農薬の毒性・健康被害にもどる

t27401#食品安全委員会、クロチアニジンのARfDを設定〜ADIは変わらず、残留基準も変化なしか#14-06
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【参考サイト】食品安全委員会:Top Page 専門調査会別情報
        4月7日:厚労省から食品安全委員会へのクロチアニジン健康影響評価依頼文書
           評価依頼の概要(4月15日開催第511回食品安全委員会資料)
        7月1日 第520回食品安全委員会:議事録クロチアニジン農薬評価書案第6版
      この評価書へのパブコメ意見募集は、7月2日から31日です。
        農薬専門調査会
         5月27日:第105回 農薬専門調査会幹事会議事概要
         6月18日:第107回農薬専門調査会幹事会 議事概要
             論点整理農薬評価書第6版案

 6月18日、第107回食品安全委員会農薬専門調査会幹事会につづき、7月1日の第520回食品安全委員会が公開で開かれました。この日、クロチアニジンについての新しい評価が決まりました。
 食品安全委員会は、農薬などのリスク評価を行う機関で、7名の食品安全委員の下に化学物質関係、生物系、新食品等などの専門調査会が設置されています。専門委員は、約200名とのことです。
 農薬の場合、50人の専門委員が評価第一部会から第四部会に分かれ、それぞれ評価を行います。その上に幹事会があり、幹事会の決定を経て、食品安全委員会が最終的に評価を決めるということになります。

 クロチアニジンに関しては、4月7日に厚労大臣から食品安全委員会に諮問があり、その説明に、13年10月から実施された残留基準に関するパブコメに1657件の意見が寄せられたため、その精査をする中で、再度、ARfDの設定等を含め、食品健康影響評価を依頼することにしたとあります。
 また、発達神経毒性試験等に関する文献を新に入手したことから合わせて提出することにした、とあり、論文3つのタイトルが紹介されていました。
 これを受けて、農薬専門調査会は5月25日に第105回農薬専門調査会幹事会を非公開で開催し、クロチアニジンのADI(一日摂取許容量)は、いまの0.097mg/kg体重/日のままとし、新たにARfD(急性参照用量=急性中毒発症推定量)を0.6mg/kg体重とし、クロチアニジンの評価書を一部変更することになったとのことでした。
 初めて決められたARfDはEUの6倍で、JMPR(FAO/WHO合同残留農薬専門家会議)の数値と同じです。

 幹事会は105回が非公開であったため、6月18日に公開でアリバイ的に開いたものです。そのためか、意見は殆ど出ず、事務局の説明がそのまま承認されました。
 新しい農薬評価書(第6版)案が資料として配付されました。その中で、ARfDの根拠となった試験は2000年にバイエル社で実施したもので、ラットを用いた急性神経毒性試験です。雄に対する無毒性量が60mg/kg体重とあり、ARfDはこれを百分の一にしたものです。
 今回、追加された児動物への影響検討試験(発達神経毒性試験)は、本誌249号で紹介した東京都健康安全研究センターの田中さんのマウスによる2論文です。農薬専門調査会は、両方とも「行動観察等の検査項目に変化が認められたが、いずれも用量相関性がないか、または群間での差が明確でなく、検体投与の影響ではないと判断した」とし、無毒性量は示されていません。
 もう一つのアメリカでの雄の生殖系について研究は、クロチアニジンでなく、ダントツという製剤での試験のため、評価書には記載しなかったということでした。
 これらの評価結果が、残留基準にどのように反映されるのでしょうか。40ppm残留したホウレンソウを150g食べても、安全だということに、なりかねません。

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作成:2014-07-01