを問わずに、農水からきたものを受け入れて検討に入ってしまっているわけですが、それ、非常にバランスが悪いというか、偏っていると思うんです。撒きたい人だって撒かせたい人だって科学的じゃないかもしれない。
【GPJ】最後に確認したいのですが、いきなり基準だけが上がるということは、ないと思ってよろしいですね。
【厚労2】ないとははっきり言えないです。そこは汲んで下さい。     (了)

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作成:2014-03-28