ダイオキシンにもどる
t29107#まだつづくＰＯＰｓ問題〜埋設農薬、ＰＣＰ、2,4,5−Ｔ、ＰＣＢなど#15-11
★農水省：埋設ＰＯＰｓ農薬のその後
【関連記事】記事t18104(滋賀県野洲市三共跡地など)。記事t28306
【参考サイト】野洲市：2009/07/24資料、15/08/21、15/08/25、15/09/28、広報やす 2015/11のｐ8
農水省：埋設農薬の管理状況更新(9/30)と管理・処理状況(平成27年9月現在)
農水省は、1971年に、使用を禁止し、土中埋設したＰＯＰｓ系農薬（有害な超難分解有機物質で、ＢＨＣ、ＤＤＴ，ドリン剤）の管理・処理状況について、毎年、都道府県別の数量を公表しています。全国24道県、168カ所に約4,400トンあった埋設農薬の多くは無害化処理されてきましたが、2014年調査時には、処理されていないものが約326トンありました(本誌283号参照)。そのうち、この１年で処理されたのは、新潟県の約9トンで、2015年9月現在残りは約317トンとなりました。
★拡大するＰＯＰｓ条約の対象物質
【参考サイト】環境省：ＰＯＰｓの頁
POPs条約の付属書改正の第二次答申について(10/23)、第一次答申、第二次答申)
パブコメ：「化審法の一部を改正する政令（案）」に対する意見の募集について(1/14締切)
ポリ塩化ナフタレンとペンタクロロフェノール類の第一種特定化学物質指定。概要
ＰＯＰｓ条約＝ストックホルム条約は、ＵＮＥＰ(国連環境計画)の下、世界約130国が参加して、スエーデンのストックホルムで開催され、ＮＧＯを含む政府間交渉の結果、2001年に採択されました。加盟国には@製造・使用原則禁止：ディルドリンなど3種のドリン剤、クロルデン、ＨＣＢ、ＰＣＢなどの9物質、A製造・使用の規制：ＤＤＴ(マラリア対策使用可）、B非意図的生成物：塩素化ダイオキシン・ジベンゾフラン、ＨＣＢ，ＰＣＢの排出削減、C上記を含む廃棄物などの適正処理が科せられることになり、日本では、2004年に条約が発効されました。
その後、2009年に、@の対象物質として、ＢＨＣ（α-体、β-体、γ-体）、また、2011年には、エンドスルファンが追加指定されました。
私たちは、2012年に提出した「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約に基づく国内実施計画（改定案）等に対する意見」の中で、農薬取締法の販売禁止農薬や化審法第1種特定化学物質であるジコホール（ケルセン）、2,4,5-Ｔ、ＰＣＰ(ペンタクロロフェノール)、ＣＮＰ、ＰＣＮＢ、ペンタクロロベンゼンをＰＯＰｓ条約に組み入れるよう求めました。現在、条約国の間では、ＰＣＰとその塩及びエステル類ほかを@に追加する方向で進んでおり、日本の中央環境審議会もその旨の答申をだしています。ＰＣＰで処理された木材類などは、まだ、使用されている恐れがあるので、今後、ダイオキシン類が発生しない適切な無害化処理をする必要があります。
★まだまだ、残るＰＯＰｓ問題
【参考サイト】厚労省：カネミ油症について〜正しく知る。温かく支える〜の頁と-過去のお知らせ-の頁
カネミ油症患者に関する施策の総合的な推進に関する法律(2012年9月5日法律第80号)
カネミ油症被害者支援センター：Top Pageとブログ
沖縄・生物多様性市民ネットワーク：Top Pageとブログ
有機塩素系農薬埋設と同時期に、林野庁の指示で、全国50個所で土中埋設されたダイオキシン類を含む2,4,5−Ｔ系除草剤の存在も忘れてはなりません。これらは無害化処理ではなく、目視による埋設個所の監視が続けられているだけです。
一方、沖縄では、嘉手納基地跡にあるサッカー場やキャンプ瑞慶覧でも埋設ドラム缶が発掘され、アメリカ軍がベトナム戦争で使用した枯れ葉剤の成分2,4,5−Ｔやダイオキシン類ほかのＰＯＰｓ系物質汚染が発覚していますが、日米政府は、米軍の加害責任を認めません。(記事t28306参照)
また、1968年、福岡、長崎県など西日本を中心に起こったＰＣＢ混入米ヌカ油によるカネミ油症事件では、2012年9月に施行された「被害者救済法」の見直しが、患者団体、国、カネミ倉庫の「３者協議」で継続されていますが、油症２世(厚労省2014年調査で1287人)の救済は緒についたばかりです。
環境省のパブコメ:「PCB廃棄物の期限内処理の早期達成に向けた追加的方策について（案）」に対する意見募集について(締切1/19)
購読希望の方は、〒番号/住所/氏名/電話番号/○月発行○号からと購読希望とかいて、
注文メールをください。
年間購読会費3000円は、最初のてんとう虫情報に同封された振替用紙でお支払いください。
作成：2015-12-28