ネオニコチノイド系農薬・斑点米関係にもどる
t28705#斑点米に関する都道府県アンケート結果 〜着色粒規程の見直しを求めているのは岩手県だけ#15-07
【関連記事】記事t28607
【参考サイト】農水省:「玄米の農産物検査規格に係る情報交換会」の議論の概要についてと議論概要
農産物検査法及び関係通知等の頁にある
農産物検査に係る基本要領と農産物検査規格の設定等手続マニュアル
米の検査規格の見直しを求める会: 今野茂樹さんによる朝日新聞(私の視点)記事(5/02)
パンフレット「知っていますか? 斑点米と農薬とミツバチ大量死のご案内
記事t28601でお知らせした農薬危害防止に係わる都道府県へのアンケート調査結果の続きです。今回は、斑点米に関する質問への回答です。なお47都道府県のうち回答があったのは44都道府県でした。
<質問1> 現行の玄米の農産物検査規格の着色粒の規定が、現状でよいとお考えですか。
★国が定めるものなので判断できない。
北海道、青森県、秋田県、宮城県、山形県、福島県、千葉県、東京都、岐阜県、愛知県、福井県、三重県、奈良県、鳥取県、愛媛県、福岡県
質問に対して、判断できない、回答できないという回答が16都道県で一番多かった。国が決めるから県は何も言えないという態度は民主主義とはいえない。
★国に見直しを求めているのは岩手県
そうした中で、岩手県だけが国に要望を出していると以下のように回答してきた。
「岩手県議会では平成16年12月に農産物検査制度の見直しを求める意見書を採択し、外観だけでなく、生産者・消費者の求める品質を重視したものにするなど、農産物検査制度の見直しが図られるよう国に要望しています。」
★妥当な基準であるとしたのは12県
栃木県、茨城県、埼玉県、山梨県、新潟県、富山県、兵庫県、島根県、高知県、長崎県、宮崎県、鹿児島県
「現物を確認することなく、業者間の円滑な取り引きを可能とする観点からは、一定の検査規格は必要」との理由もあった。
★斑点米の発生が少なく問題ないのは2県。群馬県、神奈川県
★消費者・実需者が納得できる規格にすべき、は8府県。長野県、京都府、岡山県、広島県、香川県、徳島県、佐賀県、大分県。
ここでは、流通業者の意見を聞けというのはなく、斑点米があれば消費者が買わないのではないかと恐れる県が多かった。
京都府は消費者の意識改革が必要としたうえで、「色彩選別機の導入を支援し、農薬使用を低減した稲作を10年以上も前から他県に先がけて推進しています。」と取り組みを紹介している。消費者へも働きかければより有効と思われる。
香川県は、「混入の程度については消費者からの意見に基づいて設定すべきであると考えています」と回答。
大分県は、「規定が緩和されることが望ましいものの、消費者の理解が得られるのかが疑問です。水田畦畔等の除草等によりカメムシ類の発生源を絶つ取り組みが大切であると考えています」
消費者のクレームの中で斑点米が一番多いと主張しているのは、米の流通業者である。消費者は斑点米を見てないのだからクレームのつけようがない。一等米は0.1%以下という着色粒(斑点米)規定は、流通業者にとって米を安く買いたたくため必要なものである。
生産者は消費者に、斑点米をなくすためにどれだけ農薬を使用しているか、また色彩選別機で斑点米ははじかれていることをはっきり伝えるべき。
★その他
規定が緩和されれば生産者が助かるとしたのは静岡県。この項意見なしは大阪府、和歌山県、山口県、熊本県の4府県。
<質問2>斑点米対策の優先順位は?>
★まず除草を進める県が18県
斑点米に関する都道府県への質問の2番目は、斑点米対策は、以下の方法のどれを優先するかというもので6点を挙げた。
1、農薬散布
2、水田の畔や休耕田等の除草をおこなう
3、水田の畔などにカメムシの嫌うハーブなどを植える。
4、水田の生物多様性を豊かにし、カメムシを捕食する天敵等を増やす
5、色彩選別機で、斑点米を除去する
6、その他 (具体的に記入: )
優先順位はつけられないという回答が半数あったが、順位をつけてくれた22県の中で(2)の除草がトップだったのは、宮城県、茨城県、群馬県、神奈川県、山梨県、静岡県、長野県、富山県、福井県、三重県、兵庫県、鳥取県、島根県、徳島県、愛媛県、大分県、宮崎県、鹿児島県の18県だった。
農薬散布が優先順位のトップの県は広島県、香川県、高知県、佐賀県であった。
田んぼの畔や周辺空地の除草をしてカメムシが田んぼに入らないようにすることをまず実施するという県が40%あったが、(4)の順位が低いのは残念である。
■農水省:情報交換会についての回答など
都道府県へのアンケートと別に、当グループは農水省等への農薬危害防止運動要望の中で、この問題で以下の要望をしたが、相変わらずまともな回答はなかった。
【質問・要望】コメの農産物検査法について、農水省では、1月から3月にかけて、「玄米の農産物規格に関する情報交換会」を開催されましたが、その概要が公表されたものの、出席メンバーも議事録も公表されていません。早急に公表してください。
また、今後、農産物規格検討会以外の農産物規格改訂のための公開の検討会を開催し、そこでは、もっと消費者の意見を聞いて、斑点米カメムシ防除の農薬がヒトや環境に被害を与えていることに重きをおいた制度改革を実行してください。
***[農水省穀物課からの回答]
今回の情報交換会については、米の生産、流通に関わる関係者の皆様方から立場を超
えて忌憚なく農産物検査の現状を聞くために開催したものであり、出席者の自由な発言を確保する観点から非公開とし、出席メンバー、議事録も公表しないという同意を、情報交換会出席者全員から得た上で開催したところです。このため、今後、出席者や議事録を公表する予定はありません。
農産物検査法において、農産物検査規格の設定、見直しに当っては、国が、学識経験者及び生産者、流通業者、消費者等関係者の意見を聴くこととされており、このために農産物検査規格検討会を開催しているところです。この規格検討会の他に、更に別の公開の検討会を開催し、二重に意見を聴くことは適当でないと考えています。
なお、規格検討会において、様々な関係者の意見を踏まえて議論いただくことは重要であると考えており、規格検討会の前に、検討会の委員以外の様々な関係者との意見交換を実施することとしています。
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作成:2015-10-02