ネオニコチノイド系農薬・斑点米関係にもどる

t28906#秋田の生産者が斑点米格差是正の要望〜ネオニコ農薬使用も批判#15-09
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【参考サイト】農水省:「玄米の農産物検査規格に係る情報交換会」の議論の概要について議論概要
       農産物検査法及び関係通知等の頁にある
            農産物検査に係る基本要領農産物検査規格の設定等手続マニュアル

 斑点米(着色粒)規程に対する批判が高まっている中で、秋田県の米の有機栽培農家で作る「安全な食糧生産をめざす会」は、8月27日に@ネオニコチノイド系農薬の使用量減少と、A農家が米を売るとき支払われる概算金で一等米と二等米の差を減少することを目的とした要望書をJA全農あきたと、JA秋田ふるさとに提出しました。
 生産者がこのような要望をJAに出すのは極めて珍しく、斑点米規程の理不尽さが改めて問題になりました。

★斑点米とミツバチ大量死のおさらい
 斑点米は、斑点米カメムシ類と呼ばれるカメムシが未熟な稲の穂を吸い、お米に黒い斑点ができたものです。安全性にも収量にも何ら問題はなく、ただ見栄えが悪いというだけで、不当に安く買い叩かれます。
 実は、この実害はなく見栄えのためだけの斑点米カメムシ防除の農薬散布が田んぼの殺虫剤の中で一番多いのです。(「知っていますか? 斑点米、農薬、ミツバチ大量死」米の検査規格の見直しを求める会発行一冊100円)に詳しい)
 斑点米が1000粒に2粒以上あれば一等米が二等米に格下げされ、差額が玄米60キロで600円程度に下げられます。(地域によって金額は変わる)国は斑点米カメムシ類を指定有害動植物に指定し、都道府県の病害虫防除所を通じて、注意報や警報を出し、農薬散布を推進しています。
 使用される農薬は、ネオニコチノイド系が多く、ミツバチ大量死の原因の可能性大と農水省が報告しています。(記事t28701t28805記事など)
 しかし、農水省は農薬散布者と養蜂家が連絡を密にする、ミツバチが活動する時間は農薬散布を控える、液剤でなく粒剤を使うようになどの対策を示すだけで、農薬散布を規制しようとしていません。

★秋田の生産者の要望
【参考サイト】朝日新聞8月29日:秋田)県内農家、等級間価格差の縮小訴える  昨年、米の値段が大幅に下がり、問題になりました。玄米60キロで1万円台だったのが、8000円台に下がったのです。にもかかわらず、一等米と二等米の差額は変更なしとなると、生産者の損出ばかりが増えることになります。差額の値段を決めるのは地域のJAです。
 このような理不尽な制度は改めるべきというのは生産者の当然の要望です。斑点米を減らすために散布するネオニコ系の農薬は田んぼの生き物すべてに悪影響を与えます。日常的に田んぼを見ている生産者にとっては、見逃すことのできない事実です。
 以下に「安全な食料生産をめざす会」の要望を紹介します。
米概算金等級格差縮小の要望
JA全農秋田代表理事殿
JA秋田ふるさと代表理事組合長殿

 JA組合員は今年の米の概算金がどのような金額になるのか、注視している。昨年の
概算金が大幅に低下し、8,500円となったからである。また、自分が収穫した米の等
級がどうなるかも気になるところだ。近年は冷害でもなければ等級に大きな影響を与
えるのが着色粒の混入、いわゆる「カメムシ食害斑点米」である。全て1等米になれ
ば問題ないが、2等米になれば7,900円となり、農家にとってはさらに大きな収入減と
なる。したがって農家は斑点米を極力出さないために「カメムシ防除」を必要以上に
行う傾向にある。
 問題は、カメムシだけでなく水田や周辺に生息する生き物に影響を与えていること
だ。トンボやイナゴなどの昆虫が激減している。稲田の上を飛ぶトンボの姿は農村の
原風景ともいえるものだ。また、イナゴのつくだ煮は農村の食文化の一部であったが、
それらの昆虫を見ることさえ困難な状況だ。
 昆虫の減少は、それを捕食するカエルや鳥類にも影響を与えていると思われる。昨
今の「カメムシ防除」には、ミツバチの大量死の原因と疑われるネオニコチノイド系
殺虫剤が広く使われており、玄米中への残留も心配される。
 農家としては1等米と2等米の格差が相変わらず600円に固定されているため、概算
金低下に伴い等級格差が相対的に大きくなり「2等米は絶対出せない」という心理が
働いている。選別機の性能が向上している時代を冷静に考えれば、1等米(千粒の玄
米に1粒までの斑点米)と2等米(同3粒までの斑点米)の精米コストなどに600円も
の差があるとは信じ難い。農家経営を安定させるためにも、農村環境を守るためにも
等級格差の縮小を強く要望する。
★斑点米と農薬の国会質問
 9月1日の衆議院環境委員会で篠原孝議員(民主党)が斑点米と農薬に関する質問 をしました。
 篠原議員は、最初にEUやアメリカでネオニコに関する規制が進んでいるのに、なぜ、日本では規制しないのかと糺しました。阿部農水副大臣は、ネオニコは他の殺虫剤に比べて人や他の昆虫への影響が少ない、ミツバチへの影響は稲の開花期に直接農薬を浴びて被害を出すので、そうならないよう指導していると答弁しました。
 篠原議員は、今、日本では色彩選別機という機械がカントリーエレベーターや様々なところで使われ、斑点米などをはじいている。費用も大してかからない。斑点米を選別できるのだから、農薬散布の必要はないのではないか、一等米二等米の規格は意味がない。斑点米は米の規格基準からはずすべきだと主張しました。
 これに対して阿部副大臣は、今年の1月から3月まで検査規格についての意見交換会をやった。これからも各方面の意見を聞いてゆきたいと答弁しました。
 この意見交換会は記事t28307で指摘していますが、参加者すら明らかでなく、ごくごく簡単な概要がHPに乗っているだけです。実需者(米流通業者等)からは「現状通りにしてほしい」という意見が圧倒的で、消費者の意見としては「卓上に届くまで、検査規格によって適正に管理されていることを知った」というものでした。
 こんな意見が消費者の意見だとされたらたまりません。このような秘密会で何か決まったら大変です。

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作成:2015-11-27    ★秋田の生産者の要望     「安全な食料生産をめざす会」の米概算金等級格差縮小の要望