環境汚染にもどる
t30103#農薬の水系汚染 (3)除草剤や殺虫剤、殺菌剤〜神奈川県河川水と横浜市水道水#16-09
【関連記事】記事t29903、記事t30003、記事t30204、記事t30302
★検出率が20%を超えた農薬は22種
【参考サイト】日本環境化学会:Top Page、第25回環境化学討論会とプログラム
・水道水源などにおける新たな農薬類に関する検討
○川嵜 悦子1, 久保 明日香1, 井上 莉紗1, 中田 俊芳1, 太田 晃一2,
鎌田 素之2, 須戸 幹3 (1日吉,2関東学院大・理工,3滋賀県立大・環境)
分析会社日吉の川嵜さんや関東学院大学の鎌田さんらは、いままでも、記事t26401や記事t27607で紹介したように、環境化学討論会で研究発表しており、水道水源の農薬類56種の分析方法の検討を行ってきましたが、本年の同討論会での報告では、更に12種を加えて、水系汚染の調査を行い、水道水総農薬方式*へ提言をしています。
*水道水の水質基準には、農薬はなく、総農薬方式による監視項目で対象農薬がきめられており、その指標値=農薬の検出値/当該農薬の目標値の総和が1を超えないとなっている。
【採取個所】表(−省略−)に示した神奈川県内の5河川6地点の河川水と相模川を水源とする横浜市内の水道蛇口水が検体として採取されました。
【採水時期】採取されたのは、2015年4月から9月で、河川水は地点ごとに13から21検体、水道蛇口水は40検体でした。
このうち、6地点中1地点でも検出率が20%を超えた22農薬とその最大検出値を表に示しました。
汚染度の高い農薬として、6地点すべてで検出され,検出率が 50%以上のケースが1 地点以上あった成分の表中該当項を太字で示しました。除草剤5種(デトシルピラゾレート、テフリルトリオン,ピリミスルファン、ピリミノバックメチル、ペノキススラム),殺菌剤1種(オリサストロビン),殺虫剤1種(クロラントラニリプロール)でした。全検体数106で、一番多く検出されたデトシルピラゾレートは水稲除草剤ピラゾレートの代謝物で、検出率は82%(最大値は鈴川の0.1005μg/L)でした。
河川水の最高検出値が高かったのは、鈴川のピリミノバックメチル0.511、ベンフレセート0.208、キノクラミン0.193各μg/L、鶴見川のピリミノバックメチル0.156、ブロマシル0.19各μg/L、金目川のジノテフラン0.198μg/L、ほかにテフリルトリオンが渋田川0.18、相模川0.166、鈴川0.164各μg/Lなどで、水田除草剤の検出が目立ちました。
横浜市民が飲む水道蛇口水に含まれるのは、成分名を表中太字で示した9農薬で、ネオニコチノイド系殺虫剤2種(イミダクロプリド、クロチアニジン)、殺菌剤3種(オリサストロビン、チフルザミド、フラメトピル)、除草剤4種(ピラクロニル、ピリミノバックメチル、フェントラザミド、ベンフレセート)でした。検出率は2〜39%で、著者らは、総農薬方式の検出指標値は、基準の1と比べ、水源の相模川のあゆみ橋0.097、神川橋0.036、蛇口水0.012で十分低かったと、評価しています。
表 神奈川県内河川水と横浜市水道水中の農薬汚染調査 −省略−
★水道対象農薬見直しのパブコメ実施中
【参考サイト】厚労省:水道水中における農薬類の目標値等見直しについて 見直し案
10月7日締切。施行規則新旧対照表、留意事項新旧対照表
反農薬東京グループのパブコメ意見と厚労省の回答
水稲除草剤テフリルトリオンは厚労省の生活環境水道部会でも各地に検出されることが問題になり、来年4月から総農薬方式の対象とすべく、厚労省は、10月7日締切でパブコメを実施中です。これに加え、著者らは、水稲除草剤ピリミノバックメチルも対象にする必要があるとしています。
購読希望の方は、〒番号/住所/氏名/電話番号/○月発行○号からと購読希望とかいて、
注文メールをください。
年間購読会費3000円は、最初のてんとう虫情報に同封された振替用紙でお支払いください。
作成:2016-11-30