食品汚染・残留基準にもどる

t28404#残留基準で、予防原則は認めないという厚労省#15-04
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【参考サイト】グリーンピース・ジャパン:ニュースリリース(4/08)4/13ブログ署名サイト

 3月31日、クロチアニジンの残留基準引き上げに反対する署名をグリーンピースジャパンが提出するのに合わせて、厚労省交渉を行いました。参加は、ネオニコチノイド系農薬中止を求めるネットワーク、ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議、反農薬東京グループ、日本有機農業研究会の4団体でした。厚労省からは基準審査課の3名が対応しました。
 クロチアニジン残留基準緩和は既に二回目のパブコメも終わり、ホウレンソウの40ppmというとんでもない数値を始めとする緩和案が決まろうとしています。
 なぜ、圧倒的多数が反対の意見を提出しているパブコメを考慮しないのか、また、2013年の1600件以上の意見が寄せられたパブコメへの見解を出さずに同じような内容で新たなパブコメをしたのかという質問に納得できる回答はありませんでした。厚労省は「見解は基準が告示されたら出す」などと言い逃れをしていました。

★科学的に安全という根拠なし
【参考サイト】厚労省のマーケット・バスケット方式摂取量:平成25年度残留農薬一日摂取量調査結果

 厚労省は口を開けば「科学的に検討した」といいますが、その中身はお寒いものです。複合影響については、「化学物質は無数にあるし、国際的にもまだ評価法が決まっていない」として、考慮しないとのことでした。つまり、わからないから放っておくというわけで、そういうときこそ、予防原則を適用して、危険を避けるべきです。
 厚労省は、常に科学的にやっていると言いますが、残留基準を決める時の重要な要素であるフードファクターについては、14年2月に「暴露評価に用いる食品摂取量の切り替えについて」という文書を出し、それまで使用していたフードファクターは「11月の特定の一日×3年」だったので、年間を通じた平均摂取量を反映していなかったとして、さっさと変更しています(記事t27305参照)。  フードファクターがこんなにいい加減に決められているとは驚きですが、このことを追及すると「その時点での科学的評価だ」と居直っています。しかも、このフードファクターで計算するとADIの80%を超えるものがでてきたとして、今度は「暴露評価の精密化」とやらで、ADIの80%以下にしてしまうわけです。
 また、最終的な厚労省の言い訳は、マーケットバスケット方式で分析すると、どの農薬もADIの100分の1くらいで、日本人の農薬摂取量は少ないとしています。
 このマーケットバスケット方式というのは、食品ひとつずつ分析するのではなく、食品を14種類の群(穀類、魚介類、肉類など)にわけ、各群の中から代表的な食品を複数スーパーなどで購入し、調理もして、それらを粉砕混合して農薬の分析をするという方式です。この方式で得られた数値は、食品衛生法の規制基準ではなく、単なる目安にすぎません。摂取量が少ないといいたいならば、残留基準を実態に合わせて、低値にすれば、国民の安心・安全につながるのに、高い基準をつくって、農薬メーカーや生産者を安心させることにまい進している厚労省の数字遊びにつきあうのはほとほといやになります。

5月19日 農水省:クロチアニジンのホウレンソウへの適用登録、
  厚労省:ホウレンソウのクロチアニジン残留基準40ppmを官報告示

 パブコメ結果:2015年01月23日パブコメ分
          公示文書別添1別添2
         2013年10月04日パブコメ分
          公示文書別添1別添2


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作成:2015-04-30、更新:2015-05-19