ネオニコチノイド系農薬・斑点米関係にもどる

t29707#なぜ、スルホキサフロルのミツバチへの影響試験結果を秘密にするのか#16-05
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 アメリカで、ミツバチへの毒性試験が不十分だとして登録が撤回されたネオニコチノイド系殺虫剤スルホキサフロルについては、日本では、登録申請中で、現在、その手続きが中断したままです(記事t29501参照)。
 すでに実施されたパブリックコメント募集で、ADIやARfDを策定するための毒性試験や残留性試験、水産動植物への影響試験などは、公表されていますが、ミツバチなどの試験結果は明らかになっていません。

★農水省やメーカーは教えない
【農水省・環境省へ】スルホキサフロルの拙速な農薬登録をやめてください
【ダウ・アグロサイエンス日本へ】スルホキサフロルについてのお尋ねと要望

 そこで、農水省と申請者のダウ・アグロサイエンス日本に尋ねました。
【農水省への質問】日本での農薬登録に際して、登録申請者から提出された次の内容の概要を教えてください。(1)ミツバチ影響試験、(2)天敵昆虫等影響試験
 ―中略―水稲については カメムシ類ほかへの適用が登録申請されていますが、同剤がミツバチや花粉媒介昆虫や天敵類に与える影響について、どのように評価され、どのような対策が必要だとお考えかをお示しください。
[回答]ミツバチ影響試験及び天敵昆虫等影響試験については、「農薬の登録申請に係る試験成績について」に沿った試験成績が提出されております。―中略― スルホキサフロルについては、現在、関係府省における審議中であり、申請された使用方法での登録が可能かどうか検査中です。ミツバチ等への影響に関する評価や必要な対策についても、提出された資料を基に検査中であるため、現時点ではお答えできません。なお、使用方法やスルホキサフロルのミツバチ等への影響から、必要な場合には、使用上の注意事項を付す等の対応を行うこととなります。また、登録後には、準備が整い次第、審査報告書として審査結果を公表します。

【ダウ・アグロサイエンス日本への質問】貴社が、スルホキサフロルの日本での登録申請に際して、提出されたミツバチ及び花粉媒介昆虫、天敵等への影響試験内容を、教えてください。
[回答]ダウ・ケミカル日本株式会社は、花粉媒介昆虫に関する日本のガイドライン要求に従って試験成績を提出しております。申請中の登録内容に関するコメントは差し控えさせていただきます。

★情報公開法請求でやっと概要開示
 いずれも、登録申請中の試験成績は開示できないとの返事です。ところが、グリーンピース・ジャパンが、農水省に対して、情報公開法に基づき、スルホキサフロルの農薬抄録の開示請求をしたところ、黒塗り部分はありますが、ミツバチなど有用生物に対する影響についても、9件の試験の概要を開示してきました。その中には、西洋ミツバチ3件、マメコバチ2件、西洋オオマルハナバチ1件があり、ミツバチの1件を除き、日本での試験結果でした。
 ミツバチ試験は、@10%含有のフロアブル製剤の1000倍希釈液の虫体直接散布で、24時間以内の死亡率100%、A同製剤をハウス内のイチゴに散布後、訪花活動:散布5日目まで影響あり、死亡蜂数・群態に影響なし。B原体を蔗糖液に混ぜた試験液の給餌で、半数致死量LD50:0.156μg/頭となっていました。クロチアニジン農薬抄録にある経口LD50:0.00379μg/頭より弱いですが、これだけの試験成績で、農水省は、斑点米カメムシ用の新たな農薬の登録を是とするのでしょうか。審査報告書が公表されるまで、何も知ることができません。
 それにしても、ミツバチ試験の概要すら、登録前に公表しないメーカーや農水省の態度には、抗議の声を挙げねばなりません。
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作成:2016-06-30