農薬毒性・健康被害にもどる

t29302#農水省発表の2014年度農薬危被害〜人の中毒事故は29件40人#16-01
【関連記事】記事t28003(2013年の報告)
【参考サイト】農水省:H26年度 農薬の使用に伴う事故及び被害の発生状況について発生状況推移詳細情報

 農水省は14年度の農薬による中毒や危被害の発生状況を12月18日公表しました。

★農水省 中毒40人うち死亡は5人
 人の中毒・死亡事故は、前年1件増の29件、人数も6人増え40人でした。このうち、散布による事故は前年同様11件ありました。死亡事故は1件増えて、5件(いずれも誤用)でした。農作物の被害は前年より1件増の11件、魚類被害は3件減の2件でした(別途ミツバチ被害79件)
 
表1 2014年度の農薬中毒・危被害件数(農水省公表)

区分     14年   前年件数   被害対象  14年 前年件数  被害対象 14年 前年件数
             件数(人数)  増減        件数 増減              件数 増減
死亡 散布中    0( 0)      0       農作物      11    +1      自動車    0   0
     誤用      5( 5)     +1       家畜         0   0      建築物     0   -1
     小計      5( 5)      +1       カイコ       0     0      その他    1   -1
中毒 散布中   11(22)        0       魚類         2    -3      小計      1  -2
     誤用     13(13)      0       小計        13  -2
     小計     24(35)        0      * ミツバチ被害は13年69件、14年79件(記事t28701参照)
計            29(40)       +1
★29例中、誤飲事故が約半数
 表2(−省略−)には、中毒事例の詳細を挙げました。死亡事故は、誤飲3と服用2ですが、原因農薬は不明です。農薬の他の容器への移し替えや農薬の飲料や薬等の誤認による中毒事故はあとを絶たず、14件(内死亡3件)ありました。
原因となった農薬成分がわかっているのは、クロルピクリンだけで5件ありました。表では、いずれも、農薬使用後の作業管理不良と記載されており、被覆しなかったり、被覆が不完全なため、揮散して周辺住民が被害をうけたのは4事例で、一度に8人とか4人の被害がでたケースもありました。
 農薬飛散による中毒は1件で、周辺住民が被害を受けていました。無人ヘリコプターによる空中散布被害の報告はありませんでした。農薬散布者が「マスク、メガネ、服装等装備不十分」原因で中毒となった事例は5件ありました。

★その他の被害
 農作物被害は11件(うち7件が水稲の枯れ)でした。原因は、除草剤が多く7件(うちドリフトが3件)、ハクサイ・ブドウが枯死した1事例はクロルピクリンの揮散でした。魚類斃死は2件で、河川へ流入した農薬は不明です。その他の1件は、飼い犬の死亡ですが、本来、害虫駆除の目的で使用する農薬(殺虫剤)を、作物を害する野生生物を駆除する目的で、食品に塗布して畑に置いていたところ、当該食品を狩猟中の猟犬が食べたのが原因とされています。野鳥などの死亡事件も発生しているのに、農水省への報告はないのか、統計にはあがっていません。

  表2 2014年度の人の農薬事故 (農水省詳細報告資料より作成) −省略−


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作成:2016-01-28