環境汚染にもどる

t30302#農薬の水系汚染 (5)ゴルフ場使用農薬関連の指導指針改定〜パブコメ意見募集#16-11
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 ゴルフ場での使用農薬による環境汚染防止のため、環境省は、1990年に「ゴルフ場で使用される農薬による水質汚濁の防止に係る暫定指導指針」を定め、ゴルフ場からの排出水等の農薬調査を実施しています。調査対象農薬は当初45種でしたが、2013年の改定で、人畜被害防止を目的とした水質汚濁の登録保留基準がある農薬を加え、100を超える農薬が分析されることになりました。さらに、本年11月に、水産動植物被害の防止をめざす、指導指針が提案され、12月16日まで、パブコメ意見募集中です。ここでは、2015年度の調査結果と新指針案の概要を紹介します。

★検出された農薬は26種
【参考サイト】環境省:ゴルフ場暫定指導指針対象農薬に係る水質調査結果の頁
           ゴルフ場で使用される農薬に係る平成27年度水質調査結果について
             都道府県別の水質調査結果農薬別の水質調査結果(排水口)

 2015年の排出水調査は、全国のゴルフ場の約4分の1にあたる515か所で実施されました。対象農薬は125ですが、都道府県により、バラツキがあり、少ないのは、三重と沖縄の3、山梨4農薬など、多いのは、兵庫106、栃木108などで、1ゴルフ場あたり平均30農薬が分析されました。
排水口調査の結果、検出された農薬別の検体数と検出範囲などを表1に示しました。  農薬別延べ検体数4068のうち、約1.2%の47検体に農薬が検出されていますが、指針値を超えるものはありませんでした。なお、最大検出は、オキシン銅の0.019 mg/Lでした。
    表1 2015年度の排出水中に検出された農薬(単位:mg/L)
   農薬名           検体数 検出数 検出範囲        農薬名        検体数 検出数 検出範囲   
   アシュラム         108    3    ND〜0.001       テブコナゾール   71    2    ND〜0.000027
   アゾキシストロビン  90    1    ND〜0.00076     ハロスルフロンメチル58  1   ND〜0.005
   イミダクロプリド    53    1    ND〜0.001       フェニトロチオン 79    1    ND〜0.0007
   オキシン銅          59    1    ND〜0.019       フルポキサム     19    2    ND〜0.0087
   カフェンストロール  53    2    ND〜0.004       プロピザミド     82    5    ND〜0.004
   クロチアニジン      94    6    ND〜0.005       ペンシクロン     86    1    ND〜0.029
   シクロスルファムロン56    1    ND〜0.008       ペンディメタリン 63    1    ND〜0.0004
   ジチオピル          62    1    ND〜0.0002      ボスカリド       50    1    ND〜0.000048
   シプロコナゾール    51    2    ND〜0.001       ホセチル         53    1    ND〜0.000015
   ダイアジノン        87    2    ND〜0.01        メタラキシル     76    2    ND〜0.00044
   チアメトキサム      58    1    ND〜0.001       メトラクロール    3    2    ND〜0.003
   チオファネートメチル42    1    ND〜0.001      メプロニル       64    1    ND〜0.0002  
   チフルザミド        68    5    ND〜0.023       分析延べ検体   4068   47
 
★ゴルフ場での農薬製剤販売実績
【参考サイト】緑の安全推進協会:Top Page情報の窓

 平成27年緑の安全推進協会の調べ(報告会社33社)では、2015年度のゴルフ場農薬製剤販売実績(単位トン)は、表2のようでした。
     表2 ゴルフ場等での農薬製剤の販売実績 〜省略

★水産動植物被害防止のため改定案
【参考サイト】環境省パブコメ募集:「ゴルフ場で使用される農薬による水質汚濁の防止及び
         水産動植物被害の防止に係る指導指針(案)」に対する意見の募集について
       プレスリリース(11/17)、水質汚濁の防止及び水産動植物被害の防止に係る指導指針案
       水産動植物被害の防止に係る指導指針案

 2013年の指導指針の改定では、人畜への影響のみを考慮し、ADIに依拠する水質汚濁に係る農薬登録保留基準が援用されましたが、今回の改定は「農薬によっては、人畜に被害が生じる恐れがない排出水であっても、水産動植物に被害が発生するおそれがあることから、今般、生態系保全の観点からの指針値を新たに設定することとした」とのことです。今後、指導指針は、「ゴルフ場で使用される農薬による水質汚濁の防止及び水産動植物被害の防止に係る指導指針」となり、指針値は次のように設定されることになります。
【水濁指針値】27農薬については別途指導指針で設定したほか、水質汚濁に係る農薬登録保留基準のあるものは、その10倍。
【水産指針値】水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準のあるものは、その10倍。  平成 28 年 11 月 1 日現在で水濁基準値の設定数が 236 件に対し、水産基準値の設定数は 329 件であり、236 件の水濁基準値のうち111 件(47%)の基準値は水産基準値よりも値が大きくなっており、たとえば、表3に示したようなケースがいままでに、あったそうです。
 ゴルフ場排出水の分析実施は、単なる努力規定ですし、常時監視する必要もありません。そのため、表4でわかるとおり、調査農薬数は増えても、排水検体数が減っています。ゴルフ場の自主調査だけでなく、地方自治体が実施する調査が少ないという現状を打破する必要があります。
 また、ゴルフ場で使用される農薬は、芝や樹木など、非食用作物なので、適用事項を守らなくても罰則は科せられませんし、芝用に新たな除草剤、殺菌剤などを登録申請する場合は、残留試験などが免除されていることにも眼を向けねばなりません。
   表3 排水での検出値が水産指針値を超えた事例(単位:μg/L)
   農薬名        水濁指針値    最高検出値*   水産指針値
   ダイアジノン       50  >  0.8、3、10 >   0.77   *2010年から2015
   アゾキシストロピン   4700         400      280    年度の調査結果に
   イミノクタジン系     60        52       27    みられた最高値
   オキシン銅        200       19、40         18
 
   表4 ゴルフ場排水口等の水質調査結果及び取組状況の推移
   調査年度             1996年   2005年 2013年 2014年  2015年
   全国ゴルフ場数        2340     2446   2285    2244   2244
   調査実施ゴルフ場数      1984       833      545      511     515
   調査対象農薬数           30        45      108      127     125
   総延べ検体数        約10万3千   35687   22279   17328  15902
   排水口調査延べ検体数     −     15749     7351     4762    4068

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作成:2017-01-30