環境汚染にもどる
t29509#埼玉県桶川市の江川で魚大量死〜販売禁止農薬エンドスルファン検出、県調査で流出元判明#16-03
【関連記事】近年のエンドスルファン魚毒事件:高知県(2007年)、奈良県(2009年)、鳥取県(2011年)
販売禁止と回収:記事t22206、記事t24804
【参考サイト】農水省:販売禁止農薬の回収について(2011/12/13)
反農薬東京グループ:埼玉県への問い合わせ(2/05)
★発端:200匹の魚が浮いた
【参考サイト】埼玉県:2/02ニュースリース
埼玉県は2月2日の報道発表で、1日に桶川市川田谷地内の江川で魚が浮いていると住民から通報があり、約200匹の死魚が確認され、同日に採取した河川水の水質検査の結果、農薬エンドスルファンが検出されたことを明らかにしました。
エンドスルファン(ベンゾエピン、商品名チオダン、マリックスなど)は、魚毒性が強く、水質汚濁性農薬にも指定され、毒劇法では毒物指定のある有機塩素系農薬です。2012年4月1日付で販売禁止農薬に指定されましたが、当該成分の製剤は2010年9月29日に登録失効、メーカーによる自主回収は同年11月から、農水省による回収指導は11年12月から行われていました。
以下に、その経緯を報告します。
★エンドスルファンの源を追う
江川は、桶川市から上尾市を経て、荒川に合流する河川で、隣接の北本市の農業排水の流入もあります。死魚は上日出谷や下日出谷で、2月5日まで見られました。
2月1日、下日出谷で採取された河川水について、県環境科学国際センターが85農薬、別の4地点については、県水質管理センターが173農薬の分析を実施した結果、いくつかの農薬が検出され、その中で、エンドスルファンが小型魚の半数致死濃度を上回りました。県中央環境管理事務所により、同成分に絞って、江川への流入経路特定のため、流域32地点で2月17日まで詳細調査が実施されました。その結果は、表のようで、北本市石戸地区の農業者の敷地から江川につながる水路にエンドスルファンを含む排水の流出が確認されました。
表 エンドスルファン検出濃度の推移(埼玉県:2/18ニュースリリース)
★まだ残るなぞ
石戸地区で、水路への排水溝周辺の土壌除去処理が行われ、江川への流出は収まり、2月16日以後は、表のように、エンドスルファンは検出されなくなりました。しかし、土壌汚染された理由について、県は、『当該者の聞き取り調査では、原因が特定できなかった』としています。登録失効、販売禁止=使用禁止となってから、約4年を経ている現在、使用された形跡がないならば、誰かが最近投棄したか、以前に土中埋設したものが、容器等の破壊で、中身が流出したのでしょうか。このようなことは、きちんと調査すればわかると思うのですが。
いずれにせよ、エンドスルファン製剤の回収に抜けがあったことは否めません。再発防止のためには、不要農薬の保管や廃棄場所についての徹底した調査が必要です。
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作成:2016-04-29