農薬の毒性・健康被害にもどる
t30104#クロルピクリンの住宅地周辺での使用禁止を要望〜使用量の多い5県の回答から (最終回)青森県は調査を拒否#16-09
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【参考サイト】農水省:農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令
住宅地等における農薬使用について
神奈川県:県農薬安全使用指導指針
反農薬東京グループ:2016年度の農薬危害防止運動への要望・質問にある
(2-1)クロルピクリンによる危被害について
土壌くん蒸剤クロルピクリンについての上位5県への質問・要望
土壌くん蒸剤クロルピクリン(以下クロピク)に関して、使用量が多い5県とのやりとりを298号から300号まで掲載してきました。連載が終わるにあたり、周辺住民の健康被害がはっきりしている青森県に再要望しました。
8月17日の青森県への要望:クロルピクリン使用についての要望と回答
回答はほとんどが拒否というもので、本当に何もしない気なのかと驚きました。 以下、要望と回答をまとめて報告します。
<要望1>クロルピクリンに関する基本的データを整理してください。
貴県は、クロルピクリンが何にどれくらい使用されているかすら知らないとのことで
す。先に、私たちが質問した使用実態をきちんと調査して、教えてください。
<回答1>当県では、全県的な調査を行う予定はありません。
<コメント>実態すら把握しないで、どういう方針が立てられるのか驚きです。実態把握
は県の仕事じゃないのですか。
<要望2>五戸町で2013年に被害を訴えた男性以外にも、クロルピクリンによる健康
被害を訴えている人が複数いることは、貴県の調査でも明らかになっています。
青森県全体の正確な被害者数を明らかにするために、早急にクロルピクリン使用圃場
周辺住民の健康への影響に関する全戸アンケート調査を行ってください。
また、クロルピクリンの使用者の健康調査も実施してください。すでに、公表されて
いる論文を二つ参考として挙げておきますので、設問内容などご検討下さい。
【参考文献】略
<回答2>周辺住民の健康への影響に関する全戸アンケート調査及び使用者の健康調査を
実施する予定はありません。当県では、県の出先機関である各地域農林水産部に農薬相
談室を設置しているほか、保健所での健康相談等により県民からの相談に対応すること
としています。
<コメント>クロピク使用者とその周辺住民のアンケートによる健康被害調査は、既に研
究者によって実施されています。同じ項目で実施できればと、わざわざ参考文献をあげ
ましたが、全く無視です。従来の体制で十分としていますが、被害者が訴えなければ被
害はないとする姿勢です。
<要望3>2013年6月25日から28日まで、五戸町農林課と三八地域県民局地域農
林水産部農業普及振興室が実施した「クロルピクリン剤の適正使用に関するアンケート
調査結果」によれば、耕作者18戸の中で、作業中に気分が悪くなった(1件)、被覆し
なかった(2件)、悪臭等について苦情を言われた(3件)など重大な事実が示されてい
ます。これについて貴県、局、町はどのように対処されましたか。
<回答3>耕作者に対しては、個別に防護マスクを着用することや、適正な被覆をするこ
と、住宅が風下になる場合は作業を控えること等を指導しました。また、地区全体の耕
作者を対象に「住宅地等における農薬使用について」の講習会を開催し、農薬の適正使
用を指導しました。
<コメント>指導がきちんと守られているか事後調査が大事です。言いっぱなしで終わら
ないよう指導を続けてください。住宅地通知の講習会を開催したというのは、遅まきな
がらいいことだと思います。
<要望4>同じアンケート調査結果の中で、住宅、事業所、畜舎などが、土壌消毒した
「農地のすぐ隣にある」との回答が10件、「道路や空き地を挟んである」が6件とあ
りました。
クロルピクリン散布耕作者の半数以上が、農水省消費・安全局長通知「クロルピクリ
ン剤等の土壌くん蒸剤の適正使用について」(平成18年11月30日付け18消第8846号)に
則っていませんが、その後、貴県は、どのように改善されましたか。
<回答4>当県では、平成18年度及び平成25年度の国の通知に沿って適正に使用する
よう指導しています。また、平成26年度にクロルピクリン剤適正使用推進会議を設置
し、関係機関と連携し、クロルピクリン剤の適正使用の啓発に取り組んでいます。
<要望5>さらに、「土壌消毒を行う前や被覆をはぐときに、あらかじめ、声をかけるな
どして、刺激の強い農薬を使うことを周知している」(2件)、「被覆に使うシートは厚
めのもの(0.03mm以上)を選んでいる」(0件)とのことでした。
周知も少なく、0.03mm以上のシートを誰も使ってないということです。県の指導は、
無視されているわけですが、これにはどのような改善策をとられましたか。
<回答5>耕作者に対して、個別に周辺住民への周知をすることや、厚さ0.03mm以上の資
材で被覆をすること等を指導しました。また、地区全体の耕作者を対象に「住宅地等に
おける農薬使用について」の講習会を開催し、農薬の適正使用を指導しました。
<要望6>作付け前の圃場をクロルピクリンで処理した場合、地中残留物が作物に薬害を
与えないためには、クロルピクリンが大気中に気化する、水に溶けて流出する、土壌中
の微生物等で分解することが不可欠です。また、繰り返しクロルピクリン処理すると、
微生物による分解率が減少することも知られています。圃場をいくら被覆しても、大気、
土壌、水系などの環境汚染は避けられません。
圃場ならびに周辺の環境調査(大気、土壌、水系、経時変化など)を厳密にやってく
ださい。特に土壌の分析では、クロルピクリン残留量のほか、塩素系物質の分布、土壌pH、
土壌微生物の種類等もあわせて調査してください。また、燻蒸処理時気温や圃場の土質
によってクロルピクリンの消失速度は影響を受けますので、一時期或いは一か所だけで
は不十分です。できるだけそれぞれの作物の作付時期毎に多くの地点での測定をしてく
ださい。従来の分析は試験圃場での調査で、実態にあっていません。
厳密な圃場調査結果により、住宅地等からどのくらい離せば危険が避けられるか導き
出してください。
<回答6>調査を行う予定はありません。当県では、国が登録した農薬について、国の通
知に基づき、その適正な使用方法について農薬使用者を指導しているところです。
<要望7>クロルピクリンで処理した圃場で生育した作物では、たとえば、タバコのよう
にクロルピクリン由来の無機塩素が増加することもあります。
貴県で栽培されるナガイモ、ゴボウなどについて、クロルピクリン施用圃場で栽培さ
れた作物の残留農薬検査や食品成分調査をしてください。その際、クロルピクリンやそ
の分解物である塩素や窒素が作物の成分にどのように反映しているかも調べ、非使用圃
場の作物と比較してください。
既に分析済みであるならばそのデータをお知らせください。
<回答7>調査を行う予定はありません。当県では、国が登録した農薬について、国の通
知に基づき、その適正な使用方法について農薬使用者を指導しているところです。
<要望8>土壌くん蒸剤を使用しないナガイモ等の栽培方法を早急に普及してください。
<回答8>輪作や緑肥作物の作付けにより、土壌くん蒸剤を使用しない栽培方法について、
関係機関・団体等と連携しながら検討していきます。
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作成:2016-11-30