ダイオキシンにもどる
t29506#PCP(ペンタクロロフェノール)ついに化審法の第一種特定化学物質に#16-03
【関連記事】、記事t29107
電子版「脱農薬てんとう資料集」No.8<ダイオキシン含有農薬とPOPs系農薬>
【参考サイト】環境省:化審法の頁
化審法施行令の一部を改正する政令(案)パブコメ募集、改定概要(PCP、ポリ塩化ナフタレン)
反農薬東京グループのパブコメ意見と環境省ほかからのパブコメ結果
在日米軍に係る環境問題の頁にあるJEGS(英語版)
農薬やシロアリ防除剤・木材防腐剤、工業用殺菌剤などとして、1950年代から多用されてきた、ダイオキシン類を含有するPCP=ペンタクロロフェノール及びその塩などが、4月1日から第一種特定化学物質に指定され、製造・販売・使用が禁止されました(PCPを含む製品の輸入禁止については10月1日から施行)。
指定に先立って。環境省・厚労省・経済産業省が実施したパブコメ意見募集で、私たち述べた意見と、行政の回答の概要を以下に示します。
【意見1】第一種特定化学物質として、PCPを追加指定することに賛成である。
[理由]
1、化審法の対象外で、農薬取締法の対象である農薬として、PCPは製造・販売・使用
されていた。PCPは1954年に最初の製剤が登録され、全登録数は357、1990年にすべて
登録失効している。その間、水稲用除草剤として多用され、多くの魚毒事件を惹き起こ
した。
さらに、原体や製剤メーカーの労働者や工場周辺住民(たとえば、福岡県久留米市の
三西化学など)に健康被害を与えた。
農薬や水虫用医薬品以外に、木材や皮革用の殺虫・殺菌・防黴剤、また、シロアリ防
除剤としても使用されてきたが、化審法の規制はなかった。
PCPは、製造原料にHCB(1979年化審法特定化学物質指定)が使用されることもあ
り、また、PCP製剤や処理製品は、ストックホルム条約にある非意図的物質である
HCB、PCB、ダイオキシン類を不純物として含んでいたり、焼却処理により新たな
生成につながることもあるため、農水省は、2002年4月、PCPの回収を指示し、2003
年3月、農薬取締法による販売禁止農薬に指定している。
2、私たちは、いままでにも、POPs系農薬(DDT、BHC、ドリン系3剤)と
ダイオキシン含有農薬(2,4,5−T、PCP、CNP、PCNB)について、
原体・製剤製造工場や使用工場及びその廃棄物処分場をも問題にせねばらないと指摘し
てきたが、今回のPCP追加指定は、遅すぎる。
【意見2】輸入できない製品として、 一 木材用の防腐剤、防虫剤及びかび防止剤
二 防腐木材、防虫木材及びかび防止木材
三 防腐合板、防虫合板及びかび防止合板
四 にかわ があげられているが、
「木材用」を「木材など建材用、繊維用、皮革用、シロアリ防除用」とする。
あらたに、防腐・防虫・防かび建材と、防腐・防虫・防かび繊維製品、防腐・防虫・防かび
皮革製品を追加する。
[理由]
1、PCPは工業用防黴・殺菌剤として、木材だけでなく、他の建材や繊維製品、皮革製
品にも使用されていることは、化学物質評価研究機構の作成した平成 26 年度化学物質
安全対策(ペンタクロロフェノール等が使用されている製品等に関する海外調査)報告
書(平成 27 年 3 月)にも記載されている。
2、日本でも、PCP含有シロアリ防除剤や、PCP処理皮革製品で、人の健康被害がで
ている。
3、陸上自衛隊皮革共通仕様書には、 図嚢用革(地図などを入れる革製のかばん)に、0.3
%のPCPを使用するとある。
[回答]
原案通りと致します。輸入禁止製品は、国内外における当該物質の使用の事情や、我が国
の輸入実績等を調査し、今後とも輸入される蓋然性があるかどうかなどを考慮して指定す
ることとしておりますが、御指摘の製品については、これに該当しなかったことから、今
般の化審法施行令の改正においては、輸入禁止製品に指定しておりません。−後略−
【意見3】使用禁止となったPCP製品については、在庫品や廃棄物からの、また、PCP処
理製品については、その回収・処理に際して、HCBやPCB,ダイオキシン類等を含め
た環境汚染の拡大防止に努めるよう、保管・輸送・処理に万全を期することを求める。
[理由]
1、私たちは、下記の参考資料(―省略―)に挙げたように、すでに、2007年、2010年、
2012年にパブコメ意見等で、ストックホルム条約に関連する化学物質について、その
対策を求めてきた。
2、2003-04年度の調査で、富山県の富岩運河のダイオキシン汚染原因は、PCPを製造
していたメーカーが汚染原因者と考えられている。
3、農薬PCPは、2002年に回収命令がだされたが、2008年〜09年に、西東京市にある
東京大学の農場で、製剤の保管が判明し、処理された。
[回答]
今回化審法の第一種特定化学物質に指定するペンタクロロフェノール又はその塩若しく
はエステルによる環境汚染を防止するため、今後、POPsを含む廃棄物の適正処理や継続
的な環境モニタリング等についても、所要の検討を行ってまいります。−後略−
【意見4】アメリカ軍基地での使用、廃棄なども化審法を国内と同様に適用する。
[理由]
1、沖縄防疫局の調査では、現在でも、アメリカ軍基地やその跡地で、PCPや同剤由
来とみられるダイオキシン類の汚染が見つかっている。
2、ストックホルム条約は、国際条約であり、署名はしたものの批准はしていない
アメリカには、その海外基地でも、日本国内と同様の対応を義務付けられるべきである。
[回答]
一般国際法上、駐留を認められた外国軍隊には接受国の法令が適用されないことから、
在日米軍の活動に対して化審法等の国内環境法令は適用されません。
他方で、在日米軍では日米の関連法令のうち、より厳しいものを選択するとの基本的考
え方の下で、「日本環境管理基準(JEGS)」を作成しており、米軍基地においてはこれ
に基づく環境管理が行われているものと承知しております。−後略−
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作成:2016-05-27