農薬の毒性・健康被害にもどる
t30206#農薬による魚毒事件と野鳥大量死#16-10
★シアノホスでカラス大量死(福島県)
【関連記事】記事t26805、記事t29508
反農薬東京グループ;福島県への問合せ
福島県鏡石町では、8月16日、カラス48羽の大量死が見つかりました。同地では昨年12月にもカラス86羽が死んでいます(本誌295号参照)。県や国立環境研究所の鳥インフルエンザ検査で陰性でしたが、カラス3羽の胃の内容物を福島県衛生研究所で分析したところ、有機リン剤シアノホスが54ppm、1200ppm、62ppm検出されました。
昨年の事例では、やはりシアノホスが51〜750ppm検出され、毒餌である油揚げから51,000ppm見つかりましたが、農薬を仕込んだ犯人はみつからないままです。今回は、現場付近に毒餌はなかったとのことです。なお、私たちは、今年の農薬危害防止運動に先立ち、哺乳類では毒劇指定のないシアノホスは特に鳥類での毒性が強いため、毒劇法を適用するよう求めましたが、受け容れられませんでした。毒劇法が適用できないことが、警察の捜査を遅らせる一因になっているのでしょうか。
同県では、3月1日、白河市の農道で、小型の渡り鳥アトリの大量死が見つかり、86羽の死骸が回収されました。鳥インフル検査は陰性で、5羽の解剖所見では、頭部や内臓に損傷がみられ、何らかの原因で、パニックとなったアトリが衝突死した可能性があるとされました。
また、8月7日は、いわき市の商業施設周辺で、でスズメ約250羽の大量死がみつかりましたが、やはり、鳥インフル検査は陰性で、頭部や頸部に損傷があり、台風による強風による衝撃が原因ではないかとみられています。
★TPNによる魚毒事件(新潟県)
【参考サイト】長岡市:9/15報道発表、水質調査結果
9月14日、新潟県長岡市喜多町地内の一級河川道満川で、魚の斃死情報が市民からあり、市が調査したところ、ウグイ、コイ等数百匹の大量死がみつかりました。
同日採取した河川水の水質検査の結果、農薬TPN(クロロタロニル、商品名ダコニールほか)が七日町で1.0-5.0mg/L、喜多町で0.1-0.5mg/L検出されました。
TPNは有機塩素系の殺菌剤で、農薬のほか工業製品用殺菌剤の用途があり、ダイオキシン類を不純物として含むことでも知られています。魚毒性は強くC類に相当するため、魚死亡の原因ではないかと考えられます。
その後、魚の斃死は認められず、9月21日の水質調査では、TPNは0.001mg/L未満で、環境省の水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準の要監視項目指針値0.05mg/L以下となったためか、問題なしとされました。市は、不法投棄の疑いがあるとして、警察に情報提供したそうです。
このほか、全国各地で報道されている下記のような魚大量死では、農薬が原因と特定されたものはありませんし、農薬検査が行われたどうかもわかりません。
7/26以後;長野県諏訪湖。ワカサギ、鯉ほか死魚1300s。ワカサギ生息調査は例年の3分の1の900万匹。
9/08;静岡市駿河区丸子川水路。鮎等死魚400匹
9/11:埼玉県戸田市笹目川。鯉など死魚500匹
9/16;神奈川県伊勢原市板戸川。鮎死魚100匹
10/07以後:松江市中海。斃死魚2万匹回収
11/09;京都府亀岡市桂川用への水路。小魚斃死
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作成:2016-11-30