農薬の毒性・健康被害にもどる

t30801#2017年度の農薬危害防止運動を前に行政への要望#17-04
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    2017年度農薬危害防止運動の頁

【参考サイト】農水省;「平成29年度 農薬危害防止運動」の実施について実施要綱ポスター
       環境省:報道発表、厚労省:新着情報

 国は、4月26日、「H29年度農薬危害防止運動の実施について」の通知をだしました。  反農薬東京グループは、すでに、農水省、環境省、厚労省、国土交通省などの担当部局宛てに、要望と質問を送りました。
 長文のため、ここでは、前文の概要と下記の要望と質問目次のうち【1】の概要を示します。
  反農薬東京グループの要望と質問:農水省、環境省、厚労省、国土交通省宛(全文)、都道府県宛てはこちら
   【1】農薬の被害を受ける住民や生き物のために 
   【2】農薬による人・野鳥の危被害事例をもとに
   【3】農薬空中散布について
   【4】斑点米カメムシ防除とミツバチ被害
   【5】グリホサートなどの農薬残留について
   【6】農薬適正使用とGAP制度について
   【7】その他
★前文より
 反農薬東京グループは、10年前の2007年に発刊した電子版「脱農薬てんとう資料集」第6号<農薬危害防止運動について>で、『具体的な危害防止のための実施要綱は、一貫して、農薬を適正に使用すれば、問題ないとの考えの下に作られてきた』と批判し、2006年に公布・施行された「有機農業の推進に関する法律」に期待を込め、『環境中に散布され、人を含む生物の生命現象に影響を与え、危害をもたらしているという農薬の負の面を考えれば、今後の運動において、農薬危害防止の最良の対策として、農薬使用量を減らすという視点も取り入れていく必要があると思います。』としました。
 その後の10年を省みると、実施要綱の内容は、毎年、大きな変更はなく、さまざまな被害がなくなることはありません。
 資料集に挙げた『最良の危害防止対策は農薬使用を減らすこと』に反して、農薬行政は、未だに、人や環境に有害な毒物である農薬使用を減らそうとする方向性は全く見えません。それどころか、斑点米カメムシ被害を防止するとして、農薬散布を促した結果、ミツバチの大量死を招き、梅輪紋ウイルス(PPV)対策で、一般住宅の梅など宿主木にアブラムシ駆除のための農薬散布を半ば強制的に行うという事態になっています。  昨年11月、農水省や環境省がCOP13(生物多様性条約締約国会議)に関連して、森林総合研究所による「花粉を運ぶ動物を守るための政策提言」を発表しました。10の提言の中には、 農薬の使用基準の向上、 総合的病害虫管理(IPM)の推進、送粉者を守る農林業生産者を助けるための補償などが挙がっています(記事参照)。スローガンだけでなく、これらを実践することが必要です。
 いままでのように、農薬は適正に使えば安全だとした政策は、農薬メーカーや農作物生産業者の立場を優先することになります。私たちは、農薬曝露しやすい農薬使用者だけでなく、農薬受動曝露による一般人及び環境中の生き物の危被害防止に重点を置き、要望・質問します。 【1】農薬の被害を受ける住民や生き物のために  私たちは、農薬散布をできるだけやめることが、人や環境・生態系の保持に必要だと 考え、いままで、農水省、環境省、厚労省などにさまざまな要望をしてきましたが、法 的な不備もあり、毎年のように農薬使用者や農作物だけでなく、散布地周辺での人や環 境・生態系に危被害がおこっています。
【参考サイト】農薬取締法農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令 (遵守省令)
         住宅地等における農薬使用について(住宅地通知)
(1-1)農薬取締法について
 農薬取締法条文には『農業生産の安定と国民の健康の保護に資するとともに、国民の
生活環境の保全に寄与すること』『農作物等、人畜及び水産動植物に害を及ぼすおそれ
がないこと』などの文言があります
 農業生産には、ポリネーター=花粉媒介昆虫(養蜂及び野生のミツバチ、マルハナハ
チ、その他のポリネーターをいう)の役割が重要です。そこで、以下のお尋ねと要望をし
ます。

(1-1-2)ポリネーターの被害が問題になっていますが、条文にある『人畜』には、どのよ
うなポリネーターがはいりますか。

(1-1-3)私たちは、いままでにも、生態系や土壌生物への影響試験、水質汚濁性農薬指定
に類した蜜蜂等危害性農薬、鳥類危害性農薬の指定などを挙げ、生物多様性を損なわな
いよう、法改正を求めています。これらの条文への追加を検討ください。

(1-2)遵守省令について
 「農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令」(以下、遵守省令という)につい
て、以下の要望をします。

(1-2-1)人畜以外についても、野生の昆虫や両生類、野鳥その他の動物、水生生物、土壌
生物など自然環境・生態系への農薬被害防止対策を講ずるよう条文を追加してください。

(1-2-2)遵守省令第二条(表示事項の遵守)を食用及び飼料農作物だけでなく、非食用農
作物にも適用し、使用者に義務づけてください。

(1-2-3)遵守省令第四条(航空機を用いた農薬の使用)を無人航空機による農薬散布にも
適用し、実施者に義務づけてください。

(1-2-4)遵守省令第六条(住宅地等における農薬の使用)、第七条(水田における農薬の
使用)、第八条(被覆を要する農薬の使用)、第九条(帳簿の記載)の努力規定をあら
ため義務規定とし、人畜に被害を与えた場合、罰則を科してください。

(1-3)住宅地通知について
 遵守省令にもとづく、通知「住宅地等における農薬使用について」(以下、住宅地通知
という)をより強化したいと考えます。そのため、通知における努力規定の義務化をもと
めます

(1-3-2)万一、植栽管理に使用する場合は、有機リン、ネオニコチノイド、ピレスロイド
など神経毒性のある農薬の散布は止め、管理者や農薬使用者には、周辺地域への散布周
知を義務づけてください。

(1-3-5) 残留農薬摂取に加え、農薬散布による受動被曝を余儀なくされる一般住民、農
薬など化学物質に過敏な人、有機農業者、養蜂・養蚕者、畜産者、水産養殖者その他環
境保護者などの意見を反映させるよう、農薬使用者との話し合いの場を設け、農薬使用
計画とその周知徹底、農薬事故、農薬による健康被害、農薬による環境・生態系の被害
などについて情報交換ができるようしてください。

 とくに、以下の地区では、上記事項を早急に取り組むことを求めます。
  (a)住宅地周辺での農薬散布
  (b)森林病害虫等防除法に基づく松枯れ対策の農薬散布地域
  (c)植物防疫法に基づくPPV緊急指定地区
  (d)斑点米カメムシ防除を行う水田地域
  (e)有人ヘリコプター、無人航空機による空中散布地域 
  (f)クロルピクリンで土壌処理を行う畑作地域

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作成:2017-05-01