食品汚染・残留農薬にもどる
t27304#尿中に検出される農薬代謝物〜環境省の調査より#14-05
【関連記事】記事t04406(ペルメトリン代謝物)
記事t14006、記事t22605(有機リン代謝物)、記事t24705(イミダクロプリド代謝物)
記事t23701、記事t24005、記事t26903、記事t27002(ADHD 注意欠陥・多動障害)
【参考サイト】環境省:
ダイオキシン類対策の頁のパンフにある
日本人におけるダイオキシン類等の曝露量について2012と
日本人における化学物質のばく露量について2013
保健・化学物質対策の頁にある
平成24年度化学物質の人へのばく露量モニタリング調査結果について
環境省は、2002年から2010年まで、ダイオキシン類の人への蓄積量調査を実施していましたが、2011年度以後、調査対象を他の環境汚染物質や放射性物質まで、ひろげました。2012年度の調査結果をまとめたパンフレット「日本人における化学物質のばく露量について2013」(環境保健部環境リスク評価室発行)が昨年9月公表されています。
2011、12年度については、6 地域の 170 人(年齢 40 歳以上60 歳未満で、11年度:86 人、12 年度:84 人)が対象となり、尿や血液中の化学物質が測定され、うち 30 人については食事経由の化学物質摂取量も算定されています。その中に、いくつかの農薬の尿中代謝物の分析結果が報告されていますので、下表に示します。
表 尿中に検出された農薬代謝物等(単位:g/g-cr)
化学物質名 代謝物名 検出範囲 g/g-cr
2011年度 2012年度 全対象者
有機リン化合物 DMP(ジメチルリン酸) 1.8〜14 0.60〜11 0.60〜11
DEP(ジエチルリン酸) ND〜32 ND〜520 ND〜520*
DMTP(ジメチルチオリン酸) ND〜62 ND〜82 ND〜82*
DETP(ジエチチオリン酸) ND〜2.7 ND〜8.3 ND〜 8.3*
フェニトロチオン 3-メチル-4-ニトロフェノール − ND〜2.8* ND〜 2.8*
パラチオン p-ニトロフェノール − 0.23〜4.6 ND〜4.6
アセフェート − ND〜0.30 ND〜0.30*
メタミドホス − ND〜0.058 ND〜0.058*
ピレスロイド系 PBA(フェノキシ安息香酸) ND〜3.4 ND〜1.6 ND〜3.4
DCCA(ジクロロビニル-ジメチルシクロプロパンカルボン酸)
ND〜13 ND〜3.1 ND〜13
カーバメート系 エチレンチオ尿素 ND〜0.23 ND〜0.50 ND〜0.50
イミダクロプリド等 6-クロロニコチン酸 − ND〜1.8 ND〜1.8*
トリクロサン 0.27〜79 0.15〜120 0.15〜120
ディート − ND ND
*は環境省のパンフが修正された後のもの
★人の尿中に検出される農薬代謝物等
尿中濃度は、採取時間により異なるため、その人の基準となるクレアチニンで補正した単位 g/g-crとなっています。μg/Lのような尿中濃度に正確に換算することは出来ませんが、有機リンやピレスロイド、ネオニコチノイド系殺虫剤の代謝物、さらには、石鹸などに添加されている殺菌剤トリクロサンが尿中に検出されていますが、蚊除け剤ディートは検出限界以下でした。
脳・神経系に影響を与える有機リンやカーバメート、ピレスロイドなどは、疫学調査で人の注意欠陥・多動性障害を含めた発達障害の危険因子とされており、ネオニコチノイド系も影響が疑われ、その代謝物が尿中に存在することは、要注意です。なお、パンフには、ダイオキシン類、重金属類、放射性物質、POPs系農薬や環境ホルモン作用が疑われるフタル酸系可塑剤やビスフェノールの調査結果も報告されています。
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作成:2014-07-01、更新:2014-07-20